民間宇宙開発チーム「ハクト」がGoogle Lunar XPRIZE中間賞にノミネート
[14/02/20]
提供元:@Press
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民間企業による月面探査を競う国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一参加するチーム「ハクト」(運営:株式会社ispace)が、2014年2月19日(太平洋標準時)、Google Lunar XPRIZEが設ける中間賞の書類審査を通過し、モビリティサブシステム中間賞(走行系)にノミネートされたことが、発表されました。
<ハクト デュアルローバー>
http://www.atpress.ne.jp/releases/43493/img_43493_1.jpg
■中間賞について
2013年11月にXPRIZE財団とGoogleが発表した中間賞は、順調に開発を進めているチームを経済的にサポートし、更なる投資や認知を上げることを目的としています。そのために、月面ミッション達成で授与される総額3,000万ドルの賞金に加え、総額1,000万ドルを新たに中間賞として設定しています。
http://www.googlelunarxprize.org/blog/making-milestones-moon
現在、公表された中間賞は下記の3つの賞からなる総額600万ドル分です。それぞれ月面ミッションには不可欠な要素技術であり、2014年9月末までに、Flight-Ready、すなわち実際に打上げ可能であることを検証できたチームに賞金が与えられます。
1 イメージングサブシステム中間賞(画像処理系)《4チームまで》:250,000ドル/チーム
2 モビリティサブシステム中間賞(走行系)《4チームまで》:500,000ドル/チーム
3 ランダーシステム中間賞(着陸船)《3チームまで》:1,000,000ドル/チーム
Google Lunar XPRIZE登録チームにのみエントリー資格があり、各チームが中間賞用の応募書類を2013年11月14日(太平洋標準時)までにXPRIZE財団に提出し中間賞へのエントリーをしました。その後、専門家で構成されるGoogle Lunar XPRIZEの審判団が実現性の高さを応募書類で審査し、上記各賞のノミネートチームが選定され、2014年2月19日(太平洋標準時)にXPRIZE財団より公表されました。ノミネートチームは、応募書類で提示した開発計画を2014年の9月末までに達成した場合、中間賞を受賞する事ができます。
■中間賞獲得に向けた計画について
1.開発するローバー
ハクトでは、今まで開発を進めてきた4輪タイプのローバーと対向2輪タイプのローバーの2タイプを組み合わせた新しいコンセプトの「デュアルローバー」の開発をおこない、中間賞の獲得を目指します。
<デュアルローバー イメージ>
http://www.atpress.ne.jp/releases/43493/img_43493_2.jpg
「デュアルローバー」は走破性や通信能力、発電能力の高い4輪タイプのローバー(親ローバー)と機動性の高い対向2輪タイプのローバー(子ローバー)を電力供給機能や通信機能を持ったテザー(ケーブル)で繋ぎ、両タイプの強みを組み合わせる事で、より価値のある月面探査を実現できるモデルです。
このモデルは、単にGoogle Lunar XPRIZEのミッションを実行するだけでなく、さらに月面に存在する「縦穴」を探査することを目的としています。「縦穴」とは、日本の月周回衛星SELENE(かぐや)によって発見された月面に垂直に開いた穴で、地下の溶岩チューブへの入り口になると考えられています。この「縦穴」は月の誕生を理解する鍵になったり、将来人類が長期滞在する基地を設営するための有力候補地でもあります。
<月縦穴の探査イメージ>
http://www.atpress.ne.jp/releases/43493/img_43493_3.jpg
2.開発体制
ハクトを運営する株式会社ispaceは昨年末に、今までハクトとパートナー関係にあった、東北大学宇宙ロボット研究室と共同研究契約を締結しました。これによりハクトは中間賞の獲得、そして2015年末までにおこなう月面ミッションに向け、より東北大学宇宙ロボット研究室との連携を強め研究開発を進めていきます。
3.開発状況
デュアルローバーの開発は昨年末よりスタートしており、エンジニアリングモデルに位置づけたローバーによる研究室やフィールドを使った実験においてコンセプトの検証をほぼ完了しております。
<デュアルローバーの開発風景>
http://www.atpress.ne.jp/releases/43493/img_43493_4.jpg
<デュアルローバーフィールド試験映像>
http://youtu.be/tLIr_ofblW4
中間賞で設定された2014年9月末に向けて、放射線や熱、振動、衝撃など宇宙環境に対応したプレフライトモデルの開発を進め、中間賞の獲得を目指します。
■ハクトメンバーのコメント
中間賞ノミネートにあたりハクトのチームリーダー 袴田 武史は以下のコメントを発表しています。
「中間賞ノミネートにより、ハクトが示す開発計画や技術力が世界的にもトップレベルである事が証明されました。中間賞を確実に獲得し、賞金の50万ドルの獲得すると共に、ハクトが月面探査を実行できる十分な能力を持っている事を証明し、さらなるスポンサーや投資を喚起し、資金調達も順調に進むことを期待しています。」
またハクトのローバー開発をリードする東北大学 吉田 和哉教授は次のように述べています。
「東北大学宇宙ロボット研究室では、1997年以来17年間にわたって月惑星探査ロボットの研究開発に取り組み、世界に負けない技術力と実績を積み上げてきています。今回のノミネートを弾みとして、中間賞ならびにその次のステップを目指して、月ローバーの開発を加速していきたいと思います。」
■Google Lunar XPRIZEについて
「Google Lunar XPRIZE」は、Googleがスポンサーとなり、XPRIZE財団によって運営される、民間組織による月面無人探査を競う総額4,000万ドルの国際賞金レースです。ミッションは、2015年12月31日までに月面に純民間開発の無人探査機を着陸させ、着陸地点から500m以上移動し、指定された高解像度の動画や静止画データを地球に送信すること。世界10カ国以上から18チームが参加しています。
http://www.googlelunarxprize.org
■ハクトについて
「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一エントリーするチームで、株式会社ispaceが運営しています。小惑星探査機「はやぶさ」をはじめとして数々の宇宙機の開発に携わっている東北大学大学院航空宇宙工学専攻の吉田 和哉教授を中心に月面探査ローバーの開発と、チームの広報活動を行っております。月への挑戦プロセスを開放し、今までの宇宙産業にないオープンな宇宙開発を実行しています。
http://team-hakuto.jp
■東北大学宇宙ロボット研究室について
吉田 和哉教授が研究室を率いており、長年にわたって、月・惑星探査ローバーの機構と制御の基礎研究として、不整地走行性能の高い走行・サスペンション機構の研究や、砂地のようなすべりやすい地面を自在に走行するための制御法、障害物や地形の認識に基づいた遠隔自律探査などの研究を行っています。
また、小惑星探査機「はやぶさ」を含む数多くの宇宙関連のミッションに貢献し、「雷神」「雷神2」を始めとした小型大学衛星の開発も行っています。さらに、惑星探査ロボットの開発で培った不整地走行、遠隔操縦の技術を応用して、地上での災害非常時の情報収集ロボットの開発にも取り組んでおり、福島第一原子力発電所に投入された日本の災害ロボットの開発にも携わっています。
http://www.astro.mech.tohoku.ac.jp/
<ハクト デュアルローバー>
http://www.atpress.ne.jp/releases/43493/img_43493_1.jpg
■中間賞について
2013年11月にXPRIZE財団とGoogleが発表した中間賞は、順調に開発を進めているチームを経済的にサポートし、更なる投資や認知を上げることを目的としています。そのために、月面ミッション達成で授与される総額3,000万ドルの賞金に加え、総額1,000万ドルを新たに中間賞として設定しています。
http://www.googlelunarxprize.org/blog/making-milestones-moon
現在、公表された中間賞は下記の3つの賞からなる総額600万ドル分です。それぞれ月面ミッションには不可欠な要素技術であり、2014年9月末までに、Flight-Ready、すなわち実際に打上げ可能であることを検証できたチームに賞金が与えられます。
1 イメージングサブシステム中間賞(画像処理系)《4チームまで》:250,000ドル/チーム
2 モビリティサブシステム中間賞(走行系)《4チームまで》:500,000ドル/チーム
3 ランダーシステム中間賞(着陸船)《3チームまで》:1,000,000ドル/チーム
Google Lunar XPRIZE登録チームにのみエントリー資格があり、各チームが中間賞用の応募書類を2013年11月14日(太平洋標準時)までにXPRIZE財団に提出し中間賞へのエントリーをしました。その後、専門家で構成されるGoogle Lunar XPRIZEの審判団が実現性の高さを応募書類で審査し、上記各賞のノミネートチームが選定され、2014年2月19日(太平洋標準時)にXPRIZE財団より公表されました。ノミネートチームは、応募書類で提示した開発計画を2014年の9月末までに達成した場合、中間賞を受賞する事ができます。
■中間賞獲得に向けた計画について
1.開発するローバー
ハクトでは、今まで開発を進めてきた4輪タイプのローバーと対向2輪タイプのローバーの2タイプを組み合わせた新しいコンセプトの「デュアルローバー」の開発をおこない、中間賞の獲得を目指します。
<デュアルローバー イメージ>
http://www.atpress.ne.jp/releases/43493/img_43493_2.jpg
「デュアルローバー」は走破性や通信能力、発電能力の高い4輪タイプのローバー(親ローバー)と機動性の高い対向2輪タイプのローバー(子ローバー)を電力供給機能や通信機能を持ったテザー(ケーブル)で繋ぎ、両タイプの強みを組み合わせる事で、より価値のある月面探査を実現できるモデルです。
このモデルは、単にGoogle Lunar XPRIZEのミッションを実行するだけでなく、さらに月面に存在する「縦穴」を探査することを目的としています。「縦穴」とは、日本の月周回衛星SELENE(かぐや)によって発見された月面に垂直に開いた穴で、地下の溶岩チューブへの入り口になると考えられています。この「縦穴」は月の誕生を理解する鍵になったり、将来人類が長期滞在する基地を設営するための有力候補地でもあります。
<月縦穴の探査イメージ>
http://www.atpress.ne.jp/releases/43493/img_43493_3.jpg
2.開発体制
ハクトを運営する株式会社ispaceは昨年末に、今までハクトとパートナー関係にあった、東北大学宇宙ロボット研究室と共同研究契約を締結しました。これによりハクトは中間賞の獲得、そして2015年末までにおこなう月面ミッションに向け、より東北大学宇宙ロボット研究室との連携を強め研究開発を進めていきます。
3.開発状況
デュアルローバーの開発は昨年末よりスタートしており、エンジニアリングモデルに位置づけたローバーによる研究室やフィールドを使った実験においてコンセプトの検証をほぼ完了しております。
<デュアルローバーの開発風景>
http://www.atpress.ne.jp/releases/43493/img_43493_4.jpg
<デュアルローバーフィールド試験映像>
http://youtu.be/tLIr_ofblW4
中間賞で設定された2014年9月末に向けて、放射線や熱、振動、衝撃など宇宙環境に対応したプレフライトモデルの開発を進め、中間賞の獲得を目指します。
■ハクトメンバーのコメント
中間賞ノミネートにあたりハクトのチームリーダー 袴田 武史は以下のコメントを発表しています。
「中間賞ノミネートにより、ハクトが示す開発計画や技術力が世界的にもトップレベルである事が証明されました。中間賞を確実に獲得し、賞金の50万ドルの獲得すると共に、ハクトが月面探査を実行できる十分な能力を持っている事を証明し、さらなるスポンサーや投資を喚起し、資金調達も順調に進むことを期待しています。」
またハクトのローバー開発をリードする東北大学 吉田 和哉教授は次のように述べています。
「東北大学宇宙ロボット研究室では、1997年以来17年間にわたって月惑星探査ロボットの研究開発に取り組み、世界に負けない技術力と実績を積み上げてきています。今回のノミネートを弾みとして、中間賞ならびにその次のステップを目指して、月ローバーの開発を加速していきたいと思います。」
■Google Lunar XPRIZEについて
「Google Lunar XPRIZE」は、Googleがスポンサーとなり、XPRIZE財団によって運営される、民間組織による月面無人探査を競う総額4,000万ドルの国際賞金レースです。ミッションは、2015年12月31日までに月面に純民間開発の無人探査機を着陸させ、着陸地点から500m以上移動し、指定された高解像度の動画や静止画データを地球に送信すること。世界10カ国以上から18チームが参加しています。
http://www.googlelunarxprize.org
■ハクトについて
「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一エントリーするチームで、株式会社ispaceが運営しています。小惑星探査機「はやぶさ」をはじめとして数々の宇宙機の開発に携わっている東北大学大学院航空宇宙工学専攻の吉田 和哉教授を中心に月面探査ローバーの開発と、チームの広報活動を行っております。月への挑戦プロセスを開放し、今までの宇宙産業にないオープンな宇宙開発を実行しています。
http://team-hakuto.jp
■東北大学宇宙ロボット研究室について
吉田 和哉教授が研究室を率いており、長年にわたって、月・惑星探査ローバーの機構と制御の基礎研究として、不整地走行性能の高い走行・サスペンション機構の研究や、砂地のようなすべりやすい地面を自在に走行するための制御法、障害物や地形の認識に基づいた遠隔自律探査などの研究を行っています。
また、小惑星探査機「はやぶさ」を含む数多くの宇宙関連のミッションに貢献し、「雷神」「雷神2」を始めとした小型大学衛星の開発も行っています。さらに、惑星探査ロボットの開発で培った不整地走行、遠隔操縦の技術を応用して、地上での災害非常時の情報収集ロボットの開発にも取り組んでおり、福島第一原子力発電所に投入された日本の災害ロボットの開発にも携わっています。
http://www.astro.mech.tohoku.ac.jp/