コンクリートへの廃プラ固定化技術、米MITと共同開発
[21/07/16]
提供元:@Press
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會澤高圧コンクリート株式会社(本社:北海道苫小牧市、代表取締役社長:會澤 祥弘)は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の基礎研究から生まれたプラスチック改質技術を応用し、改質プラスチック廃棄物(改質廃プラ)をコンクリート内部に固定化することで、廃プラの大量リサイクルとコンクリートの低炭素化を同時に進める新たなスマートマテリアル事業に参入します。MITのスタートアップであるMiConテクノロジー(米マサチューセッツ州ケンブリッジ市)と5月1日、共同開発契約(JDA)を締結し、移動式の廃プラ改質装置やリサイクルモデルの開発に共同で取り組みます。23年春の実用化を目指しています。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_1.png
AIZAWA×MiCon Technology
品質が劣化した破砕プラスチックをコンクリートに添加した場合、コンクリートのフレッシュ性状に悪い影響を与え、硬化後には強度が劣化するなど物理特性の著しい低下を招きます。コンクリート並びに持続可能なセメント系材料開発の世界的なリーダーであるMITのオラール・ビューカスターク教授の研究室は、破砕した廃プラにガンマ線を特殊な方法で照射することで表面を改質し、物理特性を損なうことなく細骨材(砂)などの代替材料としてコンクリート製造に利用する基礎研究に成功。材料加工技術の研究者であるカーヴェ・バクタリイ博士らと共に、2018年、知的財産管理と事業化を目指すMiConテクノロジーを設立しました。カーヴェ博士はMiConのCEO、オラール教授はCTOにそれぞれ就任しています。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_2.jpg
左からカーヴェ博士(CEO)、オラール教授(CTO)
当社は2019年初頭よりMiConテクノロジーとの技術交流を開始し、アイザワ技術研究所(札幌市)を通じて、およそ一年半に及ぶ技術の検証と事業化調査(FS)を実施しました。その結果、MiConの改質技術によって、(1)コンクリート1m3当たり平均約5kgの廃プラ(500mlのペットボトル200本分に相当)を細骨材の代替材料としてコンクリート製造に使用できる (2)これに伴い5kgの廃プラを焼却した際に発生する13kg相当のCO2をコンクリート中に半永久的に固定化できる (3)強度の増進が期待できるシリカフューム等の材料と改質廃プラを混合して「混和剤」のように使用すれば、同等かそれ以上のコンクリート強度を引き出せる潜在力がある、ことなどを確認しました。
廃プラの単純焼却と「熱利用」と呼ばれる廃プラの“リサイクル”から排出されるCO2の量は、一般廃棄物と産業廃棄物の合計で、年間1,950万トンに及びます。リサイクル扱いとされる「熱利用」ですが、CO2発生を間接的に抑制する効果はあるものの、焼却の際に大量のCO2を排出している事実に変わりはありません。本技術では、「分別回収されたプラスチックを燃料ではなく材料として真にリサイクルする」(會澤社長)ことができ、CO2の固定化だけでなく、さらなる強度の増進によってセメント自体の使用量を戦略的に減らす、ダブルのCO2削減効果が期待されます。
当社とMiConは、今般の共同開発契約において、ガンマ線照射と同じ改質効果が得られ、かつ処理スピードが早い「電子ビーム照射機」(インラインマシン)を移動可能なコンテナ型モジュールとして開発します。同時に、改質した廃プラをコンクリート材料として大量に使えるようセメントなどとプレミックスした混和剤としての商品開発にも取り組み、ペットボトル回収や脱炭素化に取り組む飲料メーカーなどとも連携して地域に密着したリサイクルモデルの開発を進める考えです。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_3.jpg
MiCon Technology概要
MiConとの共同開発について、当社の會澤 祥弘社長は、「通常ではコンクリートの材料にまずなり得ない廃プラを電子ビーム照射で改質して砂代替に早変わりさせる非常にユニークな技術だ。インラインマシンをコンテナモジュールとして開発・実装するのがポイント。多くの生コン工場やコンクリート製品工場に分散配備しやすく、また廃プラの処理需要の変化に合わせて、モジュールを移動したり、複数のモジュールを組み合わせて使うことができる。比較的小さなエリアごとに、住民と回収業者、コンクリート工場が連携した廃プラの材料リサイクルシステムをフレキシブルに展開できるようになるだろう」と話しています。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_4.jpg
Recycle Model image
世界では毎年3億トンものプラスチックが廃棄され、焼却処分によるCO2の発生、埋め立てによる土壌汚染、海洋投棄によるマイクロプラスチックの生態系への影響など、地球規模で深刻な問題を引き起こしています。こうしたなか、日本では分別回収された廃プラのおよそ6割が焼却され、材料としての再利用は25%程度と低い水準にとどまっています。脱炭素化の流れを受けて熱利用を含む廃プラの焼却処理が難しくなるなか、外国からの廃プラ輸入を禁止する動きも各国で強まり、行き場を失った廃プラが不法投棄されるといった問題を引き起こしています。
世界のコンクリートの生産量は年間およそ300億トンと最も大量に使用されている材料だけに、廃プラの改質処理技術が確立すれば、脱炭素や環境改善へのインパクトが大きい。MiConの可能性について、オラール教授は「世界で1トンの廃プラを、世界のコンクリートに組み込むことができれば、年間0.5ギトンのCO2排出量を削減できる可能性を秘めている」と話しています。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_5.png
MiCon Technology QRコード
MiCon Technology: https://www.micontech.jp/
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_6.png
會澤高圧コンクリート QRコード
會澤高圧コンクリート株式会社: https://www.aizawa-group.co.jp/
【本プレスリリースのお問い合わせ先】
■會澤高圧コンクリート株式会社
生産科学本部副本部長 酒井 亨
TEL:080-2863-4123
■アイザワ技術研究所株式会社
主席研究員/シニアフェロー 中村 聖二
TEL:080-5535-7841
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_1.png
AIZAWA×MiCon Technology
品質が劣化した破砕プラスチックをコンクリートに添加した場合、コンクリートのフレッシュ性状に悪い影響を与え、硬化後には強度が劣化するなど物理特性の著しい低下を招きます。コンクリート並びに持続可能なセメント系材料開発の世界的なリーダーであるMITのオラール・ビューカスターク教授の研究室は、破砕した廃プラにガンマ線を特殊な方法で照射することで表面を改質し、物理特性を損なうことなく細骨材(砂)などの代替材料としてコンクリート製造に利用する基礎研究に成功。材料加工技術の研究者であるカーヴェ・バクタリイ博士らと共に、2018年、知的財産管理と事業化を目指すMiConテクノロジーを設立しました。カーヴェ博士はMiConのCEO、オラール教授はCTOにそれぞれ就任しています。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_2.jpg
左からカーヴェ博士(CEO)、オラール教授(CTO)
当社は2019年初頭よりMiConテクノロジーとの技術交流を開始し、アイザワ技術研究所(札幌市)を通じて、およそ一年半に及ぶ技術の検証と事業化調査(FS)を実施しました。その結果、MiConの改質技術によって、(1)コンクリート1m3当たり平均約5kgの廃プラ(500mlのペットボトル200本分に相当)を細骨材の代替材料としてコンクリート製造に使用できる (2)これに伴い5kgの廃プラを焼却した際に発生する13kg相当のCO2をコンクリート中に半永久的に固定化できる (3)強度の増進が期待できるシリカフューム等の材料と改質廃プラを混合して「混和剤」のように使用すれば、同等かそれ以上のコンクリート強度を引き出せる潜在力がある、ことなどを確認しました。
廃プラの単純焼却と「熱利用」と呼ばれる廃プラの“リサイクル”から排出されるCO2の量は、一般廃棄物と産業廃棄物の合計で、年間1,950万トンに及びます。リサイクル扱いとされる「熱利用」ですが、CO2発生を間接的に抑制する効果はあるものの、焼却の際に大量のCO2を排出している事実に変わりはありません。本技術では、「分別回収されたプラスチックを燃料ではなく材料として真にリサイクルする」(會澤社長)ことができ、CO2の固定化だけでなく、さらなる強度の増進によってセメント自体の使用量を戦略的に減らす、ダブルのCO2削減効果が期待されます。
当社とMiConは、今般の共同開発契約において、ガンマ線照射と同じ改質効果が得られ、かつ処理スピードが早い「電子ビーム照射機」(インラインマシン)を移動可能なコンテナ型モジュールとして開発します。同時に、改質した廃プラをコンクリート材料として大量に使えるようセメントなどとプレミックスした混和剤としての商品開発にも取り組み、ペットボトル回収や脱炭素化に取り組む飲料メーカーなどとも連携して地域に密着したリサイクルモデルの開発を進める考えです。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_3.jpg
MiCon Technology概要
MiConとの共同開発について、当社の會澤 祥弘社長は、「通常ではコンクリートの材料にまずなり得ない廃プラを電子ビーム照射で改質して砂代替に早変わりさせる非常にユニークな技術だ。インラインマシンをコンテナモジュールとして開発・実装するのがポイント。多くの生コン工場やコンクリート製品工場に分散配備しやすく、また廃プラの処理需要の変化に合わせて、モジュールを移動したり、複数のモジュールを組み合わせて使うことができる。比較的小さなエリアごとに、住民と回収業者、コンクリート工場が連携した廃プラの材料リサイクルシステムをフレキシブルに展開できるようになるだろう」と話しています。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_4.jpg
Recycle Model image
世界では毎年3億トンものプラスチックが廃棄され、焼却処分によるCO2の発生、埋め立てによる土壌汚染、海洋投棄によるマイクロプラスチックの生態系への影響など、地球規模で深刻な問題を引き起こしています。こうしたなか、日本では分別回収された廃プラのおよそ6割が焼却され、材料としての再利用は25%程度と低い水準にとどまっています。脱炭素化の流れを受けて熱利用を含む廃プラの焼却処理が難しくなるなか、外国からの廃プラ輸入を禁止する動きも各国で強まり、行き場を失った廃プラが不法投棄されるといった問題を引き起こしています。
世界のコンクリートの生産量は年間およそ300億トンと最も大量に使用されている材料だけに、廃プラの改質処理技術が確立すれば、脱炭素や環境改善へのインパクトが大きい。MiConの可能性について、オラール教授は「世界で1トンの廃プラを、世界のコンクリートに組み込むことができれば、年間0.5ギトンのCO2排出量を削減できる可能性を秘めている」と話しています。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_5.png
MiCon Technology QRコード
MiCon Technology: https://www.micontech.jp/
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/267540/LL_img_267540_6.png
會澤高圧コンクリート QRコード
會澤高圧コンクリート株式会社: https://www.aizawa-group.co.jp/
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■會澤高圧コンクリート株式会社
生産科学本部副本部長 酒井 亨
TEL:080-2863-4123
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TEL:080-5535-7841