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米国株式市場見通し:小売売上高や鉱工業生産に注目

注目トピックス 市況・概況

週初は、3月製造業受注指数が市場予想にほぼ一致したことから買いが先行。中国の4月製造業景況指数(PMI)が低調となったことで、追加金融緩和観測の拡大からアジア株が上昇したことも支援材料となり、堅調推移となった。週半ばに入り、ギリシャ債務問題への懸念から欧州株が全面安となったほか、一部証券会社による信用取引ルールの規制強化を受け、中国株が全面安となったことで下落した。また3月貿易統計で赤字額が08年以来の高水準に急増し、景気先行き懸念が拡大したことや4月ADP雇用統計が市場予想を下回ったことから、週末に発表を控える雇用統計への警戒感が広がったことも下落要因となった。週末にかけては、原油相場の下落やドイツ国債利回りの上昇を受けて、一時揉み合う展開もあったが、雇用統計が堅調となったことで上昇し、週半ばまでの下落幅を大きく回復した。結局、週を通じて主要株価指数は上昇した。

動画ストリーミングのネットフリックスは、BOAメリルによる投資判断引き上げを受け上昇。ファストフードのウェンディーズは、事業・店舗売却などの債務削減案を発表し上昇。中国電子商取引のアリババ・グループは好決算を受け上昇、同社株を保有する検索サイトのヤフーも買われた。口コミサイトのイェルプは、身売り検討が報じられ上昇。医薬品のバイオジェン・アイデックは、最大50億ドルの新たな自社株買いを発表して買われた。一方で携帯電話のスプリントは赤字決算が嫌気され軟調推移。クーポン共同購入サイトのグルーポンは、軟調な決算内容を受け下落。時計・アクセサリーのフォッシル・グループは、通期見通しの引き下げが嫌気され、軟調推移。スーパーマーケットチェーンのホールフーズは、決算で売上高が市場予想を下回り下落した。

先週の雇用統計では、1-3月期に比べて雇用市場の回復が確認される結果となった。ただ非農業部門雇用者数の伸びは昨年後半に比べると鈍化しており、回復のスピードがやや落ちているのも確かだ。今週発表される小売売上高や鉱工業生産なども予想を大きく上ぶれるとは考えにくく、4-6月期の景気回復は限定的との見方が大半を占めるだろう。

1-3月期決算発表シーズンはピークを通過したが、今週はネットワーク機器のシスコシステムズ(13日)、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(14日)、百貨店のメーシーズ(13日)やJCペニー(13日)などの決算発表が予定されている。来週以降に小売大手の決算発表が多数予定されていることもあり、メーシーズやJCペニーの決算で個人消費の動向を見極めたい。

経済指標では4月小売売上高(13日)、4月生産者物価指数(PPI)(14日)、4月鉱工業生産・設備稼働率(15日)などの発表が予定されている。また商品相場への影響力を持つ中国の4月鉱工業生産(13日)にも注目したい。4月小売売上高では、天候改善によるリバウンドが3月よりも大きくなると予想される一方、4月鉱工業生産は依然として西海岸の港湾ストライキの影響が残っていると考えられ、プラスに転じる可能性は低いと見られている。

6日に開催されたイエレンFRB議長の講演では、景気ではなく金融市場に関する言及が注目された。株式市場については全体的な株価水準が非常に高いと発言したほか、債券市場については、利上げ開始局面でのタームプレミアム(期間に伴う上乗せ利回り)の変動に伴い、長期金利が急上昇する可能性についても懸念を示した。ただ議長は昨年7月に「株式市場全体としては割高感がない」と発言しており、その後S&P500指数は約6%しか上昇していないことから、今回の発言を疑問視する向きが多い。金融市場に対して利上げの際の「地ならし」が主な目的だったと考えるのが自然だろう。

(Horiko Capital Management LLC)


<TN>

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