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中部地方初の肺移植実施施設に藤田医科大学病院が認定

藤田医科大学病院(愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98、病院長:湯澤 由紀夫、以下「当院」)は2020年12月1日に、中部地方では初となる肺移植実施施設に認定されました。これにより、2月初旬より肺移植認定施設として肺移植適応検討と日本臓器移植ネットワークへの待機登録および肺移植手術が可能となります。


肺移植施設としての認定は、中部地方と北海道、四国以外で認定されていた東北大学病院、東京大学医学部附属病院など10施設に続く11番目となります。これまで中部地方の患者さんは遠方の施設に紹介されていましたが、今後当院で肺移植適応評価、インフォームドコンセント、適応検討申請、移植手術までを完遂できることは、患者さんやご家族にとっても朗報といえます。

肺移植手術は国内の全施設合計でも年間60〜90件ほどしか行われていません。当院では、前任地で90件以上の肺移植に携わってきた呼吸器外科の星川 康教授を中心にチームで肺移植に取り組んでまいります。


■星川 康教授を中心とした肺移植専門チーム

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/245317/LL_img_245317_1.jpg
呼吸器外科 星川 康 教授

肺移植に取り組むのは、呼吸器外科の星川 康教授を中心とした肺移植チームです。星川教授は前任地の東北大学で15年間90件以上の肺移植に携わってきました。そして2016年5月に当院へ赴任。ロボット支援手術や胸腔鏡下手術などの低侵襲手術に取り組みつつ、肺移植実施施設認定への準備を進めてきました。
星川教授は、「脳死肺移植を主体に将来的には生体肺移植も視野に入れた体制構築を進めています。これまで中部地方には肺移植実施施設がなく、移植を希望される患者さんは関東や関西などの実施施設に紹介されていました。この地域の慢性進行性呼吸器疾患患者さんに丁寧な肺移植診療を提供していきたい」と話しています。

【専門・実績】呼吸器外科 星川 康教授
日本呼吸器外科学会指導医、呼吸器外科専門医、気管支鏡指導医・専門医、日本移植学会認定医、日本呼吸器外科学会認定ロボット支援手術プロクター(手術指導医)、日本臓器保存生物医学会理事、日本呼吸器外科学会評議員・総合診療対策委員会委員・呼吸器外科専門医合同委員会書類審査実務部会部員・学術委員会学術調査部会部員・NCD委員会委員、日本胸部外科学会評議員・国際委員会委員、日本移植学会代議員、日本外科学会邦文誌編集委員会委員


■認定の流れと国内の肺移植実施施設
肺移植実施施設は、肺・心肺移植関連学会協議会の審査を経て、移植関連学会合同委員会が認定します。認定には、手術実績や研究業績、待機患者管理・摘出および移植手術・術後管理における十分なスタッフ数、呼吸器内科・麻酔科・心臓血管外科・循環器内科など多岐にわたる施設内協力体制、種々の専門医修練施設認定、マニュアル整備、レシピエント移植コーディネーターの有無など、厳しい審査基準が設けられています。認定後は、肺移植実施施設として日本臓器移植ネットワークに登録されることにより、実運用が可能となります。

〈肺移植実施認定施設〉2021年1月末日現在 11施設
東北大学病院 (宮城県)
獨協医科大学病院 (埼玉県)
千葉大学医学部附属病院 (千葉県)
東京大学医学部附属病院 (東京都)
京都大学医学部附属病院 (京都府)
大阪大学医学部附属病院 (大阪府)
国立循環器病研究センター(大阪府)※心肺同時移植のみ
岡山大学病院 (岡山県)
福岡大学病院 (福岡県)
長崎大学病院 (長崎県)
藤田医科大学病院 (愛知県)


■肺移植の適応条件
肺移植の適応は、1. 一般的適応指針を満たしているか、2. 肺移植の適応となる疾患かどうか、3. 除外基準に当てはまらないかどうかの3ステップで判断します。

1. 一般的適応指針では、治療に反応しない慢性進行性肺疾患で肺移植以外に救命の有効な手段がなく、残存余命が限定されると判断される場合、肺移植の適応となります。中央肺移植検討委員会申請時点での年齢制限があり、本人の精神状態、治療の必要性の認識、家族の協力体制にも言及されています。移植後の定期検査・免疫抑制療法を理解し、心理学的・身体的にそれらに耐えうることも重要とされます。

2. 疾患として、間質性肺炎、肺気腫、肺リンパ脈管筋腫症、肺高血圧症などが適応となります。

3. 除外基準は、肺移植によって救命することが困難と考えられる状況を示す基準で、肺外の活動性の感染巣、悪性腫瘍・骨髄疾患など他の重要臓器の不可逆性障害、精神社会生活上の重要な障害の存在などが含まれています。


■平均の待機期間は2年以上という現状
日本臓器移植ネットワークのデータによると、実施施設で行われている肺移植手術は脳死・生体合わせて年間60〜90件なのに対し、2020年12月末現在446名の患者さんが待機しています。待機期間は平均2年以上で、その間に4割弱の待機中患者さんが亡くなっています。2010年7月の臓器移植法の改正で本人の同意がなくとも家族の同意で脳死下臓器提供が可能になり、提供件数も増加傾向ですが、待機者数と比較してまだ著しく不足しています。


■臓器提供数増加に向けた「あいち臓器提供支援プログラム」の取り組み
一般市民と医療従事者の臓器提供、臓器移植に対する理解を深め、移植医療を推進し、臓器提供数増加に寄与することを目的に、2017年11月に藤田医科大学をはじめ医学部を有する愛知県内4大学の学長らが中心となってNPO法人「あいち臓器提供支援プログラム(Aichi Organ Donation Association, AODA)」(事務局:藤田医科大学病院移植医療支援室内)を設立。セミナーや市民公開講座などを通して普及啓発活動を行う他、藤田医科大学病院を拠点として未だ脳死・心停止下臓器提供の実績のない施設と連携し提供実績に結びつけるための事業を推進中です。
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