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仮想通貨でも米国(ドル)覇権は続く、日本はビットコイン1億円超にかけるべきか【フィスコ・ビットコインニュース】

注目トピックス 市況・概況
アメリカは軍との関係をバックボーンとし、錬金術のサイクルができあがっているシリコンバレーを中心に、仮想通貨やその関連サービスのスタートアップ、技術者などを多く輩出して仮想通貨界においても大きな存在感を放っているが、さらに別の側面として仮想通貨の保有大国と見ることができる。

現在、仮想通貨市場全体の時価総額ランキングで5位に位置するリップル(XRP)は、アメリカのシリコンバレー初のスタートアップであるリップル社が発行する仮想通貨としてビットコインなどの非中央集権モデルと一線を画す性格のコインだ。

リップル社は総発行数の1,000億XRPのうち、約600億XRPを自社が所有する。リップル社は自社所有のうち500億XRPは市場に混乱をきたさないために2021年末まで凍結するとしているが、12月11日時点で1XRPは約0.24米ドルであることを考えると相当数の資産(約1.6兆円)を所持していることになる。

アメリカのビットコイン保有者が多いことを示すひとつの視点として、ビットコインの個人間取引が盛んであるという点がある。LocalBitcoinsというビットコインの取引所を介さない個人間取引を行うためのプラットフォームの週間取引額は、アメリカにおいて約1,130万ドルに到達しようとしている。これは各国の中でも多く、例えば日本では週間約66万円の取引しかない。

また、ビットコインATM数ではアメリカが1,118台と圧倒的首位で、2位のカナダが293台とかなりの差が開く。世界のビットコインATMの半数以上がアメリカにある計算となる(coin atm raderより)。

さらに、アメリカでは以前より複数の著名人が多額のビットコイン保有を明らかにしてきた。フェイスブック創設に関わったことで著名な投資家、ウィンクルボス兄弟は2013年の投資活動の中で1,100万米ドル相当のビットコインを保有したことを明らかにしている。

他にも著名投資家のティム・ドレイパー氏が2014年に30,000ビットコインを政府のオークションで購入した他、同様にアメリカの三大投資家と称されることもあるビル・ミラー氏のヘッジファンドは資産の30%をビットコインにしたと報道されており、こうした投資家の例が多数存在する。

確かな経済力の裏付けを持つアメリカは、新たに誕生しつつある仮想通貨界においても強力な存在感を持つようだ。ケンブリッジ大が2017年春に製作した世界における仮想通貨研究レポート「Global Cryptocurrency Bench Mark Study」における調査では、仮想通貨関連の企業数のもっとも多い国はアメリカと中国だった。

中国規制当局が仮想通貨取引を前面禁止した後も、アメリカでは引き続き多数の仮想通貨の発行や開発に携わるプロジェクトが生まれ、かつそれらの仮想通貨を多く保有するユーザーが生まれるという状況にある。アジア通貨危機の際に日本主導によるアジア通貨基金構想がアメリカのドル覇権に阻まれたのと同様、日本が法制面で先行しているとしても仮想通貨分野で主導権を握ることが難しい状況にも見える。

ただし、日本が仮想通貨の潮流に乗るひとつの方法として、仮想通貨購入という選択肢はあり得る。実際、12月11日時点で、ビットコイン取引量全体に占める日本円建て取引の割合は37.9%と、他の通貨に比べてもっとも高いシェアとなっている。米ドルは27.6%の2位、3位は韓国ウォンの8.9%だ(Crypto Compareより)。

現在、仮想通貨市場全体の時価総額は約4,137億ドルであり、2017年初の145億ドルから約28.5倍の急成長となっている。今後、ナスダックのビットコイン先物上場やその他の仮想通貨の先物が大手取引所に上場するなどの事態が生まれれば、さらなる市場拡大の可能性もある。

ビットコインのフェアバリューはいくらなのかという疑問に答えるためには、様々なアプローチがあろうかと思う。今回は1つのアプローチとして、ビットコインのブロックチェーン上におけるユニークアドレス件数をもとに、フェアバリューを試算してみたい。ユーザーの数が増えれば、乗数的に資産としての価値が向上するという視点に立った試算だ。実際、ユニークアドレス件数とビットコイン価格の相関は非常に高い。

ユニークアドレス件数はビットコインの注目が高まりつつあった2013年と比較しても、足もとの平均で10倍程度、実数では15倍程度の高い伸びを示している。ニュートラルなシナリオとしてユニークアドレス件数が年率70%増の勢い(足もと2017年10-12月の伸びと2017通年の伸びの中間)を保った場合、我々の2020年末におけるビットコイン価格の想定は246,930米ドル(約2,780万円)である。

2017年10月から12月にかけての非常に高い年率100%というユニークアドレス件数の伸びを達成するというアッパーシナリオでは、我々の2020年末におけるビットコイン価格の想定は941,962米ドル(1億597万円)となる。

実は、アッパーシナリオについては、更に上値を想定できる状況にもある。ユニークアドレスについては90日平均を採用しており、年末にかけて数値が上昇することほぼ確実だ。2017年末の想定される数値で2020年末のビットコイン価格を試算すると、1,582,956ドル(1億7,808万円)という数値が計算される。

以上がビットコインのユニークアドレスによる試算だが、ビットコインが有する価値の保全という意味において、金(ゴールド)との比較も有意であろう。金の時価総額を過去5年間で平均すると約7.8兆ドル(約878兆円)である。一方、足元のビットコインの時価総額は現在、約3,200億ドル(約36兆円)だ。金と同等程度の評価となれば、ビットコインの価格は461,729ドル(約5,195万円)がめどとなる。

日本は戦後から高度経済成長期にかけて築いた外貨獲得モデルの健全性が非常に高く、足もとの外貨獲得状況からは、その大転換を迫られるほどの環境変化もない。ただし、人口構造の急激な変化、第四次産業革命への乗り遅れなどから、経常収支の赤字化が進み、日本は成熟債権国から債券取崩国へとステージを移す可能性もある。

そのような未来に備えて、将来の外貨準備の増大を狙い、国策として仮想通貨を購入するという方法も一考だろう。ビットコインが1単位で数千万から1億円超になるのであれば、それを推進する価値はある。

フィスコ取締役 中村孝也
フィスコデジタルアセットグループ代表取締役 田代昌之



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