中国:今年直面する経済リスクは?
[16/01/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
経済構造の転換が迫られている中国。4日付香港経済日報は、構造転換を進める過程で、今年、中国が直面する恐れがあるリスクを挙げた。
(1)元安
まず人民元安の圧力。昨年の人民元レートは変動が大きく、なかでも、中国本土で取引されている人民元(CNY)とオフショアの香港で取引されている人民元(CNH)の対米ドル相場は、両者の価格差が一時0.1人民元まで拡大した。この背景には、米中金融政策の相違がある。米国が利上げ局面に入ったのに対し、中国では緩和気味のスタンスが維持される状態。こうしたなか、「当面は米国の利上げペースがどの程度になるかを見極める必要がある」とみられている。
(2)資本流出
米国と中国の金融政策のかい離は、中国からの資本流出を促している側面もある。米財務省の試算によると、昨年1〜8月の期間に中国から流出した資本の総額は5000億米ドル超。また、ブルームバーグの統計によると、過去4か月に中国から流出した資本は同じく5000億米ドルを超える規模だった。
2008年の金融危機後、米国の超低金利を背景に、米ドルを借り入れて他の通貨の市場に投資するという「キャリートレード」が広がったが、米金融政策が正常化される過程で「キャリートレード」の巻き戻しが急速に進めば、中国からの資本流出圧力は一段と強まりかねない。
(3)不動産在庫の解消
先月開催された中央経済工作会議で、今年の重要課題の一つとして挙げられたのは不動産在庫の解消。需要喚起による在庫の解消は経済にとってプラスだが、供給サイドの規制を通じた在庫の圧縮はマイナスといえる。これについてUBSは、「不動産在庫の解消が工業生産活動や投資活動の足かせになる」とネガティブな見方を示した。
(4)企業の債務問題
企業のデフォルトが相次いだ昨年に続き、2016年も債務問題への警戒はくすぶる。昨年の第3四半期の開示情報によると、昨年9月末時点で、上場16銀行の不良債権残高は約9000億人民元と、2014年末時点に比べて約2300億人民元(30%超)増加した。ただし、実際の不良債権の水準はさらに多いとの指摘がある。ムーディーズは、昨年末時点の上場11銀行の上半期の業績を分析。一部の返済遅滞の債権が盛り込まれていないとし、中国の銀行の不良債権水準は過少評価されている恐れがあるとの認識を示している。
(5)GDP伸び率鈍化
数々の逆風が吹くなか、今年の経済成長率は下方修正されており、現時点での市場予想は6.6〜6.7%という状態。6.5%を割り込めば、社会不安を招きかねないと危惧する向きもある。
【亜州IR】
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(1)元安
まず人民元安の圧力。昨年の人民元レートは変動が大きく、なかでも、中国本土で取引されている人民元(CNY)とオフショアの香港で取引されている人民元(CNH)の対米ドル相場は、両者の価格差が一時0.1人民元まで拡大した。この背景には、米中金融政策の相違がある。米国が利上げ局面に入ったのに対し、中国では緩和気味のスタンスが維持される状態。こうしたなか、「当面は米国の利上げペースがどの程度になるかを見極める必要がある」とみられている。
(2)資本流出
米国と中国の金融政策のかい離は、中国からの資本流出を促している側面もある。米財務省の試算によると、昨年1〜8月の期間に中国から流出した資本の総額は5000億米ドル超。また、ブルームバーグの統計によると、過去4か月に中国から流出した資本は同じく5000億米ドルを超える規模だった。
2008年の金融危機後、米国の超低金利を背景に、米ドルを借り入れて他の通貨の市場に投資するという「キャリートレード」が広がったが、米金融政策が正常化される過程で「キャリートレード」の巻き戻しが急速に進めば、中国からの資本流出圧力は一段と強まりかねない。
(3)不動産在庫の解消
先月開催された中央経済工作会議で、今年の重要課題の一つとして挙げられたのは不動産在庫の解消。需要喚起による在庫の解消は経済にとってプラスだが、供給サイドの規制を通じた在庫の圧縮はマイナスといえる。これについてUBSは、「不動産在庫の解消が工業生産活動や投資活動の足かせになる」とネガティブな見方を示した。
(4)企業の債務問題
企業のデフォルトが相次いだ昨年に続き、2016年も債務問題への警戒はくすぶる。昨年の第3四半期の開示情報によると、昨年9月末時点で、上場16銀行の不良債権残高は約9000億人民元と、2014年末時点に比べて約2300億人民元(30%超)増加した。ただし、実際の不良債権の水準はさらに多いとの指摘がある。ムーディーズは、昨年末時点の上場11銀行の上半期の業績を分析。一部の返済遅滞の債権が盛り込まれていないとし、中国の銀行の不良債権水準は過少評価されている恐れがあるとの認識を示している。
(5)GDP伸び率鈍化
数々の逆風が吹くなか、今年の経済成長率は下方修正されており、現時点での市場予想は6.6〜6.7%という状態。6.5%を割り込めば、社会不安を招きかねないと危惧する向きもある。
【亜州IR】
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