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突撃取材 「いつまでも自己流投資・言いなり投資はダメ! 3人のプロと考える投資見直しセミナー」潜入取材レポート

注目トピックス 経済総合
2018年4月7日(土)10時から、東京・大手町の大手町ファーストスクエアカンファレンス イーストタワー2階のRoomB+Cで、「独立系ファイナンシャルアドバイザーによる投資見直しセミナー」が開催された。セミナーは楽天証券【関東財務局長(金商)第195号】とGAIA【関東財務局長(金仲)第235号、関東財務局長(金商)第2934号】、ファイナンシャルスタンダード【関東財務局長(金仲)第620号】の3社の共催である。600人の応募者のなかから抽選で選ばれた150人が会場に詰めかけた。
米国の資産運用の現状
最初に登壇したのは、ウィズダムツリー・ジャパン【関東財務局長(金商)第2891号】のETFストラテジストである渡邉雅史氏。テーマは「米国の資産運用の現状」である。まず、渡邉氏は、日米の家計資産の状況について、アメリカの家庭資産の約50%は、株や債権などのリスク資産が占めている、日本の家計資産は、15%から16%である。そして、現在、米国ではアクティブファンドから資金がインデックスファンドやETFに流れているという。なぜなら、アクティブファンドは運用しても勝つ確率が非常に低くて、投資家の約90%は損を出しているからだ、という。
さらに、日本のETF所有者の6割は信託銀行だが、実際は日本銀行が信託会社を通じてETFを購入しているので、6割は日本銀行が購入していることになるが、アメリカのETF市場を動かしているのは、独立系のファイナンシャルアドバイザーというのが実態だそうである。
そここで渡邉氏は、投機と投資と資産運用の違いがわかりますか? と参加者に質問を投げかけた。投資とは、短期的な価格変動に金をつぎ込むことで、機会に金を投資することであり、投資とは、企業の業績や資本に資金を提供することであり、資産運用とは、負債に対して資産のポートフォリオをどのように組んでいくのか、運営管理していくのかということで、資産の構成を考える、長期的な運用のことである、と説明した。
そして、欧米では、投資アドバイザーの世界では、これまで主流だった売買手数料を徴収する方式から、残高の連動から手数料を徴収する方法に主流が変わってきている、という。なぜなら、グローバルな世界では、たとえば、英国は金融商品の提供者からアドバイザーへの手数料の提供を禁止したり、日本でも、顧客本位の業務運営に関する原則が示されたばかりである。したがって今、米国や欧州では投資の世界で大改革が起こっている、という。
米国の投資家には必ず投資アドバイザーがついいて、彼らのアドバイスにならって投資家は資金を金融商品に投資し、アドバイザーは金融商品を販売した販売手数料をもらうのではなく、投資家がどれだけ投資しているかの残高に応じて、手数料を徴収するスタイルが主流となりつつある。さらに、そうした流れに従って、独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)が増加している。日本ではそうした動きは徐々にだが出てきているが、独立系投資アドバイザーであるIFAは全国でも1000人ぐらいである。確かに、金融知識を身につけることは大事だが、ファイナンシャルアドバイザーがどちらに目を向けているかを見抜く目が、投資家には必要になってくるという。
渡邉氏は講演の最後に、独立系投資アドバイザーの増加と、手数料は残高に応じて徴収するというモデルの普及が望ましいと、断言した。
投資信託選びの新常識
続いて登壇したのは、ファイナンシャルスタンダード代表取締役の福田猛氏。テーマは、「投資信託選びの新常識セミナー」〜なぜ投資信託で損をしてしまうのかハイライト版〜である。福田氏は投資信託について、「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用のプロがさまざまな投資対象に分散して、投資・運用すること」と、投資信託の基本を述べたあと、日本には投資信託が6000本以上あり、日本の株式に投資するものもあれば、海外に投資するものもあり、自身で選ぶのは非常に困難だから、銀行や証券会社へ「お勧めの投資信託がありますか」と尋ねる前に、一見、良い仕組みに見える投資信託を分析して見ることが重要だという。
そして、福田氏は恐ろしいことを口にした。何と、投資信託で損をする人が多い、というのだ。その原因は、投資の仕方にある。投資信託の購入方法には、一括投資と積み立て投資があるが、損をしているのは一括投資を行っている投資家に多いそうである。なぜなら、一括投資はまとまった資金を一度に投資する手法で、運用成績は価格×量で決まるから、最初に量が確定するので、価格の変動で成績に影響がでるからだ。
たとえば、一括投資には、買いやすい「テーマ型」がある。テーマ型の投資信託は人気のある銘柄や商品を注目されているときに新規設定されることが多い。しかし、もうその時が価格のピークで、あとは価格が下落する一方だというケースが多い。テレビなどのニュースでよく耳にする銘柄が投資信託に名に反映されているので、売り手側は勧めやすく、書いて側の関心も高いから買いやすい。しかし、2014年でもっとも人気があった投資信託の銘柄はシェールガスであった。その年にもっともよく売れた投資信託だったが、その後どうなったのかといえば、2014年をピークに価格は下落する一途で、その時にこの投資した区を購入した投資家を大損をした。今だと、さしずめAIがそれに匹敵するといってもいい。だから、AIを組み込んだ投資信託商品は十分に吟味をすることが求められると、いってよい。
もうひとつ、投資家が一括投資で損をするのは、毎月分売型の投資信託である。これは、一見、投資家にとっては非常にお得なイメージで魅力的にうつり、買いやすい。毎月、分配金が入ってくるのは魅力的だからだ。
しかし、分配金というのは、その投資信託で利益がでたもののなかから何%かを投資家の口座に振り込んでくるのが本筋だが、なかには、損をしている投資信託もある。しかし、毎月分配型を謳っている以上、分配金を配当として投資家に返さなければならない。ではどうするかといえば、投資家が預けている資産を取り崩して、それを分配金に充てているのだ。だから、資産が増えるどころか目減りをする、というのが毎月分配型の恐ろしいところである。そうやって投資家は損を積み重ねていく。だから、テーマ型投資信託も毎月分配型投資信託も十分に注意が必要だということである。
3つの損をする理由は、フル投資ルールである。投資信託協会のルールでは、投資信託の信託財産の総額の2分の1を超える金額を有価証券に対する投資として運用することとある。つまり、投資信託の中身の半分は現金にして良い、ということである。しかし、実には、多くのテーマ型投資信託は、ほぼ100%をそのテーマ型の株式や債券に投資しなければならないという、独自のルールをつくっている。そのため、相場が下がる時でも、そのテーマの投資信託にほとんどの資産を投資しなければならない。だから、損失も生まれるのは無理もない話である。
そして福田氏は、日本人に人気のあった投資信託がその後、どうなっているかの例を示した。まず、2000年に1位だった「ノムラ日本株戦略ファンド」は、当時はITバブルの絶頂期で、日本のIT株に投資するテーマ型投資信託が主流だったが、その後、バブルが崩壊して、大幅に価格が下落した。2007年1位だった「グローバル・ソブリンオープン(毎月分配型)」は、当時は円安の流れもあり、外国の債券に投資をし、毎月分配金を受けとる投資信託が主流だった。しかしその後、円高になり、大幅に価格は下落した。もし、この時期に人気の投資信託を購入していたら、大切な資産が減ってしまったことは間違いない。
だから、投資信託を選ぶ場合は、証券会社や投資ファンドの言いなりにならず、自分でよく調べることが重要であると、そういって福田氏は講演を締めくくった。
投資信託を賢く見直す方法
最後に登壇したのは、GAIAの代表取締役社長である中桐啓貴氏。テーマは「投資信託をかしこく見直す方法」である。中桐氏ははじめに、FP法人であるGAIAの業績等を説明したと、「資産運用=ギャンブル」ではない、と強調した。資産運用とは、世界経済の成長の恩恵に与ること、という。さらに、投資家の行動によって、リターンは大きく変わってしまうことになると述べて、3人の例を引き合いに出す。
たとえば、3人の投資家が、2007年の8月に1000万円を投資信託につぎ込んで資産運用に開始したとしよう。Aさんは、アドバイザーといっしょに、半年ごとに定期的にリバランスをした結果、10年後の2017年8月には資産が1533万円に増えていた。Bさんは、買ってから10年間一度も売買をせずに保っていた結果、資産は364万円増えて1364万円に増加した。そして、Cさんは、大きく価格が下落したので一度売却をして、再び価格が戻ってきたところでもう一度購入して、10年後には1128円の資産増加となった。このように、投資家の行動の仕方でこれだけ資産に増加に差がつくということである。
さらに、資産運用には4つのプロセスがあるという。まず、目標設定をすること。次ぎに、資産の配分をどうするかということ。そして、大事なのが商品選びであり、さらに、定期的に見直すことが重要になってくるという。ここで大事になってくるのが、本当に必要としているリターンはどのぐらいか、ということである。必要なリターンを把握することで、不必要なリスクをとらなくても済むからだ。たとえば、以前は、期待リターンを6.0%、推定リスクが19.3%だったのものが、本当に必要なリターンを見直した結果、リターンは4%でよく、推定リスクも4.3%に減少したというケースもある。
そして、中桐さんはGAIAの投資信託のシステムを説明する。GAIAでは、3つの視点から投資信託を選定するという。ひとつは手数料であり、運用実績であり、そして、数字では表せない情報である。さらに、良いファンドでも日々のモノタリングを欠かさないことが重要であり、大事なことは、適正なリバランスで資産配分の調整を行うことである。たとえば、債券50%、株式50%としていたものを途中で債券を40%にし、株式を60%にしたり、あるいはまた元に戻したりといった、金融商品の価格変動を見て、資産配分を変えることが必要である、という。
そして、GAIAでは独立系アドバイザーによる本格的なラップサービスである「GAIAMonitoredAccount」を始めたと紹介した。販売手数料を徴収するのではなく、残高に応じて報酬を徴収する「フィー型」のビジネスモデルに移行した。このラップサービスは、専任の独立系ファイナンシャルアドバイザーのサポートを受けることができるし、販売手数料は無料、さらに、感情に左右されない自動リバランスで、価格が上がったものを売り、下がったものを購入して効率的な運用を実践したり、また、世界一流の運用会社がパートナーになっているなど、心強い限りである。そうしたGAIAの魅力を最後に伝えて、中桐氏は講演を締めくくった。
その後、短時間だが、3人によるパネルディスカッションを経て、セミナーは12時30分に終了した。


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