日経平均は反発、28000円超えも上値追いには慎重に
[23/03/31]
提供元:株式会社フィスコ
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ランチタイムコメント
*12:09JST 日経平均は反発、28000円超えも上値追いには慎重に
日経平均は反発。263.82円高の28046.75円(出来高概算5億6927万株)で前場の取引を終えている。
30日の米株式市場でダウ平均は141.43ドル高(+0.43%)と続伸。利上げ停止が近いとの期待や金融混乱の深刻化が回避可能との見方から買い戻しが先行。その後、連邦準備制度理事会(FRB)高官が追加利上げを支持したことで金融セクターが再び売られ、ダウ平均は一時下落に転じたが、ハイテクの上昇が引き続き全体を支援。終盤にかけて、金利が低下に転じると相場全体を押し上げた。ナスダック総合指数は+0.73%と続伸。米株高を引き継いで日経平均は226.29円高からスタート。為替の円安進行も追い風に朝方は買いが先行し、一時28124.62円(341.69円高)まで上昇。香港ハンセン指数の上昇も支援した。一方、心理的な節目の水準では戻り待ちの売りも根強く、前引け直前には一時28000円を割る場面があった。
個別では、ルネサス<6723>、ソフトバンクG<9984>、太陽誘電<6976>、イビデン<4062>などハイテク株のほか、円安を追い風にマツダ<7261>、日産自<7201>、豊田自動織機<6201>などの輸送用機器が上昇。日本経済新聞社の報道を手掛かりに日本製鉄<5401>、三井物産<8031>が大きく上昇し、JFE<5411>、神戸製鋼所<5406>、三菱商事<8058>、丸紅<8002>なども連れ高。一方、前日引けにかけて急速に配当落ちを埋めた川崎汽船<9107>や郵船<9101>の海運が一転して大きく続落。マルマエ<6264>は大幅減益決算に対して素直に売りが先行。マネーフォワード<3994>、インフォマート<2492>などグロース(成長)株の一角が大きく下落している。
セクターでは鉄鋼、卸売、精密機器が上昇率上位に並んだ一方、海運のみが下落となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の68%、対して値下がり銘柄は28%
となっている。
日経平均は心理的な節目の28000円を超えてきた。前日までに株価指数連動型ファンドの配当再投資目的の先物買い需要による押し上げ効果は反映済みのため、本日からはこうしたプラスの需給要因が剥落する。また、本日は日経平均採用銘柄の入れ替えで2000億円超の売りが発生するため、前日までの強い基調が反転する可能性が懸念されていた。ただ、今のところは杞憂に終わっている。
東京証券取引所が株価純資産倍率(PBR)1倍割れの企業に対し、株価水準を引き上げるための具体策の開示を求め、早ければ31日にも企業に通達すると報じられた。加えて、三井物産<8031>や日本製鉄<5401>に個別でポジティブな報道があったこともあり、東京市場ではバリュー(割安)株の多い景気敏感株を中心に大幅高となっている銘柄が多い。
一方、米長期金利の上昇一服を背景に米ナスダック指数が堅調なのに対し、東京市場ではグロース(成長)株の軟調さが目立つ。年央からの市況回復への期待から半導体や電子部品などのハイテクは強いが、マネーフォワード<3994>、Sansan<4443>、ラクスル<4384>などの内需系グロース株は総じて下落。今晩に米2月個人消費支出(PCE)コアデフレーターの発表を控えているとはいえ、やや意外感のある物色動向だ。
米国でもナスダックに上場している銘柄全ての時価総額加重平均で算出されるナスダック総合指数よりも、金融セクターを除いた時価総額上位100社の時価総額加重平均で算出されるナスダック100指数の方がパフォーマンスは良好だ。財務基盤が健全でキャッシュフローが潤沢な傾向にある大型企業の方が安心感から買いを集めていると考えられる。
いずれにせよ、足元の投資家心理は良好のようだ。今週に入って欧米の銀行経営不安に関する報道が減少したことで金融システム不安が後退していることが買い戻しを強めているようだ。
しかし、日経平均の上値余地は高く見積もっても28500円程度と考えている。金融システム不安を受けて米銀行の貸し出し態度は一段と厳格化され、今後は貸し渋りなど信用収縮を通じて景気後退の様相が強まっていく公算が大きい。それにもかかわらず、影響の大きさを見定めるのが困難なためか、足元ではまだアナリストによる企業業績の下方修正はほとんど進んでいない。この点は今後の株価修正余地として警戒すべきポイントだ。4月中旬以降には、3月期決算企業の本決算が発表されるが、弱い見通しが示されるガイダンスリスクなども意識される。このため、決算を確認する前の今のタイミングから積極的に買い上がることは考えにくい。
来週からは名実ともに新年度相場入りとなるが、期初特有の機関投資家による益出し売りなども頭の片隅に置いておくべきだろう。一方、直近の東証による改革要請の動きは積極的といえ、分かりやすい買い材料でもある。キャッシュフローが潤沢で株主還元余地のあるバリュー株などには今後も根強い買い需要が発生しそうで注目していきたい。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均は反発。263.82円高の28046.75円(出来高概算5億6927万株)で前場の取引を終えている。
30日の米株式市場でダウ平均は141.43ドル高(+0.43%)と続伸。利上げ停止が近いとの期待や金融混乱の深刻化が回避可能との見方から買い戻しが先行。その後、連邦準備制度理事会(FRB)高官が追加利上げを支持したことで金融セクターが再び売られ、ダウ平均は一時下落に転じたが、ハイテクの上昇が引き続き全体を支援。終盤にかけて、金利が低下に転じると相場全体を押し上げた。ナスダック総合指数は+0.73%と続伸。米株高を引き継いで日経平均は226.29円高からスタート。為替の円安進行も追い風に朝方は買いが先行し、一時28124.62円(341.69円高)まで上昇。香港ハンセン指数の上昇も支援した。一方、心理的な節目の水準では戻り待ちの売りも根強く、前引け直前には一時28000円を割る場面があった。
個別では、ルネサス<6723>、ソフトバンクG<9984>、太陽誘電<6976>、イビデン<4062>などハイテク株のほか、円安を追い風にマツダ<7261>、日産自<7201>、豊田自動織機<6201>などの輸送用機器が上昇。日本経済新聞社の報道を手掛かりに日本製鉄<5401>、三井物産<8031>が大きく上昇し、JFE<5411>、神戸製鋼所<5406>、三菱商事<8058>、丸紅<8002>なども連れ高。一方、前日引けにかけて急速に配当落ちを埋めた川崎汽船<9107>や郵船<9101>の海運が一転して大きく続落。マルマエ<6264>は大幅減益決算に対して素直に売りが先行。マネーフォワード<3994>、インフォマート<2492>などグロース(成長)株の一角が大きく下落している。
セクターでは鉄鋼、卸売、精密機器が上昇率上位に並んだ一方、海運のみが下落となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の68%、対して値下がり銘柄は28%
となっている。
日経平均は心理的な節目の28000円を超えてきた。前日までに株価指数連動型ファンドの配当再投資目的の先物買い需要による押し上げ効果は反映済みのため、本日からはこうしたプラスの需給要因が剥落する。また、本日は日経平均採用銘柄の入れ替えで2000億円超の売りが発生するため、前日までの強い基調が反転する可能性が懸念されていた。ただ、今のところは杞憂に終わっている。
東京証券取引所が株価純資産倍率(PBR)1倍割れの企業に対し、株価水準を引き上げるための具体策の開示を求め、早ければ31日にも企業に通達すると報じられた。加えて、三井物産<8031>や日本製鉄<5401>に個別でポジティブな報道があったこともあり、東京市場ではバリュー(割安)株の多い景気敏感株を中心に大幅高となっている銘柄が多い。
一方、米長期金利の上昇一服を背景に米ナスダック指数が堅調なのに対し、東京市場ではグロース(成長)株の軟調さが目立つ。年央からの市況回復への期待から半導体や電子部品などのハイテクは強いが、マネーフォワード<3994>、Sansan<4443>、ラクスル<4384>などの内需系グロース株は総じて下落。今晩に米2月個人消費支出(PCE)コアデフレーターの発表を控えているとはいえ、やや意外感のある物色動向だ。
米国でもナスダックに上場している銘柄全ての時価総額加重平均で算出されるナスダック総合指数よりも、金融セクターを除いた時価総額上位100社の時価総額加重平均で算出されるナスダック100指数の方がパフォーマンスは良好だ。財務基盤が健全でキャッシュフローが潤沢な傾向にある大型企業の方が安心感から買いを集めていると考えられる。
いずれにせよ、足元の投資家心理は良好のようだ。今週に入って欧米の銀行経営不安に関する報道が減少したことで金融システム不安が後退していることが買い戻しを強めているようだ。
しかし、日経平均の上値余地は高く見積もっても28500円程度と考えている。金融システム不安を受けて米銀行の貸し出し態度は一段と厳格化され、今後は貸し渋りなど信用収縮を通じて景気後退の様相が強まっていく公算が大きい。それにもかかわらず、影響の大きさを見定めるのが困難なためか、足元ではまだアナリストによる企業業績の下方修正はほとんど進んでいない。この点は今後の株価修正余地として警戒すべきポイントだ。4月中旬以降には、3月期決算企業の本決算が発表されるが、弱い見通しが示されるガイダンスリスクなども意識される。このため、決算を確認する前の今のタイミングから積極的に買い上がることは考えにくい。
来週からは名実ともに新年度相場入りとなるが、期初特有の機関投資家による益出し売りなども頭の片隅に置いておくべきだろう。一方、直近の東証による改革要請の動きは積極的といえ、分かりやすい買い材料でもある。キャッシュフローが潤沢で株主還元余地のあるバリュー株などには今後も根強い買い需要が発生しそうで注目していきたい。
(仲村幸浩)
<AK>