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米国株式市場見通し:地政学リスクに警戒、小売決算に注目

注目トピックス 市況・概況

前週末にかけての下落を受けた値頃感から買いが先行。ポルトガル中銀が経営難に陥っていたエスピリト・サント銀行を救済したことや、主要企業決算が好感され堅調推移となった。しかしながら、原油価格の下落を受けてエネルギー関連株を中心に売りが広がったほか、ポーランド外相がロシアによるウクライナ侵略の可能性に言及したことが報じられると下落。週半ばにはメディア大手の21世紀フォックスによるタイムワーナーの買収撤回や、携帯電話キャリアのスプリントによるTモバイルUSの買収断念が相次いだことで上値の重い展開となった。週後半になると週間新規失業保険申請数が予想より少なかったことが好感されたものの、ウクライナ情勢を巡ってロシアと西欧諸国との対立が深まっていることや、イラク情勢の悪化を嫌気して再び下落した。米軍がイラク北部で空爆を実施するなど、引き続き地政学リスクへの警戒感は根強いものの、週末にかけては緩やかに上昇する展開となった。結局、週を通じて主要株式指数は、上昇

ドラッグストアのウォルグリーンは、スイスのアライアンス・ブーツ社買収に関連して、節税目的でのスイスへの本社移転は行わない方針を明らかにして急落。アパレルや革製品のマイケル・コースは予想を上回る決算を発表したものの、値引き販売の拡大が嫌気されて下落した。一方でウォーレン・バフェットし率いる投資・保険会社のバークシャー・ハサウェイが好決算を発表して上昇。レンタカーのエービス・バジェットや、アルコール飲料のモルソン・クアーズ、保険のAIGなどが予想を上回る決算を発表して堅調推移となった。

ウクライナ情勢を巡るロシアとの対立や、イスラエルによるガザ地区侵攻、そしてイラク過激派への空爆など地政学リスクの高まりが懸念事項となっている。ロシアが制裁措置への対抗策として一部食品の輸入を禁止したことから食品や食肉加工メーカーに、中東情勢に対する警戒感から航空会社等に売り圧力が続きそうだ。一方で資源・エネルギー関連株や、軍需・防衛関連銘柄は物色される可能性があるだろう。

今週から来週にかけては小売各社の決算発表が多数予定されている。百貨店のメーシーズ(13日)、JCペニー(14日)、ノードストローム(14日)、コールズ(14日)、ディスカウントストアのウォルマート(14日)などの決算が控えている。先日発表された4−6月期GDP速報値では個人消費が堅調だったことから、小売各社の決算に対する期待は高い。

小売以外では旅行予約サイトのプライスライン(11日)、ネットワーク機器のシスコシステムズ(13日)、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(14日)、農業機械のディア(13日)などの決算も予定されている。プライスラインは、6月にレストラン予約サイトのオープンテーブルの買収を発表しており、7−9月期に完了する見込みとなっている。オープンテーブル買収後のシナジー効果に注目が集まりそうだ。

経済指標では7月生産者物価(15日)、7月鉱工業生産設備稼働率(15日)などの発表が予定されている。

8月も中旬となり9月1日のレイバーデーの祝日頃まで夏季休暇に入る投資家や市場関係者も多く閑散取引となるのが通例だが、今年は地政学リスクによる突発的なイベントリスクに注意が必要だ。休暇を前後して一旦手仕舞う動きが、相場全体の上値を抑える要因となる可能性がある。

(Horiko Capital Management LLC)


<TN>

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