NYの視点:ECBがタカ派へシフトとの憶測
[14/11/05]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
欧州中央銀行(ECB)の定例理事会を控えて、ユーロ圏諸国の7-10人の中央銀行総裁らはドラギ総裁の運営スタイルや量的緩和(QE)に関する決定に不満を表明する計画だという。メディアが伝えた。理事会後の記者会見に注目が集まる。景気を押し上げるため日本銀行が追加緩和に踏み切ったことに続き、低迷する景気やデフレリスクに対処するため欧州中央銀行(ECB)もいずれ連邦準備制度理事会(FRB)型の量的緩和を導入するとの期待が強まっていただけに報道はサプライズとなった。欧州委員会は2015年のユーロ圏の域内成長率見通しを+1.1%へ、インフレ率見通しを+0.8%へそれぞれ下方修正したばかり。
域内各国中銀はドラギ総裁の秘密主義や間違った伝達方法を批判。これにより、平等な運営を求めていくという。総裁らは特に公式にしないことで合意したにもかかわらず、2012年にドラギ総裁がバランスシートの目標水準を公表してしまった一件に立腹していると報じられている。このため、何をやっても全ての措置が「バランスシートを1兆ユーロまで拡大させる」との目標と比較されることになってしまうことを、関係者は「最も回避したかった」と述べている。
更に、6人の理事でさえ、最近の2つの重要な政策を事前に知らされなかったという。そのひとつは、米国ワイオミング州、ジャクソンホールで8月に開催された米連邦準備制度理事会(FRB)主催会合での講演で、ドラギECB総裁は低下するユーロ圏のインフレ期待に言及、対処を公約したこと。2つ目は、9月の定例理事会後の記者会見においてECBがバランスシートを欧州債務危機のピークにあった2012年の初旬と同水準にまで拡大する意図を明らかにしたこと。
一方で、ドラギ総裁はメンバーのコメントにもあまり耳をかさないこともメンバーの不満となっているようだ。クーレ欧州中央銀行(ECB)理事やプラート欧州中央銀行(ECB)専務理事が定例理事会で、経済状況や金融市場の報告を行っている最中でされ、電話やテキストに没頭していたと非難。
ドラギ総裁がメンバーの信任を得られないとなると、欧州中央銀行(ECB)が連邦準備制度理事会(FRB)型の量的緩和を導入することはおろか、現在実行している資産担保証券(ABS)の購入が停止されることにもなりかねない。
ドラギ総裁自身が現職に満足できない、または、一段とタカ派の総裁に交代される可能性を考えると、1か月前にイタリア地元メディアが噂していた「ドラギ総裁とビスコ中央銀行総裁がECBを退任、ビスコ総裁はレンツィ伊首相の、ドラギ総裁はイタリアのナポリターノ大統領の後任に指名される」との観測が一層現実味を帯びてくる。ドラギECB総裁の任期は2019年まで。日本銀行とともに本年の金融資産市場を支えると期待されていた欧州中央銀行(ECB)がタカ派に転じることは大きなリスク。多くの市場関係者が描いていたシナリオが崩れる。ただ、どちらにしてもユーロの圧力になることには変わりはなさそうだ。ECBが断固とした措置を講じなければ欧州経済は景気後退(リセッション)入りする確率が強まることになる。
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