NYの視点:NY連銀の消費者調査も米利上げの当面見送りを示唆
[15/10/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
予想を下回った米国の9月雇用統計を受けて、年内の利上げ観測が大きく後退した。調査によると、市場が完全に利上げを織り込み始めるのは2016年の10-12月以降となる。NY連銀が発表した月間消費者調査の結果も米国経済の全てがバラ色ではないことを示し、市場の金利予想を裏付ける結果となった。家計支出や消費者物価上昇率の伸びに対する期待値は過去最低水準に落ち込んだことが明らかになった。消費者は今後3年間の物価上昇率が2.8%上昇と見ており、前回8月の2.9%から引き下げた。1年の上昇率は2.7%で、8月は2.8%だった。また、1年間の支出の伸びは3.2%程度と見ており、8月の3.5%から見通しを大幅に引き下げ。米国経済のほぼ70%を占める消費の鈍化は全体経済の回復ペース鈍化を意味する。
しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)メンバーは依然として年内の利上げの可能性を除外していない。9月雇用統計発表後も、2015年のFOMCでの投票権を有するサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁、アトランタ連銀のロックハート総裁は「利上げの決定は指標次第」としながらも「年内の利上げを支持」。
本年の投票権を有していないものの中立派としてFRB全体の見解を示すとして発言には注目が集まるブラード米セントルイス連銀総裁は講演で、FRBの政策が依然として緊急水準にあり、様々な問題に直面しているものの「利上げが適切」と述べた。ただ、10月の会合での利上げの可能性に関しては、利上げを見送った9月のFOMC以降、判断を変更する十分な経済指標が集まっておらず「困難」との見方。見通しや経済の状況がほとんど同じ状況の中で、10月会合で利上げに踏み切る理由がないと説明した。米連邦準備制度理事会(FRB)が公表するベージュブック(地区連銀経済報告)で全米経済の最新状況を判断していく。このベージュブックの内容は10月のFOMCの材料となる。
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