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「それでも高値は取りにいかない」

後場の投資戦略
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28908.39;-145.58TOPIX;1906.46;-2.60


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は3ケタの下落で前場を折り返した。度々下げ渋る場面もあったが、ゴールデンウィークの合間とあって買いに傾きづらいところではあるだろう。東証1部売買代金を見るとここまで1兆4000億円弱と少なくはないが、主要企業の決算対応でまずまず膨らんでいることを考慮すれば、やはり積極的な売買は乏しいとみられる。

 主要企業の決算反応はまちまち。日本電産<6594>、エムスリー<2413>など急落が相次いだ決算発表シーズン初期と比べると改善してきた印象を受ける。ただ、キーエンスなどを見ると決算反応への警戒感から事前に売りが出た反動との見方もできるだろう。このところ日々の新高値銘柄数は2ケタペースが続いており、本日もここまでの速報ベースでは基調に変化があったように見受けられない。結局のところ、決算を手掛かりとした見直しの動きや短期目的の取引はあっても、「高値を取りに行く」ムードではないことには変わりないのだろう。ただ、こうしたなかで富士通が1月に付けていた取引時間中の年初来高値(17250円)を更新したのには、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が息の長い投資テーマとして意識されているのを感じさせる。

 新興市場でもマザーズ指数が-0.51%と続落。28日のマザーズ売買代金は1100億円台まで減少しており、薄商いのなか信用買いの手仕舞いのための売りに押されているとみられる。なお、東京証券取引所が27日発表した23日申し込み時点の信用買い残高
(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は3兆3005億円(前の週から1029億円増加)と2年10カ月ぶりの高水準、一方の売り残高は7072億円(同257億円減少)
と2年4カ月ぶりの低水準だったという。ゴールデンウィーク前にどの程度信用買い残の整理が進んだか見極めたいところだが、株式需給の面でも引き続き上値の重さが意識されるところか。

 さて、東京市場の休場中に米国株は一進一退となったが、「これまでどおり相場の上昇に乗り続けよう」とする向きと「強い(業績・経済)数値が確認されたらリスク資産を減らしていこう」とする向きがせめぎ合っている印象を受ける。「GAFAM(アルファベット(グーグル)、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)」に代表される主力ハイテク企業の決算はやはり圧巻の内容だったが、決算に対する反応はまちまち。ここからの投資戦略についても考えが割れているようだ。バイデン政権やFRBは積極的な財政支出・金融緩和を継続する姿勢を示しているが、ブレークイーブン・インフレ率(期待インフレ率の指標)は2.4%台まで上昇してきた。インフレ加速に対する警戒感も根強いことが窺える。

 東京市場は明日から5連休となるが、この間に米中では企業景況感などの経済指標が相次ぎ発表される。また、日本では本日もコマツ<6301>や東エレク<8035>、ANA<9202>といった主要企業の決算発表が多く予定されており、後場の取引も様子見ムードが強そうだ。
(小林大純)


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