来週の相場で注目すべき3つのポイント:米雇用統計、ノーベル賞発表、パウエルFRB議長講演
[18/09/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し
予想レンジ:上限24750-下限23750円
来週の日経平均はスピード調整による一服が予想されるものの、為替次第で一段高の可能性も秘めている。米国の対中貿易摩擦は長期化懸念が強まっているものの、日米首脳会談で「日米物品貿易協定(TAG)」の交渉開始に応じる一方、自動車輸入関税を回避できたことで1つの波乱要素は乗り越えた。経済指標面で米国景気の堅調さが確認されるなか、FOMC声明を受けて一時低下した米長期金利も上昇基調が継続されれば、一段のドル高・円安を促す材料となってくる。10月23日の日本電産<6594>の決算発表を皮切りに10月下旬から本格化する3月期企業の第2四半期決算では、輸出関連株を中心に業績の上方修正ラッシュとなる期待がある。スピード調整があっても相場の腰は強く、大きな崩れは想定しにくい。また、国慶節で上海市場が1日から5日まで5日間休場(香港市場は1日のみ休場)となることから、中国株の影響が見込まれないこともポイントだ。一方、日経平均に比べて出遅れ色が強かったTOPIXは、9月25日に5月高値1819.74ポイントを更新して1月23日の年初来高値1911.31ポイントを目指す展開となっている。物色的にはトヨタ<7203>などの自動車、三菱UFJFG<8306>などのメガバンク、富士通<6702>など電機といった1月高値銘柄の水準が切り上がるかどうかに関心が向かうほか、ノーベル賞の発表などで中小型の個別材料株の動きが注目されるだろう。
相場の変化は、指数面だけでなく需給にも表れている。東証が21日に発表した9月第3週(18日から21日)の2市場1・2部合計の投資主体別売買状況で、海外投資家は3週ぶりに買い越しに転じるとともに、その買い越し規模は2771億円と週間ベースでは7月第2週の3249億円に次いで今年2番目の水準に膨らんだ。強調地合いとなった9月第4週も買い越していることはほぼ確実視でき、海外投資家の買い転換は需給面で大きなプラス材料だ。安倍首相が自民党総裁選で勝利して、政治の安定を海外投資家が好感したと予想できる。ちなみに、海外投資家は過去3年間において10月は月間ベースでいずれも買い越しとなっている。また、この海外投資家の買いは主力大型株だけではない。マザーズ、JASDAQとも2週連続で買い越しており、マザーズで7.96億円から48.86億円、JASDAQで6.68億円から20.91億円とその買い越し規模が膨らんでいる。物色のすそ野は新興市場にも広がっているようだ。
主な国内経済関連スケジュールは、1日に9月日銀短観、2日に9月マネタリーベース、5日に8月家計調査、8月景気動向指数などが発表される。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、1日に米9月ISM製造業景況指数、2日にパウエルFRB議長講演、3日に米9月ADP雇用統計、米9月ISM非製造業景況指数、5日に米8月貿易収支、米9月雇用統計などが予定されている。このほか、国内外で予定されているイベントとして、1日は国内の全証券取引所が売買単位を100株に統一、中国国慶節(7日まで)、ノーベル生理学・医学賞発表、米カナダ間のNAFTA再交渉期限、日経平均株価の定期銘柄入れ替え実施・新構成銘柄での算出開始、タバコ増税、2日はノーベル物理学賞発表、自民党役員人事・内閣改造、3日はノーベル化学賞発表、7日はブラジル大統領選挙などが予定されている。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い展開か。10月5日発表の米9月雇用統計は雇用情勢の改善が続いていることを示す内容になると予想されており、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続方針の妥当性を証明する材料になることから、リスク選好的なドル買いは続きそうだ。米中貿易摩擦の長期化を警戒したリスク回避的な円買いは一部で継続する可能性があるものの、米利上げは2020年まで継続すると予想されており、雇用統計など主要経済指標が市場予想に沿った堅調な内容だった場合、ドル買い安心感が広がりそうだ。
ただし、NYダウの反落や米10年債利回りの低下などはドル買いを抑制する要因となる。トランプ米政権は貿易赤字解消に向けた強硬な通商政策を緩めておらず、相手国との軋轢(あつれき)が生じていることもドル売りにつながる可能性がある。特に、カナダとの貿易摩擦が顕在化した場合、国際貿易環境の悪化を嫌気してリスク回避的なドル売りが再び広がる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
10月1日(月):印製造業PMI、米ISM製造業景況指数、米自動車販売など
10月2日(火):日銀短観(「企業の物価見通し」の概要)、米パウエルFRB議長講演など10月3日(水):トルコ消費者物価指数、米ISM非製造業景況指数など
10月4日(木):米製造業受注、メキシコ中銀が政策金利発表など
10月5日(金):独製造業受注、米非農業部門雇用者数、インド中銀が政策金利発表など
10月7日(日):ブ大統領選挙、中外貨準備高など
<SK>
予想レンジ:上限24750-下限23750円
来週の日経平均はスピード調整による一服が予想されるものの、為替次第で一段高の可能性も秘めている。米国の対中貿易摩擦は長期化懸念が強まっているものの、日米首脳会談で「日米物品貿易協定(TAG)」の交渉開始に応じる一方、自動車輸入関税を回避できたことで1つの波乱要素は乗り越えた。経済指標面で米国景気の堅調さが確認されるなか、FOMC声明を受けて一時低下した米長期金利も上昇基調が継続されれば、一段のドル高・円安を促す材料となってくる。10月23日の日本電産<6594>の決算発表を皮切りに10月下旬から本格化する3月期企業の第2四半期決算では、輸出関連株を中心に業績の上方修正ラッシュとなる期待がある。スピード調整があっても相場の腰は強く、大きな崩れは想定しにくい。また、国慶節で上海市場が1日から5日まで5日間休場(香港市場は1日のみ休場)となることから、中国株の影響が見込まれないこともポイントだ。一方、日経平均に比べて出遅れ色が強かったTOPIXは、9月25日に5月高値1819.74ポイントを更新して1月23日の年初来高値1911.31ポイントを目指す展開となっている。物色的にはトヨタ<7203>などの自動車、三菱UFJFG<8306>などのメガバンク、富士通<6702>など電機といった1月高値銘柄の水準が切り上がるかどうかに関心が向かうほか、ノーベル賞の発表などで中小型の個別材料株の動きが注目されるだろう。
相場の変化は、指数面だけでなく需給にも表れている。東証が21日に発表した9月第3週(18日から21日)の2市場1・2部合計の投資主体別売買状況で、海外投資家は3週ぶりに買い越しに転じるとともに、その買い越し規模は2771億円と週間ベースでは7月第2週の3249億円に次いで今年2番目の水準に膨らんだ。強調地合いとなった9月第4週も買い越していることはほぼ確実視でき、海外投資家の買い転換は需給面で大きなプラス材料だ。安倍首相が自民党総裁選で勝利して、政治の安定を海外投資家が好感したと予想できる。ちなみに、海外投資家は過去3年間において10月は月間ベースでいずれも買い越しとなっている。また、この海外投資家の買いは主力大型株だけではない。マザーズ、JASDAQとも2週連続で買い越しており、マザーズで7.96億円から48.86億円、JASDAQで6.68億円から20.91億円とその買い越し規模が膨らんでいる。物色のすそ野は新興市場にも広がっているようだ。
主な国内経済関連スケジュールは、1日に9月日銀短観、2日に9月マネタリーベース、5日に8月家計調査、8月景気動向指数などが発表される。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、1日に米9月ISM製造業景況指数、2日にパウエルFRB議長講演、3日に米9月ADP雇用統計、米9月ISM非製造業景況指数、5日に米8月貿易収支、米9月雇用統計などが予定されている。このほか、国内外で予定されているイベントとして、1日は国内の全証券取引所が売買単位を100株に統一、中国国慶節(7日まで)、ノーベル生理学・医学賞発表、米カナダ間のNAFTA再交渉期限、日経平均株価の定期銘柄入れ替え実施・新構成銘柄での算出開始、タバコ増税、2日はノーベル物理学賞発表、自民党役員人事・内閣改造、3日はノーベル化学賞発表、7日はブラジル大統領選挙などが予定されている。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い展開か。10月5日発表の米9月雇用統計は雇用情勢の改善が続いていることを示す内容になると予想されており、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続方針の妥当性を証明する材料になることから、リスク選好的なドル買いは続きそうだ。米中貿易摩擦の長期化を警戒したリスク回避的な円買いは一部で継続する可能性があるものの、米利上げは2020年まで継続すると予想されており、雇用統計など主要経済指標が市場予想に沿った堅調な内容だった場合、ドル買い安心感が広がりそうだ。
ただし、NYダウの反落や米10年債利回りの低下などはドル買いを抑制する要因となる。トランプ米政権は貿易赤字解消に向けた強硬な通商政策を緩めておらず、相手国との軋轢(あつれき)が生じていることもドル売りにつながる可能性がある。特に、カナダとの貿易摩擦が顕在化した場合、国際貿易環境の悪化を嫌気してリスク回避的なドル売りが再び広がる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
10月1日(月):印製造業PMI、米ISM製造業景況指数、米自動車販売など
10月2日(火):日銀短観(「企業の物価見通し」の概要)、米パウエルFRB議長講演など10月3日(水):トルコ消費者物価指数、米ISM非製造業景況指数など
10月4日(木):米製造業受注、メキシコ中銀が政策金利発表など
10月5日(金):独製造業受注、米非農業部門雇用者数、インド中銀が政策金利発表など
10月7日(日):ブ大統領選挙、中外貨準備高など
<SK>