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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆夏相場、出遅れ物色の条件◆

注目トピックス 経済総合

〇政治情勢流動化、順当な出遅れ物色地合いになれるか〇

都議選で自民党が大敗した。選挙戦中に不祥事が相次ぐ、典型的な負けパターンだったが、負け過ぎ感がある(公明党との連携は流動的な面があると見て、自公で過半数が分岐点と考えていた)。不祥事を出さなかった(メディアが取り上げなかった)小池流イメージ作戦勝利の印象だ。国政選挙でなかった面もあろうが、安倍批判の声が高まるのは必至だ。元々、内政に対する国民の不満の声が高まっていたと見られるので、その立て直しを急ぐことになると見られる。まずは内閣改造が急務で、政策手順や内需テコ入れ策に取り組むことが求められよう。

なお、小池・都民ファーストの会の政策は明確でない。本来なら前川前文部次官のような存在は批判の対象のはずだが、批判をせずに安倍批判の声を自分たちの追い風にした。豊洲問題批判の封じ込めにも成功した。その分、混沌とした政策展開になると思われるので、「政局流動化で円高」論を刺激しないかどうかが注意点となろう。

6月末は無難な通過となった。日本、欧州株は軟調だったが、米10年物国債利回りは2.30%台を回復、ドル指数は0.1%上昇で若干持ち直し、ナスダックは0.06%下落したが、NYダウは0.29%、S&P500は0.15%各々上昇した。今週は週末の米雇用統計に関心が集まる。

週末の米韓首脳会談は対北朝鮮対応で合意し、香港の騒乱は回避された。今週は7-8日のハンブルグG20サミットに焦点が移る。メルケル独首相がトランプ批判を行っており、開かれた都市でデモ隊数万人が抗議活動を行う予定とされる。また、トランプ大統領が日中首脳と各電話会談を行う予定(日本時間3日午前9時から)。G20前の意見交換とされるが、北朝鮮問題も含め協議内容が注目される。

7-9月相場入りで、相場の軸が変わるかどうか注目される。一つの視点は「出遅れ株物色」。米市場で好決算のスポーツ用品大手ナイキが買われ、ハイテク株利食い資金が振り向けられる動きが指摘された。好決算や政情安定化などが条件になると見られるものの、株高トレンド持続のカギになると考えられる。

日本株の6月末業種別株価指数を見ると、前年比(TOPIX+29.4%)では、医薬品+3.0%、陸運+9.3%、半年前比(同+6.1%)では、輸送用機器-8.3%、鉱業-7.1%、証券・商品先物-2.9%、不動産-0.6%、海運-0.1%、石油・石炭+0.4%、銀行+0.8%、鉄鋼+0.9%などに出遅れ感がある。各々の業界に構造的課題や循環サイクルがあるので、一概に言えないが、内需外需と言った分類でない業界内構造変化が注目されやすいと見る。出遅れ物色を基本としたジリ高展開を想定したい。

以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/7/3号)




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