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【生活トレンド研究所レポート2014 vol.1】「東京・静岡・大阪・兵庫の防災意識」に関する調査を実施

株式会社オールアバウト(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 兼 CEO:江幡 哲也)が運営するマーケティング・チャネル「生活トレンド研究所」は、2014年第1弾のレポートとして防災や収納、リフォームの専門家3名を研究員ガイドに迎え、「4都府県の防災意識」に関するアンケート調査を実施しました。
調査期間は2013年12月5日(木)〜2013年12月11日(水)、東京都・静岡県・大阪府・兵庫県在住の20〜59歳男女計2,628名から有効回答を得ました。

■「生活トレンド研究所」のURL: http://allabout.co.jp/trend_lab/


【調査のポイント】
「防災」ガイド 和田 隆昌氏
「収納」ガイド すはら ひろこ氏
(1) 東京、静岡は7割以上が「防災を意識している」と回答
  「備蓄」や「防災グッズ」の用意率も大阪・兵庫より高い

「東日本大震災で被害も受けておらず、被災経験のない静岡県の住民の意識の高さは地方都市としてはずば抜けて優秀で、自治体、各種団体の防災に対する活動、住民への働きかけが非常に活発で、継続的であることが表れています。対して関西地区は、実態的にも、住民の間にはもう阪神・淡路大震災の記憶は20年近く経ったことによって、防災意識は相当薄れていて、地域の防災活動などは全体に縮小しています。」(和田氏)

(2) 東京の7割は3日以上過ごせる程度の水や食糧を備蓄
  揃えている防災グッズは「水」や「懐中電灯」

「東京や大阪などの都市部では、地域住民全体で災害に対応するという意識が希薄なため、災害には個人(家族)で対応するしかないと思っている人が多いと思います。東日本大震災での経験も踏まえて、今現在は、まだ物資不足に対する危機意識が強い傾向を感じます。」(和田氏)

(3) 備蓄物、防災グッズの置き場所は「玄関」や「キッチン」

「自治体などでは、『非常用品袋』にある『備蓄』と長期避難用の『備蓄』、それぞれをどこに置くべきなどという指示はあまり明確にしていないのが実情です。」(和田氏)

「備蓄・防災用品だけ買い揃えていても、置き場所と収納法が伴っていないと、いざというときに役立ちません。」(すはら氏)

「リフォーム」ガイド Yuu氏
(4) 「新耐震基準」について各都府県ともに5割以上が認知
  家具等の防災対策は約半数が「特に行っていない」

「1981年は新耐震基準が制定された年で、この年を境に日本の住宅の耐震性能は大きく進化しましたが、この認知度が各都市ともに50%以上もあります。一法律の施行令改正内容にここまで広い認知があるのは異例ともいえ、それだけ地震への国民的危機意識が根付いているといえるでしょう。」(Yuu氏)


1) 現在、防災について東京都の72.4%が「意識している」と回答。
  一方で大阪府と兵庫県は1割ほど低い約60%であった。
  防災意識が高いとされている静岡県も73.0%と高い結果に。
今回の調査で、現在の防災意識について聞いたところ、「意識している」「やや意識している」と回答した人は、東京都で72.4%、静岡県で73.0%という結果になりました。
一方で、1995年に阪神・淡路大震災を体験した大阪府と兵庫県は、それぞれ60.7%、63.2%と、東京・静岡に比べて1割程度低いことがわかりました。(グラフ1 http://www.atpress.ne.jp/releases/42132/img_42132_1.gif )

この結果について、「防災」ガイドの和田 隆昌氏は次のように解説しています。
「東日本大震災以降、2011年、2012年は余震も多く、首都直下型地震に対する政府発表も続いたため、数字の上では東京の防災意識は未だ保たれているかのように見えます。その点、東日本大震災で被害も受けておらず、被災経験のない静岡県の住民の意識の高さは地方都市としてはずば抜けて優秀で、自治体、各種団体の防災に対する活動、住民への働きかけが非常に活発で、継続的であることが表れています。対して関西地区は、実態的にも、住民の間にはもう阪神・淡路大震災の記憶は20年近く経ったことによって、防災意識は相当薄れていて、地域の防災活動などは全体的に縮小しています。ただ、2013年4月に淡路島で大きめの地震があったことで、意識だけは少し持ち直している可能性があります」

また、日頃から行っている防災対策について聞いたところ、「食糧や水を備蓄している」と「防災グッズを買い揃えている」という項目においては東京都と静岡県が他の2県よりも高いポイントとなりました。さらに、「地域の防災訓練や防災教室等に参加したことがある」については静岡県が他の都府県よりも倍以上高いポイントでした。(グラフ2 http://www.atpress.ne.jp/releases/42132/img_42132_2.gif )

これについて、和田氏は次のように解説しています。
「東京の住宅事情から考えて、『家具の固定』は地震対策の選択肢になりにくいことが考えられます。また東日本大震災発生後の物資の不足から一時的に備蓄に対する関心が高まっているのでしょうが、震災後に購入して、期限切れになった後に買い替えまでする人はごくわずかであることが予想されます。
都市部では防災訓練自体どこでやっているか知らない、一度も参加したことがない人が多いのではないでしょうか。『特になにもしていない』という率が大阪府、兵庫県ともに30%近くだったことも意識の低下を物語っていると思います。対して、全国的に見ても、静岡県は最も自治体主催、および地域での防災訓練が活発に行われている地域であり、東海地震の危機が叫ばれ始めた1970年代より継続的に続けられています。その後、この数年の『南海トラフ巨大地震』の発生リスクに対する報道でまた危機意識が高まり、避難訓練への参加は多くの住民が体験していると思います」


2) 3日以上過ごせる程度の水や食糧を、一番備蓄しているのは東京都(74.4%)、最もしていないのは静岡県(59.1%)
「備蓄」をしている人に、どの程度の量を備蓄しているか聞いたところ、“世帯人数全員が3日間過ごせる程度の水と食糧”と回答した人が一番多い結果となりました。また、意外にも静岡県に関しては「7日間」、「3日間」両方において他の都府県より少ないことがわかりました。(グラフ3 http://www.atpress.ne.jp/releases/42132/img_42132_3.gif )

これについて、和田氏は次のように解説しています。
「東京や大阪などの都市部では、地域住民全体で災害に対応するという意識が希薄なため、災害には個人(家族)で対応するしかないと思っている人が多いと思います。東日本大震災での経験も踏まえて、今現在は、まだ物資不足に対する危機意識が強い傾向を感じます。
静岡県の結果に関しては、『意識している』ことと『実際に準備している』実態との違いが表れていて、地方都市に行って話を聞くと『いざとなれば隣近所で支えあう』、『あるもので何とか間に合わせる』という人も多く、『備蓄』に関して用意していない人が多いように思われます。静岡の自治体の防災教育もこの数字を見る限り、少し防災訓練、避難訓練のみに偏っているのかもしれません。静岡は備蓄に関してももっと充足率が高いものと思っていたので、この数字に関してはやや意外でした」

さらに、「備蓄」や「防災グッズ」で揃えているものについて聞いたところ、「水」(86.4%)や「懐中電灯」(80.9%)などが多く挙げられていました。(グラフ4 http://www.atpress.ne.jp/releases/42132/img_42132_4.gif )

これについて、和田氏は次のように解説しています。
「リストにはありませんが、避難時には必ず必要になるヘルメット、マスク、雨ガッパなども重要です。特にマスクは避難所でも感染防止のために必要です。避難途中で倒壊家屋からの粉塵・煙などを防ぐためにも必ず用意しておきたいものです。お子さんのいるご家庭では、少なくとも子供の分だけでもヘルメットを用意しておいたほうがいいでしょう。
また、避難時に雨が降っている場合、傘を持って歩くよりもフード付きの雨ガッパを使用しましょう。雨ガッパは安価でコンパクトですし、冬季には防寒具にもなりますので避難袋に人数分用意しておきましょう。
懐中電灯も必要なのですが、停電時に自動点灯する『保安灯』も寝室・廊下に装備しておきたいところです」


3) 「備蓄」や「防災グッズ」の置き場所は玄関やキッチン
  何も用意しない理由は、「何をどれだけ揃えたら良いのかわからない」(54.8%)、「置き場所がない」(36.6%)
先程の「備蓄」、「防災グッズ」の収納先については、東京都と静岡県は「玄関」が一番多く、大阪府と兵庫県は「キッチン」が一番多いという結果となりました。(グラフ5 http://www.atpress.ne.jp/releases/42132/img_42132_5.gif )

この結果について、和田氏は次のように解説しています。
「自治体などでは、『非常用品袋』にある『備蓄』と長期避難用の『備蓄』、それぞれをどこに置くべきなどという指示はあまり明確にしていないのが実情です。すぐに持ち出すための『非常用品袋』は玄関に、『備蓄』はキッチン、納戸など置けるところに分けておくのが良いかと思いますが、玄関付近に置くべき『非常用品袋』の必要性があまり関西地区に広まっていないような気がします。東西の住宅事情が極端に違うとは考えられないので、新しい防災教育を全国的に広める必要性を感じました」

さらに、「収納」ガイドのすはら ひろこ氏も次のように解説しています。
「玄関や寝室には、とっさに避難するときの非常持ち出し袋や防災グッズを備え、キッチンには水や備蓄食品を中心にストックするというのが、まっさきに思い浮かぶ方法です。納戸や押入れに収納しているという回答は、まとまったスペースに確保しやすいという住宅事情によるものと考えられます。
ただし、そこは長期間しまったままになりやすい収納なので、すぐに取り出せる状態になっていて、食品の期限管理がしやすいということが前提になります。備蓄・防災用品だけ買い揃えていても、収納法が伴っていないと、いざというときに役立ちません」

なお、「備蓄」や「防災グッズ」を用意していない理由として挙げられたのは、「何をどれだけ揃えたら良いかわからない」(54.8%)が一番多く、次に「置く場所がない」(36.6%)とスペースの問題が挙げられました。(グラフ6 http://www.atpress.ne.jp/releases/42132/img_42132_6.gif )

この結果に対し、すはら氏は次のように解説しています。
「実際に何をどれくらい揃えて置いておけば安心なのか?そのためには、どれくらいの収納量が必要なのか?具体的に見当がつかないというのが正直なところでしょう。そして、そもそも置き場所を作る余裕もないし、買い揃える予算もないから備えていないという理由もほぼ予想通りです。裏を返せば、こうした理由をクリアしていく必要があるということになります。予測のできない自然災害を経験した今、日常生活での収納と災害に備える収納とが両立できるという提案が求められているのだと実感しました」


4)「新耐震基準」については各都府県とも5割以上が認知
  しかしそのうち3割は意識せずに住宅を選んでいる
1981年以前、以後に建設された建物の耐震性の違いについての認知度を確認したところ、4都府県全てにおいて5割以上は「知っている」と回答。しかし、そのうち3割が「知っていたが、今の家は特に意識せずに選んだ」ことがわかりました。(グラフ7 http://www.atpress.ne.jp/releases/42132/img_42132_7.gif )

この結果について、「リフォーム」ガイドのYuu氏は次のように解説しています。
「1981年は新耐震基準が制定された年で、この年を境に日本の住宅の耐震性能は大きく進化しましたが、この認知度が各都市ともに50%以上もあります。一法律の施行令改正内容にここまで広い認知があるのは異例ともいえ、それだけ地震への国民的危機意識が根付いているといえるでしょう。ただ気になるのは、実際の家選びではその知識が半分も生かされていない点です。今年、総務省において宅地・土地統計調査が行われましたが、その結果でも旧耐震の建築物の改修の進捗が遅いという報告が予見されています。共同住宅を含め、耐震改修に対する更なる推進が必要と考えます」

また、家の家具等の防災対策について聞いたところ、東京都・静岡県では約4割が、大阪府・兵庫県では約5割が「特に行っていない」と回答。実施している対策で一番多かったのは、「本棚やタンス、食器棚等の固定」でした。(グラフ8 http://www.atpress.ne.jp/releases/42132/img_42132_8.gif )

これについてYuu氏は次のように解説しています。
「屋内の防災意識については概ね予想通りで、家具の固定の重要性は半数近くの人が意味を認め実施しています。しかし、ガラスの飛散防止については、地震だけではなく台風や竜巻などの災害対策にも有効であることを考えると、かなり低い数値であると言わざるを得ません。家具の固定は直接的な圧死につながるので想像しやすい危険ですが、ガラスの飛散による避難経路の遮断や切り傷による出血も、生命に係る重篤な事態に発展する危険があることを広く周知させる必要があるでしょう」


■調査概要
・調査期間:2013年12月5日(木)〜2013年12月11日(水)
・調査対象:東京都・静岡県・大阪府・兵庫県在住の20〜59歳男女
      (ジャストシステム「ファストアスク」リサーチ会員)
・割付  :<東京都>
      男性 20〜24歳 41名、25〜29歳 43名、30〜34歳 42名、
      35〜39歳 43名、40〜44歳 41名、45〜49歳 42名、
      50〜54歳 41名、55〜59歳 43名 計336名
      女性 20〜24歳 42名、25〜29歳 41名、30〜34歳 42名、
      35〜39歳 41名、40〜44歳 42名、45〜49歳 41名、
      50〜54歳 42名、55〜59歳 41名 計332名
      <静岡県>
      男性 20〜24歳 24名、25〜29歳 42名、30〜34歳 41名、
      35〜39歳 42名、40〜44歳 41名、45〜49歳 42名、
      50〜54歳 41名、55〜59歳 42名 計315名
      女性 20〜24歳 34名、25〜29歳 41名、30〜34歳 42名、
      35〜39歳 42名、40〜44歳 42名、45〜49歳 41名、
      50〜54歳 42名、55〜59歳 41名 計325名
      <大阪府>
      男性 20〜24歳 41名、25〜29歳 42名、30〜34歳 41名、
      35〜39歳 43名、40〜44歳 41名、45〜49歳 42名、
      50〜54歳 41名、55〜59歳 42名 計333名
      女性 20〜24歳 42名、25〜29歳 41名、30〜34歳 42名、
      35〜39歳 41名、40〜44歳 43名、45〜49歳 41名、
      50〜54歳 42名、55〜59歳 41名 計333名
      <兵庫県>
      男性 20〜24歳 29名、25〜29歳 42名、30〜34歳 41名、
      35〜39歳 42名、40〜44歳 41名、45〜49歳 42名、
      50〜54歳 42名、55〜59歳 42名 計321名
      女性 20〜24歳 42名、25〜29歳 43名、30〜34歳 41名、
      35〜39歳 41名、40〜44歳 42名、45〜49歳 41名、
      50〜54歳 42名、55〜59歳 41名 計333名
・調査方法:インターネットリサーチ


【「生活トレンド研究所」について http://allabout.co.jp/trend_lab/
「生活者のトレンドと未来をひも解くマーケティング・チャネル」であることをミッションに掲げ、総合情報サイト「All About」で活躍する住宅、マネー、健康、グルメ、一般消費財等、様々な領域における専門家(=ガイド)が研究員となって、企業と生活者がより良い関係性を構築するための調査、市場分析を行なっていきます。その分野における高い専門性はもちろんのこと、生活者・実務家としての考えや想いも兼ね備えた「All Aboutガイド」ならではの分析・考察を重ねることで、表面的な定量データでは捉えられない新たな潮流や課題を浮き彫りにしていきます。
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