NYの視点:4月ベージュブックは米追加利上げを正当化
[16/04/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した最新4月7日までの情報をもとにシカゴ連銀により作成された米地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、2月下旬から3月にかけての全12地区の経済活動はほとんどの地域で緩やかまたは緩慢な成長が続いたことが明らかになった。
内容の鍵は、1)米国経済の7割を示るため重要視されている消費もほとんどの地区で緩やかに拡大、特に観光業の強さが指摘された。2)米国の金融政策の鍵を握る労働市場の状況も引き続き強まった。3)企業の設備投資も全般的に拡大した。4)製造業、建設、不動産の活動が拡大した。5)信用状況も改善した。ただ、6)低価格がエネルギー、鉱山の生産、農業生産の重しとなった。7)全般的に物価も緩やかに上昇した。
また、イエレンFRB議長をはじめFOMCメンバーが労働市場のたるみをはかるうえで注視している賃金だが、
1月ベージュック:「全般的に賃金の圧力は依然抑制されている」
3月:「賃金は全般的に上昇、ほとんどの地区で伸びが加速、しかし、カンザスシティ、リッチモンド、アトランタでは横ばい」
4月:「アトランタ以外のすべての地区で賃金の伸びは前回の統計に比べて加速」
と、徐々に上昇していることが示された。
また、景気を抑制するマイナス要因として、1月のベージュブックにおいて「天候」に関する影響が26回にわたり言及されたが、3月のベージュブックでは17回に減り、最新のベージュブックでは18回に若干増えた。また、「株式相場」に関する言及は3月のベージュブックで3回言及されたが、4月のベージュブックには見られなかった。また、「世界経済の鈍化」に関しては3月のベージュブックで11回にわたり言及され、イエレンFRB議長の会見や、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明にも懸念材料として新たに文言が加えられたが、4月のベージュブックでは2回にとどまった。
FOMCの材料となるベージュブックの3月分で世界経済への懸念が強調されたため、イエレン議長の会見や3月のFOMC声明で弱い世界経済が見通しに影響すると言及された。FOMCは利上げに関する姿勢を慎重な方針に突如転換した。4月FOMCの材料となる米地区連銀経済報告(ベージュブック)では1月の「天候」、3月の「株式相場」や「世界経済」に関する悲観的な言及が減少し、経済の健全化、インフレや賃金の上昇も進んだ。早くて、4月の利上げも支持する内容となった。もし、「利上げは指標次第」を方針とするFRBが4月の利上げを見送る場合、何を理由とするかが注目となる。
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