ウガンダの豊かな農地を利用する日本企業 日本企業がウガンダの肥沃な土壌に種を蒔くのを促す、プロジェクト「East x East」
[16/10/12]
提供元:@Press
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駐日ウガンダ大使館は、東京に拠点を置くコンサルティング会社アイディオロジー・インターナショナルと協力し、日本企業のウガンダ進出の認知度を高め、ウガンダと日本の双方に利益をもたらす機会を作るプロジェクト「East x East」を展開しています。中でも今回は農業面におけるプロジェクトの近況をご報告いたします。
「East x East」ではさまざまな業種の企業にアピールしていますが、その中でも「農業は確かな機会の一つ」だとアケチ=オクロ大使は話します。
「日本の農業経営学や農学技術と手を取り合った時、ウガンダの農地に広がる可能性を想像してみてください」と、ベティ・グレース・アケチ=オクロ駐日大使。「長い歴史の中で、そして今日においても、日本は農業技術の最先端にいます。ウガンダは、日本の農業技術を学ぶ準備ができています。日本もウガンダの豊かな農地から大きな利益を得ることができるでしょう」
ウガンダは「アフリカの真珠」と呼ばれています。この呼び名は、1908年にウィンストン・チャーチルがそう呼んだことに始まります。チャーチルは、ウガンダの豊富な天然資源、好ましい気候と肥沃な土壌への賞賛を込めてこう名付けたのです。
■ウガンダの農業に莫大な投資を行っている世界的企業
すでに欧州の投資家と上場企業の中には、ウガンダに大規模な農業企業を設立するために、ひそかに何千万ドルもの投資を行っているところがあります。「Amatheon Agri」はその先駆的な企業の一つです。このドイツの農業経営・食品メーカーは、ウガンダに広がる3千ヘクタールの農地で、主にトウモロコシ、米、大豆、ひまわり、モロコシ(※1)を栽培しています。
ウガンダの農業が高い将来性を持っていることのさらなる証拠に、他のアフリカ諸国までもがAmatheon Agriの先例にならっていることが挙げられます。南アフリカの穀物サプライヤーであるAFGRI(※2)は2013年から、年間1千万ドルを、ウガンダの一度に数千トンのトウモロコシを扱うことができる倉庫、さらに毎時間15トン(※3)の穀物を加工することができる貯蔵庫に投資しています。
■ドライフルーツ製造でウガンダと協力する日本企業「Far East」、
「大きく事業を始める必要はない!」
欧州の企業だけが、ウガンダの肥沃な土地に目をつけたわけではありません。アフリカ開発銀行(※4)によると、2016年1月現在、少なくとも10の日本の農業関連企業がすでにウガンダに進出しているといいます。これらの既存企業は、主にオーガニックコットンや高品質なカカオとチョコレート、野菜の種、ナッツ、バニラやコーヒーを取り扱っています。
アイディオロジー・インターナショナルは、それら既存企業の一つ、有機食品を取り扱う株式会社「Far East」(※5)の代表取締役である佐々木 敏行氏と面会しました。Far Eastがドライフルーツ事業にウガンダ産の作物を使うことを決めたきっかけについて、佐々木氏は「ウガンダのブッシ島でとれた新鮮なパイナップルを味わった瞬間に、私は何のためらいもなく、ウガンダと取引しなければいけないと知りました」と話しました。
佐々木氏がウガンダ産の保存加工された有機パイナップルに初めて出会ったのは、2009年に日本貿易振興機構(JETRO)が開催したアフリカン・フェアでのことでした。「このパイナップルが日本の規格基準に沿って加工され市場に出回るならば、非常に高い値段で取り引きされるようになるだろうと、直感的に悟りました」
その翌年に、佐々木氏はウガンダのジャリ村を訪れました。そこは、前年に佐々木氏が味わったドライパイナップルを製造している「Jali Organic Project」(※6)の拠点がある村でした。「バナナ、パラミツ、マンゴー…ジャリの果物は信じられないほどすべてが美味しかった。その中でも特にパイナップルは美味しかったですね」と、その時の感動を思い出しながら佐々木氏は話しを続けました。
「なんとかその美味しさを忠実に保存できないものか。果物の新鮮な味わいをそのままに加工包装して輸出する方法を、私は探し始めました」。Jali Organic Projectは素晴らしいプロジェクトであったものの、やはり国際的なマーケティング戦略や生産規模における課題に悪戦苦闘したそう。佐々木氏は2年の間、自ら定期的にウガンダに飛び、村人たちに日本の食品保存技術、衛生基準、工場運営のノウハウを伝えました。
そして2012年、Far Eastのウガンダ産ドライフルーツが日本市場に届くと、それらの商品はすぐに人気が高まりました。その年と翌年には、日本での急激な需要の高まりに応えるために、2カ月ごとに輸入量を2倍増しにしなければならないほどでした。
Far Eastは現在、東京・大阪・京都・広島をはじめとした日本各地の多数の百貨店等でウガンダ産のパイナップルや他の果物のドライフルーツを販売しています。東京では、渋谷ヒカリエ、ルミネ新宿、アトレ吉祥寺など、人気のあるショッピングエリアでも商品を展開。佐々木氏によれば「ウガンダ産のパイナップルの需要は非常に高く、私たちが輸入したものはどれもわずか数日で完売してしまうほど」だといいます。
日本の農業関連企業に向けて、「今こそウガンダと協力関係を築く時であると知るべきです」と佐々木氏は激励の言葉を掛けます。「ウガンダの土地は驚くほどに肥沃で、その気候は優れた果物と野菜を生産するのに最適。一方の日本は、ウガンダの農地の生産能力を最大限に引き出し、ともに世界市場に乗り出す手助けができるだけの技術を持っています。私たちとJali Organic Projectの協力関係が良い一例になっている通り、大きなことを始める必要はありません。私がしたのは、ただ熱心に日本の乾物技術をウガンダに紹介したことだけですから」
佐々木氏によれば、農業技術や食品加工技術を人々に伝えようという意志のある日本企業には、まだまだたくさんのビジネスチャンスがウガンダには残されている、といいます。最先端の技術だけでなく、冷凍技術や中古トラクター、小規模のビニールハウス、手持ちの小型芝刈り機など他にも数多くの、何十年も前から日本で用いられている既存の技術にもそのチャンスがあるのです。
■ウガンダの主な食用作物と換金作物
ウガンダの農作物は、主に二つに分類することができます。アイディオロジー・インターナショナルの代表取締役である塩光 順氏が説明するところによれば、第1に、調理用バナナ、カッサバ、ジャガイモ、雑穀にモロコシなど、現地の人々に消費される食用作物。ウガンダの人口の60%はいまだ農業での自給自足の生活を送っており、農業はウガンダ人の大半に定着しています。そして第2に、輸出するために栽培される、コーヒー、茶、綿とカカオなどの換金作物があります。
おそらく、日本企業が多く関心を寄せるのは後者の換金作物の方でしょうが、ウガンダが世界でも有数のこれらの換金作物の生産国であることは、ほとんど知られていないことを、塩光氏は指摘します。たとえばウガンダは、アフリカ諸国の中で、エチオピアに次ぐコーヒーの輸出大国(※6)です。さらにウガンダでは、政府が積極的に投資促進機関(※7)に働きかけ、これらの換金作物に投資しようとしている外資企業が信頼性の高い情報を確実に得ることができるような体制が整えられています。
これらのことから「日本の農業関連企業には、ウガンダで利益を上げることができるさまざまな切り口と手段があります」と塩光氏は結論づけ、「『East x East』は、その助けとなるために用意されているプロジェクトです」とアピールしています。
※1 Amatheon Agri Homepage
( http://www.amatheon-agri.com/what-we-do/farming/farming-in-uganda )
※2 AFGRI Homepage
( https://www.afgri.co.za )
※3 Reuters
( http://www.reuters.com/article/uganda-agriculture-idUSL8N0ZJ1SF20150820 )
※4 African Development Bank, “List of Japanese companies doing business with Africa 2016”
( http://afdb-org.jp/wp/file/2016/01/201601_EN_List-of-Japanese-Enterprises-Doing-Business-with-African-Coutinent-and-Countries.pdf )
※5 Far East Homepage
( http://fareastinc.co.jp )
※6 Jali Organic Project Homepage
( http://www.jaliorganic.com )
※7 Uganda Investment Authority
( http://www.ugandainvest.go.ug )
「East x East」ではさまざまな業種の企業にアピールしていますが、その中でも「農業は確かな機会の一つ」だとアケチ=オクロ大使は話します。
「日本の農業経営学や農学技術と手を取り合った時、ウガンダの農地に広がる可能性を想像してみてください」と、ベティ・グレース・アケチ=オクロ駐日大使。「長い歴史の中で、そして今日においても、日本は農業技術の最先端にいます。ウガンダは、日本の農業技術を学ぶ準備ができています。日本もウガンダの豊かな農地から大きな利益を得ることができるでしょう」
ウガンダは「アフリカの真珠」と呼ばれています。この呼び名は、1908年にウィンストン・チャーチルがそう呼んだことに始まります。チャーチルは、ウガンダの豊富な天然資源、好ましい気候と肥沃な土壌への賞賛を込めてこう名付けたのです。
■ウガンダの農業に莫大な投資を行っている世界的企業
すでに欧州の投資家と上場企業の中には、ウガンダに大規模な農業企業を設立するために、ひそかに何千万ドルもの投資を行っているところがあります。「Amatheon Agri」はその先駆的な企業の一つです。このドイツの農業経営・食品メーカーは、ウガンダに広がる3千ヘクタールの農地で、主にトウモロコシ、米、大豆、ひまわり、モロコシ(※1)を栽培しています。
ウガンダの農業が高い将来性を持っていることのさらなる証拠に、他のアフリカ諸国までもがAmatheon Agriの先例にならっていることが挙げられます。南アフリカの穀物サプライヤーであるAFGRI(※2)は2013年から、年間1千万ドルを、ウガンダの一度に数千トンのトウモロコシを扱うことができる倉庫、さらに毎時間15トン(※3)の穀物を加工することができる貯蔵庫に投資しています。
■ドライフルーツ製造でウガンダと協力する日本企業「Far East」、
「大きく事業を始める必要はない!」
欧州の企業だけが、ウガンダの肥沃な土地に目をつけたわけではありません。アフリカ開発銀行(※4)によると、2016年1月現在、少なくとも10の日本の農業関連企業がすでにウガンダに進出しているといいます。これらの既存企業は、主にオーガニックコットンや高品質なカカオとチョコレート、野菜の種、ナッツ、バニラやコーヒーを取り扱っています。
アイディオロジー・インターナショナルは、それら既存企業の一つ、有機食品を取り扱う株式会社「Far East」(※5)の代表取締役である佐々木 敏行氏と面会しました。Far Eastがドライフルーツ事業にウガンダ産の作物を使うことを決めたきっかけについて、佐々木氏は「ウガンダのブッシ島でとれた新鮮なパイナップルを味わった瞬間に、私は何のためらいもなく、ウガンダと取引しなければいけないと知りました」と話しました。
佐々木氏がウガンダ産の保存加工された有機パイナップルに初めて出会ったのは、2009年に日本貿易振興機構(JETRO)が開催したアフリカン・フェアでのことでした。「このパイナップルが日本の規格基準に沿って加工され市場に出回るならば、非常に高い値段で取り引きされるようになるだろうと、直感的に悟りました」
その翌年に、佐々木氏はウガンダのジャリ村を訪れました。そこは、前年に佐々木氏が味わったドライパイナップルを製造している「Jali Organic Project」(※6)の拠点がある村でした。「バナナ、パラミツ、マンゴー…ジャリの果物は信じられないほどすべてが美味しかった。その中でも特にパイナップルは美味しかったですね」と、その時の感動を思い出しながら佐々木氏は話しを続けました。
「なんとかその美味しさを忠実に保存できないものか。果物の新鮮な味わいをそのままに加工包装して輸出する方法を、私は探し始めました」。Jali Organic Projectは素晴らしいプロジェクトであったものの、やはり国際的なマーケティング戦略や生産規模における課題に悪戦苦闘したそう。佐々木氏は2年の間、自ら定期的にウガンダに飛び、村人たちに日本の食品保存技術、衛生基準、工場運営のノウハウを伝えました。
そして2012年、Far Eastのウガンダ産ドライフルーツが日本市場に届くと、それらの商品はすぐに人気が高まりました。その年と翌年には、日本での急激な需要の高まりに応えるために、2カ月ごとに輸入量を2倍増しにしなければならないほどでした。
Far Eastは現在、東京・大阪・京都・広島をはじめとした日本各地の多数の百貨店等でウガンダ産のパイナップルや他の果物のドライフルーツを販売しています。東京では、渋谷ヒカリエ、ルミネ新宿、アトレ吉祥寺など、人気のあるショッピングエリアでも商品を展開。佐々木氏によれば「ウガンダ産のパイナップルの需要は非常に高く、私たちが輸入したものはどれもわずか数日で完売してしまうほど」だといいます。
日本の農業関連企業に向けて、「今こそウガンダと協力関係を築く時であると知るべきです」と佐々木氏は激励の言葉を掛けます。「ウガンダの土地は驚くほどに肥沃で、その気候は優れた果物と野菜を生産するのに最適。一方の日本は、ウガンダの農地の生産能力を最大限に引き出し、ともに世界市場に乗り出す手助けができるだけの技術を持っています。私たちとJali Organic Projectの協力関係が良い一例になっている通り、大きなことを始める必要はありません。私がしたのは、ただ熱心に日本の乾物技術をウガンダに紹介したことだけですから」
佐々木氏によれば、農業技術や食品加工技術を人々に伝えようという意志のある日本企業には、まだまだたくさんのビジネスチャンスがウガンダには残されている、といいます。最先端の技術だけでなく、冷凍技術や中古トラクター、小規模のビニールハウス、手持ちの小型芝刈り機など他にも数多くの、何十年も前から日本で用いられている既存の技術にもそのチャンスがあるのです。
■ウガンダの主な食用作物と換金作物
ウガンダの農作物は、主に二つに分類することができます。アイディオロジー・インターナショナルの代表取締役である塩光 順氏が説明するところによれば、第1に、調理用バナナ、カッサバ、ジャガイモ、雑穀にモロコシなど、現地の人々に消費される食用作物。ウガンダの人口の60%はいまだ農業での自給自足の生活を送っており、農業はウガンダ人の大半に定着しています。そして第2に、輸出するために栽培される、コーヒー、茶、綿とカカオなどの換金作物があります。
おそらく、日本企業が多く関心を寄せるのは後者の換金作物の方でしょうが、ウガンダが世界でも有数のこれらの換金作物の生産国であることは、ほとんど知られていないことを、塩光氏は指摘します。たとえばウガンダは、アフリカ諸国の中で、エチオピアに次ぐコーヒーの輸出大国(※6)です。さらにウガンダでは、政府が積極的に投資促進機関(※7)に働きかけ、これらの換金作物に投資しようとしている外資企業が信頼性の高い情報を確実に得ることができるような体制が整えられています。
これらのことから「日本の農業関連企業には、ウガンダで利益を上げることができるさまざまな切り口と手段があります」と塩光氏は結論づけ、「『East x East』は、その助けとなるために用意されているプロジェクトです」とアピールしています。
※1 Amatheon Agri Homepage
( http://www.amatheon-agri.com/what-we-do/farming/farming-in-uganda )
※2 AFGRI Homepage
( https://www.afgri.co.za )
※3 Reuters
( http://www.reuters.com/article/uganda-agriculture-idUSL8N0ZJ1SF20150820 )
※4 African Development Bank, “List of Japanese companies doing business with Africa 2016”
( http://afdb-org.jp/wp/file/2016/01/201601_EN_List-of-Japanese-Enterprises-Doing-Business-with-African-Coutinent-and-Countries.pdf )
※5 Far East Homepage
( http://fareastinc.co.jp )
※6 Jali Organic Project Homepage
( http://www.jaliorganic.com )
※7 Uganda Investment Authority
( http://www.ugandainvest.go.ug )