国内株式市場見通し:日経平均はSQ、金融イベントにらみもみあいへ
[20/05/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■買い戻し強まり日経平均は22000円に接近
前週の日経平均は大幅続伸し、22000円台に迫る場面もあった。月間では2カ月連続の上昇となった。週明け25日の日経平均は3営業日ぶりの反発で始まった。22日のNYダウは、香港を巡る米中対立の先鋭化が懸念されて小幅続落したものの、国内では緊急事態宣言がこの日に全面解除される見通しとなったほか、第2次補正予算への期待が先行して一段高でスタートして大引けは高値引けとなった。26日の日経平均も大幅続伸して、朝方にはおよそ2カ月半ぶりに21000円台を回復した。25日の米国市場は祝日で休場だったものの、独企業の景況感改善を受けて欧州株が大きく上昇した流れなどを好感したことから、先物に断続的な買い戻しが入り日経平均の上昇を支えた。3連休明けのNYダウは、全米での経済活動再開の広がりと新型ウイルスワクチンの開発動向が伝えられ、529.95ドル高と3営業日ぶりに急反発した。27日の日経平均は連騰による利益確定売りが先行して始まったものの、後場にNYダウ先物の時間外取引での上昇を受けて大引けにかけて上昇に転じた。引き続き景気回復への楽観的な見方が広がって、27日のNYダウは続伸し、大引けで3月10日以来となる25000ドル台を回復。この流れを好感して28日の日経平均も4日続伸し、一時507.06円高の21926.29円まで上昇し、大引けもほぼ高値圏で引けた。銀行や輸送用機器、鉄鋼といったこれまでの上昇局面で出遅れていたバリュー株が大きく買われる展開となり、東証1部の出来高は20億8000万株超に膨らんだ。トランプ米大統領が中国に関する会見を29日に開催と発表したことで、米中関係の悪化懸念が再燃して28日のNYダウは3日ぶりに反落。29日の日経平均も前日までの4連騰で1500円超の上昇を見せていたことから利益確定売りが先行し5日ぶりに反落した。継続していたバリュー株の買い戻しが一服し、時間外の米株価指数先物安も重石となった。ただ、大引け間際に一時プラス圏に浮上する底堅さもみせた。29日の米主要3指数は高安まちまち。注目されていたトランプ米大統領の会見では、警戒されていた中国高官対象の制裁や旅券発行制限に関する言及がなく、また、米中第1段階貿易協定は続行する見通しとなり、安心感からNYダウは引けにかけては下げ幅を縮小している。
■日経平均はもみ合い展開か
今週の日経平均は、スピード調整の後にもみあいに転じる可能性が大きい。経済活動正常化を期待した動きが先行して、日米欧ともに前週の株式市場は買い戻しが先行し、物色的には、グロースからバリューへと循環しながら、商いを伴った株高が展開された。東京市場でも需給に変化が表れている。東証が28日に発表した5月18日から22日の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物取引ベースで6週ぶりに買い越しとなったほか、現物と先物の合算でも15週ぶりに買い越しに転じている。この傾向は、5月25日から29日の週も継続していることが予想でき、最大の売り手だった海外投資家の買い戻し姿勢が鮮明になったことが、ここまでの日経平均の上昇に寄与したことは確かだ。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の第2波への警戒感はぬぐえず、香港をめぐる米中間の緊張が相場の懸念材料として意識されている。中国天安門事件から31年目となる4日は、香港立法会(議会)が国歌条例案の採決を予定、香港の集会制限措置期限でもあり警戒感が強まる可能性がある。また、5月28日までの日経平均4連騰で25日移動平均線からの上方乖離率は28日には7%を超えるなど、テクニカル的に高値警戒感を示す指標も増加している。6月12日のメジャーSQ(特別清算指数)を控えて先物動向に影響されやすい地合いのなか警戒要因が増えていることから、日経平均は次の展開待ちのもみあいとなりそうだ。なお、相場への影響が大きい米5月雇用統計の発表は5日の東京市場大引け後の夜であり、その影響は翌週となる。9日にはFOMC(米連邦公開市場委員会、10日まで)が予定され、この2大イベントを控えて週後半には手控えムードが強まりやすい。
■小売り各社の5月売上高とソニーイベントに注目
物色的にバリュー株の水準訂正が継続するかどうかは一つの焦点だろう。また、2日の大引け後にはファーストリテ<9983>の5月国内ユニクロ売上高の発表があるほか、小売り各社の5月売上高発表が相次ぐことも注目点だ。一方、29日は日経平均が上げ一服となるなか、日経ジャスダック平均は11連騰、マザーズ指数は反発した。先物の指数売買に影響を受けにくい新興市場の個別株物色に再び投資資金が向く流れが意識されよう。このほか、ソニー<6758>が5日の朝5時からバーチャル形式による新型ゲーム機「PS5」(プレイステーション5)の新作ゲームを初公開するイベントを開催することから、ゲーム関連株に動意が広がる期待もある。
■米雇用統計、中国貿易収支、ECB理事会
今週の主な国内スケジュールは、1日に1-3月期法人企業統計、5月自動車販売台数、2日に5月マネタリーベース、5日に4月家計調査、4月景気動向指数の発表が予定されている。一方、海外では、1日に米5月ISM製造業景況指数、3日にユーロ圏4月失業率、米5月ADP雇用統計、米5月ISM非製造業景況指数、4日に米4月貿易収支、ECB(欧州中央銀行)定例理事会、ラガルドECB総裁会見、5日に米5月雇用統計、7日に中国5月貿易収支が予定されている。
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前週の日経平均は大幅続伸し、22000円台に迫る場面もあった。月間では2カ月連続の上昇となった。週明け25日の日経平均は3営業日ぶりの反発で始まった。22日のNYダウは、香港を巡る米中対立の先鋭化が懸念されて小幅続落したものの、国内では緊急事態宣言がこの日に全面解除される見通しとなったほか、第2次補正予算への期待が先行して一段高でスタートして大引けは高値引けとなった。26日の日経平均も大幅続伸して、朝方にはおよそ2カ月半ぶりに21000円台を回復した。25日の米国市場は祝日で休場だったものの、独企業の景況感改善を受けて欧州株が大きく上昇した流れなどを好感したことから、先物に断続的な買い戻しが入り日経平均の上昇を支えた。3連休明けのNYダウは、全米での経済活動再開の広がりと新型ウイルスワクチンの開発動向が伝えられ、529.95ドル高と3営業日ぶりに急反発した。27日の日経平均は連騰による利益確定売りが先行して始まったものの、後場にNYダウ先物の時間外取引での上昇を受けて大引けにかけて上昇に転じた。引き続き景気回復への楽観的な見方が広がって、27日のNYダウは続伸し、大引けで3月10日以来となる25000ドル台を回復。この流れを好感して28日の日経平均も4日続伸し、一時507.06円高の21926.29円まで上昇し、大引けもほぼ高値圏で引けた。銀行や輸送用機器、鉄鋼といったこれまでの上昇局面で出遅れていたバリュー株が大きく買われる展開となり、東証1部の出来高は20億8000万株超に膨らんだ。トランプ米大統領が中国に関する会見を29日に開催と発表したことで、米中関係の悪化懸念が再燃して28日のNYダウは3日ぶりに反落。29日の日経平均も前日までの4連騰で1500円超の上昇を見せていたことから利益確定売りが先行し5日ぶりに反落した。継続していたバリュー株の買い戻しが一服し、時間外の米株価指数先物安も重石となった。ただ、大引け間際に一時プラス圏に浮上する底堅さもみせた。29日の米主要3指数は高安まちまち。注目されていたトランプ米大統領の会見では、警戒されていた中国高官対象の制裁や旅券発行制限に関する言及がなく、また、米中第1段階貿易協定は続行する見通しとなり、安心感からNYダウは引けにかけては下げ幅を縮小している。
■日経平均はもみ合い展開か
今週の日経平均は、スピード調整の後にもみあいに転じる可能性が大きい。経済活動正常化を期待した動きが先行して、日米欧ともに前週の株式市場は買い戻しが先行し、物色的には、グロースからバリューへと循環しながら、商いを伴った株高が展開された。東京市場でも需給に変化が表れている。東証が28日に発表した5月18日から22日の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物取引ベースで6週ぶりに買い越しとなったほか、現物と先物の合算でも15週ぶりに買い越しに転じている。この傾向は、5月25日から29日の週も継続していることが予想でき、最大の売り手だった海外投資家の買い戻し姿勢が鮮明になったことが、ここまでの日経平均の上昇に寄与したことは確かだ。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の第2波への警戒感はぬぐえず、香港をめぐる米中間の緊張が相場の懸念材料として意識されている。中国天安門事件から31年目となる4日は、香港立法会(議会)が国歌条例案の採決を予定、香港の集会制限措置期限でもあり警戒感が強まる可能性がある。また、5月28日までの日経平均4連騰で25日移動平均線からの上方乖離率は28日には7%を超えるなど、テクニカル的に高値警戒感を示す指標も増加している。6月12日のメジャーSQ(特別清算指数)を控えて先物動向に影響されやすい地合いのなか警戒要因が増えていることから、日経平均は次の展開待ちのもみあいとなりそうだ。なお、相場への影響が大きい米5月雇用統計の発表は5日の東京市場大引け後の夜であり、その影響は翌週となる。9日にはFOMC(米連邦公開市場委員会、10日まで)が予定され、この2大イベントを控えて週後半には手控えムードが強まりやすい。
■小売り各社の5月売上高とソニーイベントに注目
物色的にバリュー株の水準訂正が継続するかどうかは一つの焦点だろう。また、2日の大引け後にはファーストリテ<9983>の5月国内ユニクロ売上高の発表があるほか、小売り各社の5月売上高発表が相次ぐことも注目点だ。一方、29日は日経平均が上げ一服となるなか、日経ジャスダック平均は11連騰、マザーズ指数は反発した。先物の指数売買に影響を受けにくい新興市場の個別株物色に再び投資資金が向く流れが意識されよう。このほか、ソニー<6758>が5日の朝5時からバーチャル形式による新型ゲーム機「PS5」(プレイステーション5)の新作ゲームを初公開するイベントを開催することから、ゲーム関連株に動意が広がる期待もある。
■米雇用統計、中国貿易収支、ECB理事会
今週の主な国内スケジュールは、1日に1-3月期法人企業統計、5月自動車販売台数、2日に5月マネタリーベース、5日に4月家計調査、4月景気動向指数の発表が予定されている。一方、海外では、1日に米5月ISM製造業景況指数、3日にユーロ圏4月失業率、米5月ADP雇用統計、米5月ISM非製造業景況指数、4日に米4月貿易収支、ECB(欧州中央銀行)定例理事会、ラガルドECB総裁会見、5日に米5月雇用統計、7日に中国5月貿易収支が予定されている。
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