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NYの視点:投資家はユーロ売り持ち、ECB定例理事会に向け

注目トピックス 経済総合

欧州中央銀行(ECB)の定例理事会を控え、投資家はユーロの売り持ち高を増やした。7月29日付けのシカゴIMM、投機・投資家筋のポジションでユーロの売り持ち高は2012年8月以降2年ぶりの高水準となった。今回の会合で、ECBは最近の指標が「速やかな措置が正当化されるほどではない」との判断から政策を据え置くと見られている。市場はドラギ総裁が率いるECBがデフレとの戦いに敗れることに賭けている。

ユーロ圏18カ国の7月の消費者物価は前年比で0.4%の伸びにとどまり予想を下振れたほか、6月の0.5%から伸びが鈍化。マイナスとなった2009年10月以来の低い伸びにとどまった。ECBの中期のインフレ目標は2%。一部ではユーロ圏のデフレ懸念も浮上した。ドイツの調査会社センティックスが発表した最新のユーロ圏8月センテッィクス投資家信頼感指数も2.7と、市場予想の9.0を大幅に下回りマイナスに落ち込んだ昨年8月以降1年ぶりの低水準となった。

欧州にとって重要な貿易相手国であるロシアに対する制裁の強化で、欧州経済にも今後影響がでる可能性も懸念されている。ウクライナの情勢次第では欧米が対ロシアの制裁をさらに強化する可能性もある。加えて、ポルトガルの金融不安も浮上。ポルトガル中央銀行は49億ユーロ規模のエスピリト・サント銀行(BES)救済を発表した。数週間前まで、ポルトガル中央銀行は「エスピリト・サント銀行の資本は財政悪化が深刻化したエスピリト・サント・インターナショナル問題にも耐えうる」としていた。しかし、エスピリト・サント銀行が先週発表した上半期決算で、36億ユーロの損失は中銀の予想20億ユーロを大幅に上回る損失であった。また、親会社のエスピリト・サント・インターナショナル向け融資を増やしていたほか、同社の社債を顧客に売却していたことも明らかになった。このため、速やかに破綻に追い込まれた。

欧州連合(EU)の規則に従い、ベイルイン救済では政府の負担がない。救済資金もギリシャ危機を教訓に2012年に設置された銀行破綻処理基金から出される。このことは好感材料と受け止められた。格付け会社フィッチは「BES救済は財政的な影響は小さいがバファーを損ねる」との声明を発表。優先債保有者と預金者は損失を免れるものの、劣後債保有者は納税者よりも先に破綻銀行救済のコストを負担することになる。欧州中央銀行(ECB)による欧州の銀行ストレステストの質にも懐疑的見方が広がった。

ECBは理事会で以下の要因による影響を精査していくことになる。今のところユーロの買戻しにつながるような要因は見当たらない。

1)デフレ懸念
2)エスピリト・サント銀行(BES)
3)ロシア制裁強化によるユーロ圏経済への影響
4)ウクライナ情勢



<KO>

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