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金融センターへの本気度を占う2021年度税制改正要望【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

注目トピックス 経済総合
香港で資産運用業に携わる20名に対してFinCity.Tokyoが2020年1月にヒアリング調査を実施したところでは、2019年後半の治安悪化時には35%が引っ越しを考えたそうだ。もっとも、その際にはシンガポール、ロンドン等が候補地として挙げられる一方、日本や東京が意識された様子はうかがえない。

調査対象者の9割が日本に住むことには興味があると回答したにも関わらず、日本に引っ越さない理由として、ほぼ全員が税金の高さを理由に挙げている。特に最高所得税率の高さを問題視する声が多く、回答者の75%を占めた(その他には、ビジネスがないという指摘もある)。「既存の税制を変えずに日本の税制問題を改善する方法」については、半数以上が「ない」と回答した一方、意見が出された中では、特例を設けて外国人に対し優遇税制を提供してほしいという要望が多かったようだ。長らく指摘されている通りではあるが、日本が金融センターになるためには、税制改正が必要条件という意見が支配的である。

金融庁は「成長戦略2020における金融庁関連の主要施策」として「世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融都市の確立」の項で、(1)資産運用高度化に向けた課題の整理・運用業者との対話促進、アセットオーナーの運用高度化、独立系新興運用業者の資金繰り対策、運用業者の声を踏まえた市場の効率化に向けた業界慣行の見直し、(2)海外金融人材やサポート人材等の円滑な受入れ促進、拠点開設サポートデスクの抜本的強化や英語による金融行政サービス提供等による投資運用業登録等の迅速化、国のプロモーションの抜本的強化、を掲げている。ただ、これらの多くは着手済みであり、税制面の課題は避けられてきたきらいが否めない。日本が金融センターへの本気度を改めて示すためには、9月に向けて作成される税制改正要望において外国人優遇税制に関する要望が掲げられる必要があるだろう。
(株式会社フィスコ 中村孝也)



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