NYの視点:近隣諸国はECBの緩和に脅威
[14/06/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
欧州中央銀行(ECB)の追加緩和がデフレの問題を他国に波及させるリスクが懸念されている。ECBが5日の定例理事会において地域経済を刺激する策を打ち出すことはほぼ明らかだと見られている。ユーロ圏経済は過去最高水準で高止まりしている失業率や低インフレに直面。弱い需要が起因しており、最終的には民間部門への融資を削減させている。
ECBは銀行融資を活性化させたい一方、資本増強がいまだに必要である地域金融機関にとっては困難な状態。このため、ECBが新たな長期リファイナンシングオペ(LTRO)を導入すると予想しているアナリストも少なくない。
ただ、もっとも容易な解決法はユーロ安だ。ドラギECB総裁も含め過剰に強いユーロ相場が地域経済を弱め低インフレの一因となっていると指摘している。ユーロ安は地域の競争力を高めるだけでなく、輸入価格を押し上げデフレの波及リスクを削減する。日本銀行が昨年4月に踏み切った質的・量的緩和は円安につながり、結果的に成長やインフレを押し上げた。
ユーロ安は他の通貨を押し上げることになる。ECBの行動が他国にデフレ圧力を波及させることにもなる。日本銀行の政策が結果的にユーロ圏にデフレの問題を波及させたとの議論もある。ユーロに加盟していないクロアチア、ハンガリー、ブルガリアはすでにデフレ入りしている。スウェーデン、スイスはマイナス金利との境目で推移。景気の拡大にもかかわらず英国のインフレは英国中銀の目標である2%を下回っている。ECBがユーロ圏経済の成長を再び押し上げられることは好ましいことだが、近隣諸国はECBの行動が自国経済の低迷やデフレにつながると気が気ではないようだ。
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