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アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向2019年4月〜6月

世界11ヵ国で人材紹介事業を展開し、東南アジアでは最大級の規模(※1)を誇る株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(代表取締役社長:松園 健)は、この度、2019年第2四半期のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向を纏めましたので、お知らせいたします。
(※1) 自社調べ(アジアで人材紹介事業を展開する同業他社の売上規模を比較)

※以下リンクより、より読みやすいPDF版のプレスリリースをご参照ください。
https://www.atpress.ne.jp/releases/189662/att_189662_1.pdf


【サマリー】
・2019年第2四半期は、ベトナム、香港、インドが昨年同期比で求人増
・米中貿易摩擦の影響で中国から東南アジアに移転を検討する動きや、東南アジア各国では採用意欲低下の傾向も
・中国の日系企業では景気減速の影響で選考基準を上げ、採用に慎重さが見られる


■■マレーシア■■
企業の採用意欲は横ばいだが、多言語人材やIT人材の要望は引き続き高い

【求人数】
対前年四半期比 98%
対前四半期比 101%
JAC Recruitment マレーシア法人社長 大西 信彰

5月にVistage-MIER(マレーシア経済研究所)が発表したCEO Confidence Index(経済動向信頼感指数:DI指数に100を加えた指数、CEO回答数は638)によると、第2四半期は90.1ポイントとなり、2019年第1四半期に続き100ポイントを下回りました。2018年第1四半期以降のピークであった同第3四半期の107.7ポイント以降、3四半期連続で下降しています。売上げ増加を見込むCEOの比率も52%となり、前年同期の61%、前期の57%とより控えめになっています。これは先月26日にマレーシア日本人商工会議所(JACTIM)が発表した景況判断DIでも同様の傾向が伺えます。

【企業の採用動向】
・例年第1四半期が最も求人が活発で、年央・年末に向かって落ち着いて行くことが例年の動きですが、今年は、前四半期比1%の微増となりました。背景として、米中貿易摩擦の影響やマレーシア経済の停滞により、第1四半期は採用活動の鈍化、あるいは様子見状態であったが、第2四半期ではサービス業やIT系企業を中心に採用意欲の増加が見られ、結果前年同期比2%減程度で収まったと言えます。
・日系企業の求人数について、前年同期比・前期比それぞれ11ポイント、14ポイントの減少と落ち込みが激しくなっています。JACTIMの上期景気動向調査では、本年度上期は-18.9と2016年下期以降の低水準であり、これが採用意欲の低下にも影響しています。
・一方、引き続き外資系SSC(シェアードサービスセンター)や地場IT企業からの求人引き合いは強く、前四半期比外資系で16ポイント、地場で40ポイントの増加となっています。SSCにおける日本語・タイ語・ベトナム語といった多言語人材の需要は増えることはあっても減少に転じることはない模様です。
・求人数:課長職以下のジュニア(3,000〜5,000リンギット)のポジションは前年比7ポイント増加、一方シニアマネージャーやGMといった高額ポジション(9,000リンギット)は前年同期比6ポイント減となっています。

【求職者の動向】
・製造業でマレーシアへの製造移管の動きもあるものの、雇用増大に繋がるまではもう暫く時間を要することもあり、求職者も転職時期を見極めており、慎重姿勢が伺える状況です。
・上記の理由により、希望給与(expected salary)と提示給与の乖離幅に関する許容限度が下がってきています。提示された待遇に安易に妥協せず、自分の希望を粘り強く交渉する方が増えています。
・多言語人材においては、従来より売り手市場が続いており、その結果、給与水準が昨年比15%ほど上昇しており、結果、採用企業はより慎重に人選を行っています。日本人候補者についても同じような傾向が見られます。昨年までは企業側も多少は目をつぶっていた実戦的な英語力について、このところ明確に要求する企業が増えてきているというのが我々の実感です。


■■シンガポール■■
シンガポールにおける実質経済成長率は昨年よりも減少したが、賃金は上昇傾向

【求人数】
対前年四半期比 81%
対前四半期比 90%
JAC Recruitment シンガポール法人社長 早瀬 恭

シンガポールの政労使の代表で構成される全国賃金評議会(National Wages Council)が5月末に発表した2018年のシンガポールの実質経済成長率は実績3.1%(予測1.5-2.5%)となり、2017年の3.6%よりも減少しました。また政府が目標に掲げている労働生産性の向上や雇用の増加と、失業や雇用削減の減少により労働市場の状況は改善され、失業率は2017年の3.1%から2.9%に減少しました。賃金上昇率も2017年の3.0%に対し、2018年は3.6%となりました。賃金改定指針のガイドラインでは、主な部分は昨年同様、生産性を向上させるためのトレーニング(研修)の推奨について追記されました。なお、貿易産業省(MTI)は、世界経済を取り巻く環境の悪化を受け、2019年通年のGDP成長率の予測幅を1.5〜2.5に下方修正しました。

【企業の採用動向】
全体の求人数は対前期比、対前年四半期比で減少となりましたが、IT人材のニーズは依然高まっており、日系企業であれば銀行関係のコアバンキングシステム構築、保守・管理、セキュリティエンジニア、基幹システムの導入コンサルタント、事業会社のインフラ担当等の求人が増えています。建設業界も施工管理やBIM(*)などのエンジニア人材の募集が増加しています。製造業界は米中貿易摩擦の影響を伺ってか減少傾向。統括会社経由で海外勤務の案件のご依頼もいただくことが多く直近ではフィリピン、ミャンマー案件が目立ちました。
(*)Building Information Modeling. 3次元モデルを作成し、設計から施工、維持管理に至るまでの建築ライフサイクル全体で蓄積された情報を活用し、業務効率化や建築デザインのイノベーションを起こす画期的なワークフロー

【求職者の動向】
年初から日本人求職者の登録数が増加し、過去の平均値を10%程度上回りました。管理職、スペシャリストだけでなく、海外からシンガポールでの就職・転職を目指すIT人材や、国を超えて就職を希望される方が増えています。


■■タイ■■
米中貿易摩擦の影響が出始め、中国系企業がタイ進出に関心

【求人数】
対前年四半期比 74%
対前四半期比 79%
JAC Recruitment タイランド法人社長 山下 勝弘

3月に行われた総選挙では軍政派が勝利したものの、民主的な選挙を経た政権であることを受け、欧米との関係正常化が始まる気配があります。また、タイはG20の構成国でないものの、ASEANの議長国として首相が招待されるなど、国際社会との距離感は良好な状態となりつつあり、勝者如何に関わらず、結果として選挙を行った事自体が経済にはプラス影響になることが予想されます。とはいえ、選挙の組閣がやっと行われるという状況であり、まだまだスピード感があるとは言えない状況です。

【企業の採用動向】
4月〜6月にかけては選挙結果の様子見だったことが要因となり、全体的には求人数は減少となりました。
米中貿易摩擦の影響で多くの中国系企業がタイの工業団地に進出や移転することに関心を持っており、それらの企業はバンコク東部エリアを中心に、進出することが予想されます。それにより、売り手市場の状況に拍車がかかることで採用がさらに難しくなる可能性があります。外資系企業よりも年収が低い傾向の日系企業にとっては、人材確保が困難を極めることが考えられます。給与テーブルなどの制度を抜本的に見直す日系企業も多く、本社の制度にとらわれない新しい考え方を取り入れる動きが必要です。

【求職者の動向】
タイ人求職者側の動きは選挙結果や米中貿易摩擦に影響されることはなく、失業率は依然として1%前後と周辺国よりも売り手市場が続いています。一方で日本人求職者においては増々、40代〜50代のチャンスが増加しており、日本で起こっているミドル人材の転職者増加の現象がタイの日本人現地採用にも派生していると考えられます。


■■インドネシア■■
大統領選後の混乱とムスリム休暇期でも日系企業の採用意欲は堅調

【求人数】
対前年四半期比 81%
対前四半期比 85%
JAC Recruitment インドネシア法人社長 小林 千絵

4月17日に大統領選挙・総選挙で現大統領の続行が決定。反対派のデモなどの混乱もあったが、6月27日に憲法裁判判断で反対派の告訴却下。どうにか落ち着いてジョコ大統領2期目の準備に入りました。5月は世界最大のムスリム人口を抱えるムスリムの断食期間、そしてそれに続く6月の断食明け祭り(レバラン休み)で消費者物価指数も予想以上の前年比3.28%、コア指数3.25%の上昇となりました。レバラン休暇前の5月末には米国大手格付け機関S&Pがインドネシアの国債の格付けをBBBへ引き上げました。インドネシアは引き続き、底堅く成長が続いていくことが予想されます。

【企業の採用動向】
ムスリムが国民の90%を抱えるインドネシアにおける1年で最大のイベント、4月から5月の1ヵ月にわたる断食期間(ラマダン)、そしてそれに続く断食明け祭り(レバラン)、および今年はその間に大統領選挙の結果に反対派によるデモがジャカルタで発生。数日会社閉鎖を迫られる企業もあり、その影響で第2四半期は求人数が減少しましたが、インフラ、不動産、ITビジネスを中心に日系企業の採用活動に影響はありませんでした。インドネシアへの新規投資関連の採用もまだ行われています。非日系市場では引き続き消費財業界が競合激しい中途採用も堅調で、IT・通信系業界への新規投資、中国企業の消費財、インフラ、FinTechへの投資関連、韓国企業の銀行などへの新規投資関連の求人の増加がみられます。

【求職者の動向】
大統領選挙の反対派によるジャカルタ市街での数日にわたるデモが日本でも報道された影響で、インドネシアでの就職を希望する日本人候補者の登録が減少しました。日本人のニーズは依然高く、紹介が追い付かない状態です。また、ミレニアル世代のデジタル業界への就職意欲の高さは世界の傾向に追随しています。有名国立大の学生も従来の政府機関や国営企業への就職よりも、デジタル業界への就職を希望する傾向が強くなっています。


■■ベトナム■■
国際貿易交渉により、ベトナム経済に影響が出始める

【求人数】
対前年四半期比 154%
対前四半期比 101%
JAC Recruitment ベトナム法人ディレクター
Le Thuy Dieu Uyen(レー・トゥイ・ユー・ウィン)

ベトナム経済政策研究所では、2019年度第2四半期のGDP成長率は6.71%、2019年度では6.7%の目標が立てられました。しかし、日本と韓国間における緊張がグローバルサプライ・チェーンや経済に影響を与え2019年のベトナム経済の先行きは不透明となっています。一方で米中貿易摩擦により、アメリカが中国からの輸出に対する関税を高めたことで、他国からベトナムへの投資が加速。特に中国企業によるベトナム工場への投資が増え、業界ごとに差はあるものの直近のベトナム全体の景気は好調です。

【企業の採用動向】
第2四半期は、ベトナムで事業を展開する食料品や化粧品業界などの多国籍企業が積極的な採用を行いったことで、マーケティング関連の求人が急増しました。それにともない、同業界の工場での生産者のニーズも増加しました。統計局によると、2019年度第2四半期、ベトナムの労働者は26万2,000人増え、5,458万人に達する見込みです。とりわけ加工や製造業で87,000人、建設業で340,000人、卸売と小売業で300,000人増加すると見られており、当社でもこれらの業界からのホワイトカラー人材ニーズが増加傾向にあります。一方で、農業、林業、漁業では200,000人、鉱業では約9,000人減少。ファイナンスや銀行業、保険業では80,000人が減少することが予想されています。

【求職者の動向】
中国から部品などの裾野産業や家具業界の進出企業が増加していることで、ベトナムでは新規進出企業が今後1年で2倍、さらに電気、電子業界での高性能な部品の製造においては3倍に拡大することが予想されています。これらの急成長産業から人材ニーズが増加していることにより、同業種での転職を目指す方々の登録が増えています。また、不動産業界では2018年末からM&Aによる再編が進んでおり、これにより、CFOやCOOなど経営の中核を担う人材のニーズも増え、経営幹部経験者からの問い合わせが増加傾向にあります。


■■中国(上海・広州)■■
米中貿易摩擦が採用市場にも影響し、多くの企業が採用を様子見

【求人数】
対前年四半期比 85%
対前四半期比 112%
JAC Recruitment 上海法人総経理 小梁川 舞香
JAC Recruitment 広州法人総経理 小川 慎史郎

米中貿易摩擦を発端とする景気の減速により、消費者心理の冷え込みが顕在化。中国自動車工業協会が発表した中国1〜6月の新車累計販売台数は前年同期比12.4%減となりました。特に中国系ブランドの販売台数の落ち込みが目立ち、中華系主要自動車メーカーの2019年1〜6月の前年同期比販売台数は軒並み前年割れとなりました。一方、日系自動車メーカーは、ホンダが22.4%増、トヨタが12.2%増と堅調ですが、欧米系自動車メーカーの販売台数は横ばいです。これらの状況を受け、政府は補助金を支給しててこ入れする方針を示していますが、2019年7月時点、詳細は未公表です。完成系自動車メーカーの苦戦により、中国の製造業全般の業績に不透明感が出始めています。

【企業の採用動向】
景気減速により採用に慎重な企業が増加しています。中国全体の求人数は微減ですが、特に製造業各社の採用意欲の低下が顕著です。求人依頼は継続して得られていますが、採用担当者は「よほど経験が合致した人でないと採用しない」と、選考基準を上げています。また、米中貿易摩擦の更なる深刻化に備えて、生産拠点の移転を検討する企業も出始めており、今後製造業各社の求人数減少・選考基準の上昇が予想されます。一方で、食品・消費財・無形サービス業界など、中国を消費拠点と捉える産業は業績・採用意欲共に上昇傾向にあります。これらの業界は内需産業のため貿易摩擦の影響はなく、14億人の人口を擁する一大マーケットを取り込むため中国でのビジネスを活発化させています。
最近、自動車産業が盛んな華南エリアでも、日系食品業界各社が新工場設立や増設し、それにともない管理部門や製造技術者を採用する動きも出ています。

【求職者の動向】
旧正月(2月)前後の旺盛な転職意欲が落ち着きを見せ、転職希望者は来年の旧正月まで慎重さが見られます。景気の悪化により倒産やリストラ、中国から撤退する企業もあり心理的に積極的に転職しづらいことも要因です。また、『給与制度や昇進制度に魅力を感じない』『上級ポジションがない』などの理由により、引き続き中国人求職者の日系企業への転職意欲は低いです。一方で、日系企業から民営系企業に転職した方の中には、日系企業の安定感や充実した福利厚生などに魅力を感じ、再度日系企業を希望する事例もあります。


■■香港■■
求職者の転職様子見の傾向は継続。現状、政情の影響は軽微

【求人数】
対前年四半期比 103%
対前四半期比 110%
JAC Recruitment 香港法人社長 渥美 賢吾

香港では6月以降、「逃亡犯条例」改正案をめぐって行政府への抗議行動が続いています。デモへの参加者数は史上最大規模となっており、特に、改正案の審議が予定されていた6月12日には警察とデモ参加者との間に大規模な衝突も発生しました。今後、審議が再開される可能性があるのか、また、その結果が可決に至った場合は実際に経済への影響があるのかが不透明な状況が続いています。そのような中、改正案が通過して香港が中国の司法制度下に置かれることになった場合、企業からは香港に拠点を置くメリットが薄れるという声も出ています。

【企業の採用動向】
第2四半期は後半に政情が不安定になったものの、求人数自体は昨年同期比で微増となりました。日系企業からの求人ニーズの背景は引き続き多岐にわたっており、新規拠点立上げに伴う採用、香港から海外マーケット拡大を目的とした責任者クラスの採用、現地化促進に向けた採用、帰任した駐在員の補充をせずコスト削減を意図した現地での幹部候補の採用、退職に伴う欠員補充採用など、各社の事業展開ステージに伴った判断がなされている状況に、大きな変化はありませんでした。しかし、金融業界においては第1四半期から継続して採用に消極的な企業が多く、また人員削減を行う企業も散見され、欠員補充の求人は例年に比べ大幅に減少しました。

【求職者の動向】
春節明けに積極的に転職活動を行っていた求職者が一巡し、例年通り人材の流動性は第1四半期と比較すると下がっています。6月から始まり活発化した行政府への抗議活動に際し、デモへの参加のために仕事を休んだり、転職活動を中断したりする求職者も散見されましたが、その影響は軽微と考えられます。金融業界では、第2四半期内のボーナス支給直後のタイミングで転職活動を開始した求職者もいたため、求職者の登録が一定期間増加しました。しかしながら、昨年と比較すると全体的に動きが鈍く、世界の景況感からマーケット不安定であるため、積極的に転職活動を行っている求職者の数も限定的でした。


■■韓国■■
日本から韓国への輸出管理強化が与える影響は未知数だが、多数の日韓経営者が懸念

【求人数】
対前年四半期比 93%
対前四半期比 122%
JAC Recruitment 韓国法人社長 土山 雄一郎

韓国政府は7月3日、今年のGDP成長率見通しを昨年末の予測値である2.6〜2.7%から2.4〜2.5%へ引き下げました。主な原因は半導体の価格下落と販売低迷にあり、サムスン電子の4〜6月期決算は前年同期比で営業利益が半減しました。背景には世界経済の減速や米中貿易摩擦があり、日本政府による半導体材料の輸出規制拡大は景気低迷に拍車をかける可能性があります。6月の失業率は4.0%に悪化しており、景気の低迷は長期化する可能性が高まっています。

【企業の採用動向】
第2四半期の企業求人状況は対前期比で22%増、対前年四半期比で7%減となりました。7月から始まった半導体材料の輸出規制拡大が経済に与える影響は未知数ですが、韓国で事業展開する在韓日系企業の経営者から懸念する声が多数あり、動揺や緊張感が高まっています。直接一般消費者に販売する商品を扱う企業は新製品発表会の延期や中止、また飲食店では売上減少と少なからず影響が出始めています。現時点では企業の採用動向に影響を及ぼすかは未知数ですが、在韓日系企業の販売先は韓国財閥大手会社であり、一般消費者である為、不安定な状況が長期化すると採用に影響を及ぼす可能性は十分あると言えます。

【求職者の動向】
今年に入り、積極的により良い仕事や待遇を求めて転職活動をする方より、「業界の展望が見えない」、「会社業績が悪い」ことを理由に転職活動を始める方が増加しています。これらの方々は企業の安定性や将来性を重視するため、それを配慮して支援する必要があります。また、若手の方々が給料アップを目的とした転職活動も比較的多く見られます。これは過去2年にわたり最低賃金の大幅上昇(2018年16.4%、2019年 10.9%)が大きな影響を与えています。企業が適切な採用をして事業を成功させるためには、マーケットの給与動向の把握と適切な人件費管理を中長期的な視点で実施することが求められています。


■■インド■■
経営と現場とのギャップの改善を図るマネージャー求人が増加傾向

【求人数】
対前年四半期比 107%
対前四半期比 101%
JAC Recruitment インド法人社長 小牧 一雄

歴史的勝利を収めたモディ首相の2期目が始動しました。2030年までに世界第3位の経済大国を目指すため、高速鉄道整備計画などインフラ整備の推進や外資規制緩和、税率の引き下げ、「Make in India」を掲げ世界の製造業のハブ化を目指すなど経済改革への期待が高まっています。一方でインドにおいて重要なマーケットの一つである、自動車市場では新車の販売台数が伸び悩むなどの懸念材料もあります。さらに2020年4月から導入される排ガス規制やEV化への動きなど、ここ数年で市況が目まぐるしく変化するため柔軟な対応が企業に求められています。

【企業の採用動向】
第2四半期は、例年通り人事を悩ます人事評価期間後の転職者の増加により求人数は一時的に増加しました。全体的な転職市場の傾向としては、インドに進出している日系企業からの求人が依然として多くみられました。また、マネージャークラスの求人も増加傾向にあり、経営と現場とのギャップを改善しようとする企業の採用背景が考えられます。業界による動向については自動車業界を中心とした部品メーカーの求人は多く、品質管理、工場管理、日本語スピーカーなどの求人が目立ちました。また、製造ラインの増設、高速鉄道整備計画などによるインフラ整備に伴う総合建築業界(ゼネコン)の採用ニーズなども増加傾向にあります。

【求職者の動向】
これまで日本人の求職者の動向としては他国と併願してインドでの就業や転職をを検討される方が多かったのですが、最近ではインドのみを希望する候補者も少しづつ増加傾向にあります。その理由としては英語力を生かせる仕事に就きたい、経済発展が著しい環境下に自ら身を置くことで自己成長したいと考える日本人求職者が増加していることが挙げられます。多くのインド人は給与アップ、ポジションアップなどの条件および待遇面の改善を転職によって実現しようと考えるため、人材の定着を重視する日系企業との間に大きな乖離があります。特にインドにおける年次昇給率が約10%程度であり、転職の際の給与上昇率が10〜25%であることから、転職をした方が、より給料が上がることが大きく起因しています。


■■日本■■
経済の不透明感が広がり求人数は大幅減も、高度人材のニーズは高止まり

【求人数】(日本企業の海外事業関連求人)
対前年四半期比 68%
対前四半期比 72%
JAC Recruitment(日本) 海外進出支援室 室長 佐原 賢治

米中貿易摩擦による追加関税合戦は収束の気配を見せず、経営者心理に不安の影を落としています。6月の工作機械受注が前年比62%と急落するなど、各社の設備投資は勢いを失っています。一方、対外直接投資は欧州向けを除き増加しており、中国から主にASEAN諸国に向けた生産移管が相次いで行われるなど、海外に成長を求める傾向は変わりません。

【企業の採用動向】
一部の大手企業が文系職の中途採用を休止するなど、全体として求人数が減少していることから、当社に寄せられる求人申込みも大幅に落ち込みました。一方、高度IT人材やグローバル人材に対して一部企業が既成の給与制度の枠を超えた好条件で雇用することが報じられており、成長分野に対する人的投資の意欲は依然として高いと感じられます。とりわけ研究開発部門においては、海外のリソースを用いた活動を行うことを前提に「英語力必須」とする求人が増加しています。

【求職者の動向】
4-6月の新規求職者(海外事業経験者の登録者)数は、前四半期比149%と大幅に増加しました。前年同時期比でも141%と、当社の主要な登録者層である35歳以上の人材が一層流動化していることを表しています。
しかし、各社の動向に不透明さが見られる中、求職者の動きは慎重で、特にAI、IoT など最先端分野や海外勤務経験者などを求める求人数は依然として高止まりし、選択肢も多いことから獲得の難度も高いままです。また、大企業を中心に都市部の求人が増加していることから、地方部へのU・Iターンの動きは鈍い状態です。全般的に、現在の勤務先に留まることを選択肢としたまま慎重に転職活動をする転職希望者が増えていることから、採用企業においては募集から入社までのリードタイムを長めに想定しておく必要があります。


◆株式会社ジェイ エイ シー リクルートメントについて◆
1988年設立。スペシャリストや管理職の人材紹介に特化し、企業と人材を一人のコンサルタントが同時に担当する「両面型」のビジネスモデルとして国内最大規模の東証一部上場企業です。国際ビジネス経験をもつ人材の紹介も強みの一つで、日本国内では外資系企業や日系企業の海外事業などのグローバル領域の売上が全体の50%以上を占めています。外資系企業の人材紹介に特化したJAC International、ジョブサイトの「キャリアクロス」を運営するシー・シー・コンサルティング、英国、ドイツおよびアジア8ヵ国で人材紹介業を展開するJAC Recruitment Asia Ltdのグループ会社を傘下に、世界11ヵ国、26拠点で事業を展開するグローバル企業です。

日本 : http://corp.jac-recruitment.jp (コーポレートサイト)
http://www.jac-recruitment.jp (転職サイト)
アジア: http://www.jac-recruitmentasia.com/
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