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国内株式市場見通し:株高・円安のトレンド継続も短期的な調整を意識

注目トピックス 市況・概況

■ギリシャ問題や米雇用統計を控えこう着

先週の日経平均はこう着。注目された日経平均の連騰記録は12日間で途絶えたが、今年に入って3日続落がないなど、とにかく下げない相場展開となった。ギリシャの債務問題に対しては5日の国際通貨基金(IMF)への融資返済期日が債権国との支援合意の期限となるなか、欧州市場の重石になった。また、米国では雇用統計の発表を控えているなか、全体としてはこう着感の強い相場展開は想定されていた。しかし、欧米市場の大幅な下落に対しても、日経平均は小幅な下げにとどまっていた。また、利益確定の流れが強まる局面に対しても、相対的に出遅れているセクターや銘柄への物色が続いており、日本株に対する物色の強さが窺えた。

■円安・株高のトレンドは継続

今週は5日の米雇用統計の結果を受けた、利上げの時期に対する思惑等が相場の変動要因になりそうである。失業率は前の月より僅かに悪化したが、市場が注目する農業分野以外の就業者数は前月比28万人増と市場予想平均の20万人を大幅に上回って増加した。この結果を受けて米連邦準備理事会(FRB)が早ければ9月のFOMC(連邦公開市場委員会)に利上げを開始するとのコンセンサスを維持した格好である。

堅調な米雇用統計で雇用市場の改善が示されたことから、為替市場ではドルは全面高となり、円相場はNY時間で一時1ドル125円80銭レベルに。シカゴ日経225先物清算値は大阪比120円高の20580円となり、週明けの日経平均はこれにさや寄せする格好からのスタートになろう。

引き続き5月労働市場情勢指数(LMCI)など雇用関連の経済指標の結果等を受けて、利上げ開始の時期対する思惑から上下に振れやすいと考えられる。もっとも米国との連動性は薄れており、一方で緩和政策が継続することで、円安・株高のトレンドは継続するとの見方は不変。金融セクターや輸出関連などへの物色が意識されやすいであろう。

■ギリシャ問題は上値の重石

また、想定内ではあるが、ギリシャ政府はIMFに対し、6月中に期限を迎える数件の債務約17億ドル(約2100億円)をまとめて一括返済する計画を申し入れた。一括支払いはIMFの規則で認められているが、支払いを先送りするというあまり前例はなく、ギリシャの財政破綻とユーロ離脱のリスクは増大した格好。先送りではあるが月末まで延長したことで、目先的には落ち着きを見せてきそうだが、上値の重石となる。

■短期的に調整意識、週末にメジャーSQ

米雇用統計が通過したことにより、仕切り直し的な動きに向かう可能性はありそうだ。しかし、日経平均は足元で高値圏でのこう着が続いており、テクニカル的には短期的に調整入りが意識されるところ。シカゴ先物にさや寄せする格好で上昇を見込むが、20400-20650円処のボックスを抜け切れないと、こう着感の強い相場展開が続きやすい。週末には6月の先物オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を迎えるため、手掛けづらさもありそうだ。

こう着感が強まる局面においては、個人主体によるテーマ株などの材料銘柄中心に値幅取り狙いの動きが活発化するだろう。韓国では中東呼吸器症候群(MERS マーズ)と呼ばれる感染症が流行しているが、管理の甘さが問題視されており、隔離対象者は一気に倍増する可能性なども伝えられている。感染症対策の関連銘柄への物色は続きそうである。また、韓国旅行を予定していた外国人1万人余りが予約を取り消したとの報道がされている。9割が中国人とみられ、訪日につながる可能性がある。そのため、改めてインバウンド消費関連などへの物色も期待されそうだ。

■中国の経済指標、A株のMSCI採用に関心

なお、経済指標では8日に1-3月期の国内総生産(GDP、改定値)、4月の国際収支、5月の中国の貿易収支などの発表が予定されているほか、ドイツの主要国首脳会議(G7サミット)が閉幕する。9日には5月の中国の消費者物価指数、10日に4月の機械受注、11日に5月の中国の鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資のほか、5月の米小売売上高が発表される。とりわけ中国の経済指標の発表が多いが、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は9日、A株として知られる中国本土株をその世界的なベンチマーク(運用指標)に採用するかどうかを決める。採用されるようだと、グローバルな資金の流れにも影響を与えることになるため、市場の関心は中国に向かいやすいだろう。



<TN>

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