NYの視点:米利上げ、市場は本年1回を予想=FOMC調査
[16/07/27]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 経済総合
米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)を26−27日にかけて開催している。英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定後、初めての開催。今回の会合では政策金利が据え置かれていると見られているものの、最近の良好な経済指標を受けて声明で見通しが上方修正され、数か月内の利上げに向けた基盤がつくられると見られている。連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは利上げに自信を取り戻しつつあり、一部の高官は最大で2回の利上げの可能性に言及した。一方、市場は米国経済や利上げの軌道に依然懐疑的見方を削除していない。FOMCの見通しと市場の見通しのかい離は依然として大きく、現状ではドルの上昇も限定的となっている。
米国の経済専門局CNBCが43人の市場関係者を対象に21日から23日にかけて実施した調査によると、市場は年内に1回の利上げを予想していることが明らかになった。世界経済の弱さが影響し米国経済の回復が思いのほか遅く、加えて英国が欧州連合(EU)離脱を決定したことで不透明感がより強まり、多くの市場関係者は利上げペースの見通しを引き下げ。年初の調査では3回、6月の調査では1.5回の利上げをそれぞれ予想していた。
FOMCが利上げを見送る理由としては、「世界経済の成長懸念」が41%(前回15%)と第1位に挙げられた。続いて、「市場の用意がない」が29%(5%)。通常、FOMCは市場が70%以上織り込まないと行動に踏み切らない。金利先物市場での利上げ確率は12月も47.4%と、50%に達していない。前回の調査で目立った「弱い雇用の成長」は0%(前回50%)。6月の雇用統計で米国の労働市場に関する投資家の自信が回復している。次回の行動が利上げとの見通しは100%。年初の88%から徐々に上昇している。回答者の多くは、英国の欧州連合(EU)離脱で不透明感が一段と強まったことや米国大統領前の利上げにFRBが消極的になるとの見方が強く、次回の利上げは12月と見ている。
英国のEU離脱に関しては、エコノミスト、アナリスト、ファンドマネジャーを含む回答者の4分の3は他のEUメンバーによる離脱確率を引きあげたと見ている。また、今後12か月間に英国が景気後退に陥る確率は55%と見ている。ユーロ圏は38%、米国は22%。英国のEU離脱が経済に与える影響の大きさをはかった場合、10を最大にした質問では英国や欧州経済にかなりの影響が予想されているものの、米国経済に与える影響は限定的との見通しが明らかになった。
1)利上げ見送る理由
世界経済の成長懸念:41%(前回15%)
市場の用意がない:29%(5%)
英国のEU離脱に関する不透明感:17%(13%)
弱い雇用の成長:0%(前回50%)
2)英国EU離脱(10が最大)
英国経済に与える影響:7
欧州経済に与える影響:5
米国経済に与える影響:2.8
3)米国経済の最大の脅威
世界経済の弱さ:22%
税・規制:20%
雇用の弱さ:7%
インフレ:2%
4)米国経済見通し
2016年:+2.08%(前回+2.05%)、2017年:+2.26%(+2.25%)
5)インフレ見通し
2016年:+1.57%%(+1.75%)、2017年:+2.02%(+2.20%)
6)米10年債利回り見通し
2016年末:1.75%(2.10%)、2017年末:2.24%(2.54%)
7)米国経済がリセッションに陥る確率
22.2%(23.5%)
8)大統領選挙
クリントン:52%(80%)
トランプ:26%(15%)
経済にプラス
共和党:43%(35%)
民主党:26%(23%)
トランプ:44%(45%)
クリントン:32%(30%)
(CNBC)
<NO>