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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆欧州のグダグダ感◆

注目トピックス 経済総合
〇欧州、中国情勢など不透明感漂うも日柄整理イメージ〇
19日の欧米市場はNYダウがプラスだったものの、主要指標はマイナスだった。ただ、午前安から持ち直したところが多い。一つの要因は、前日に「EU財政規律を大幅に逸脱
している」との厳しい書簡をイタリアに送った欧州委員会のモスコビシ委員が「対立を緩和し、建設的な対話を維持」したいと述べ、態度を変えたこと。イタリア国債10年物は朝方の3.78%(4年半ぶり水準)から3.57%に戻した。銀行株指数は22ヵ月ぶり安値から0.4%安に下落幅を圧縮した。

また、ブレグジット交渉で最大難関となっているアイルランド国境問題で、メイ英首相が要求の一部を取り下げる構えと一部で報道され、NY市場でユーロ、英ポンドが切り返す動きとなったことも支援した。バルニエEU首席交渉官は「交渉進捗は90%に達しているが、国境問題が引き続き障害」と述べていた。売り方にとっても消化難材料になっている。

反面、独ダイムラーが「(通期利益が)前年水準を大幅に下回る」との警告を出した。4ヵ月で2回目。ディーゼル費用と中国減速が背景と見られる。株価は5年ぶり安値を更新。また、仏ミシュラン株が11.3%急落、中国減速と新たな排ガス規制を理由に売上見通しを引き下げた。同業の独タイヤ大手コンチネンタル株も4.5%安。中国自動車販売(外資系を含むので、統計のなかでは正確と言われる)が9月約12%落ち込んでおり、その影響が出始めていると見られる。

安倍首相、李克強中国首相を含むASEM(アジア欧州会議)首脳会合が開かれ、中国に対して市場開放を求めた。李首相は元々、市場開放姿勢を取っており、習主席の国家統制強化を反転させられるかどうかは不明。今週後半、訪中する安倍首相にとって、単なる中国迎合に終われば、厳しい批判を招く恐れがある。

その中国上海総合指数は19日、+2.58%と切り返した。ただ、既に1月高値から30%下落、時価総額は3兆ドル余吹っ飛び、仏株式市場の時価総額が消滅した格好。400銘柄程度が売買停止(内藤証券HPで銘柄一覧が見られる)の異常状態下にある。創作統計と言われる第3四半期GDPは前年同期比+6.5%、第2四半期の+6.7%から減速した。9月鉱工業生産は前年同月比+5.8%(8月+6.1%、市場予想+6.0%)。小売売上高は同+9.2%(8月、市場予想とも+9.0%)。

18日中国人民銀行が発表した9月末統計では、中国国内債の海外投資家による保有額は1兆7500億元(2523億ドル)、6月末の1.6兆元から増加した。同株式保有は1.28兆元、6月末比横ばい。国内融資残高は9243億元、6月末8243億元から増加(如何にも小さいが、シャドーバンキング依存を裏付けるとの見方も)。預金残高は1兆400億元で、6月末1兆1800億元から減少しているのが懸念される。

不安定感は否めないが、18日発表の10月第2週の投資主体別売買動向で、海外投資家は現物3290億円、先物1兆4990億円の売り越しだった。先物の売り越し額は15年8月第4週のチャイナ・ショック時以来の高水準で、持続性は無いと見られる。トータル売り越しは5週ぶりで、1兆8281億円に達した。買い向かったのは個人で8177億円の買い越し。全体は様子見基調が続き、今週後半から本格化する7-9月期決算を見ながらの選別相場が想定される。


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/22号)



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