国内株式市場見通し:日経平均は戻りを試す展開へ
[20/08/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■首相辞任の報道受けて日経平均は波乱
今週の日経平均は一時23000円台を回復したものの、28日後場に伝えられた安倍首相の辞任報道を受けて週間ベースでは小幅続落となった。21日のナスダック総合指数とS&P500指数が最高値更新となった一方、週明け24日の日経平均は、安倍首相の健康不安などが警戒されて小幅安で始まった。その後はもみあいを経て、香港株の上昇などを手掛かりに続伸で大引けた。ただ、全般は見送りムードが強く、東証1部の出来高は昨年12月30日の大納会以来の8億株割れをみた。新型コロナウイルスの治療法やワクチン開発に期待が高まり、24日のNYダウが上昇したことを好感し、25日の日経平均も前日比311.26円高と3日続伸し、大引けで23000円台を4営業日ぶりに回復。後場の寄り付き直後には、前日比445.53円高の23431.04円まで上昇する場面もあり、コロナショック前の2月21日終値23386.74円を一時上回った。25日の米国市場ではNYダウが4日ぶりに反落した一方、ナスダックは連日で過去最高値を更新。26日の東京市場は、前日の急伸を受けて利益確定売りが先行し日経平均は反落で始まったが、米ハイテク株高や為替の円安が支えとなり下値は限られ、大引けの日経平均は小幅安にとどまった。全米でウイルス感染件数が安定していることに加えワクチン開発で前進した報道が好感され、26日のNYダウは反発、ナスダックも5日続伸で連日の最高値更新となった。一方、27日の日経平均は小幅上昇で寄り付いた後は売りが優勢となり続落。日本時間27日夜のパウエルFRB (米連邦準備理事会)議長の講演を控えて積極的な買いが見送られる中、時間外取引のNYダウ指数先物の軟調展開や中国による南シナ海への弾道ミサイル発射報道などが嫌気された。注目されたパウエルFRB議長の講演では、インフレ目標変更により物価2%超も容認する新指針が発表された。長期にわたる低金利維持の思惑が強まったほか、ウイルス検査の拡大期待も加わって27日のNYダウは続伸した。この流れを受けて28日の東京市場はメガバンク、自動車株を中心に買いが先行し、日経平均は3日ぶりに反発スタート。しかし、14時過ぎに安倍首相の辞任意向が伝わったことで、日経平均は一時614.07円安と急落し、大引けでは326.21円安の22882.65円と波乱の展開となった。
■29000ドル台睨むNYダウが焦点
来週の日経平均は、23000円ラインを挟んでの往来相場が予想される。辞任発表の安倍首相は、後任が決まるまで執務にあたるとされており、東京市場で大きな波乱は回避されそうだ。今後の関心は「ポスト安倍」に移るが、日経平均は米国市場次第で28日急落分の戻りを試す展開も予想される。27日のパウエルFRB議長の講演で、長期にわたる低金利維持の思惑が高まったことはNYダウの下支え要因として働くことが期待されている。ハイテク株の利益確定売りを交えながらも上昇するNYダウは、終値ベースで2月20日以来となる29000ドル台を視界にとらえており、大台替えとなると東京市場にとっても心理的な追い風として働くことになる。また、来週は1日に米8月ISM製造業景況指数、2日に8月ADP雇用統計と、米国の主要経済指標の発表が相次ぎ、米国市場の動向に東京市場も左右されやすい。4日の日本時間21時30分には米8月雇用統計の発表が予定され、週明け7日はレーバーデー(労働者の日)でNY市場は休場となる。この米国雇用統計とNY市場3連休を控えた東京市場は、週末にかけて手控えムードが広がる可能性もある。一方、相場を取り巻く全般を見渡すと、新型コロナウイルス感染動向、国内政局動向、米中対立といった懸念材料が上値を抑えるものの、大きく売り込む材料が見当たらないのも事実だ。安倍首相の辞任意向で海外投資家の今後のスタンスは気になるものの、不透明材料のひとつに結論が出たことは確かだ。米国株と為替動向次第で、日経平均は上値を伺う場面もあるだろう。
■日経平均構成銘柄の定期入れ替えなどに注目
物色的には「日経平均構成銘柄の定期入れ替えの発表見込み」「消費関連の月次情報開示」「キオクシアの上場予定」が注目される。まず、日経平均構成銘柄の定期入れ替えは年1回、10月第1営業日から実施(算出)されることに伴い、具体的な銘柄は9月6日前後に発表されることが多い。昨年は4日に発表されている。過去に新規採用候補となったカカクコム<2371>、すかいらーくホールディングス<3197>や、任天堂<7974>、村田製作所<6981>といった銘柄の動向に関心が向くことになるだろう。また、新規採用銘柄の関連株や周辺株への人気波及も期待される。消費関連の月次情報開示については、ファーストリテイリング<9983>が2日に8月国内ユニクロ売上推移速報を発表する。例年より長い梅雨明け後の猛暑が、消費関連にどのような影響を与えたかが注目される。そして、27日の大引け後に発表された半導体大手のキオクシア<6600>のIPO(新規上場)は10月6日となった。株式売り出しに参加する東芝<6502>のほか、半導体関連銘柄の刺激材料として働く可能性がある。
■8月国内ユニクロ売上推移速報など
来週の主な国内スケジュールは、31日に7月商業動態統計、7月鉱工業生産、8月の消費動向調査、9月1日に7月失業率・有効求人倍率、4-6月期法人企業統計、8月自動車販売台数、2日に8月マネタリーベース、8月国内ユニクロ売上推移速報がそれぞれ発表の予定だ。
<FA>
今週の日経平均は一時23000円台を回復したものの、28日後場に伝えられた安倍首相の辞任報道を受けて週間ベースでは小幅続落となった。21日のナスダック総合指数とS&P500指数が最高値更新となった一方、週明け24日の日経平均は、安倍首相の健康不安などが警戒されて小幅安で始まった。その後はもみあいを経て、香港株の上昇などを手掛かりに続伸で大引けた。ただ、全般は見送りムードが強く、東証1部の出来高は昨年12月30日の大納会以来の8億株割れをみた。新型コロナウイルスの治療法やワクチン開発に期待が高まり、24日のNYダウが上昇したことを好感し、25日の日経平均も前日比311.26円高と3日続伸し、大引けで23000円台を4営業日ぶりに回復。後場の寄り付き直後には、前日比445.53円高の23431.04円まで上昇する場面もあり、コロナショック前の2月21日終値23386.74円を一時上回った。25日の米国市場ではNYダウが4日ぶりに反落した一方、ナスダックは連日で過去最高値を更新。26日の東京市場は、前日の急伸を受けて利益確定売りが先行し日経平均は反落で始まったが、米ハイテク株高や為替の円安が支えとなり下値は限られ、大引けの日経平均は小幅安にとどまった。全米でウイルス感染件数が安定していることに加えワクチン開発で前進した報道が好感され、26日のNYダウは反発、ナスダックも5日続伸で連日の最高値更新となった。一方、27日の日経平均は小幅上昇で寄り付いた後は売りが優勢となり続落。日本時間27日夜のパウエルFRB (米連邦準備理事会)議長の講演を控えて積極的な買いが見送られる中、時間外取引のNYダウ指数先物の軟調展開や中国による南シナ海への弾道ミサイル発射報道などが嫌気された。注目されたパウエルFRB議長の講演では、インフレ目標変更により物価2%超も容認する新指針が発表された。長期にわたる低金利維持の思惑が強まったほか、ウイルス検査の拡大期待も加わって27日のNYダウは続伸した。この流れを受けて28日の東京市場はメガバンク、自動車株を中心に買いが先行し、日経平均は3日ぶりに反発スタート。しかし、14時過ぎに安倍首相の辞任意向が伝わったことで、日経平均は一時614.07円安と急落し、大引けでは326.21円安の22882.65円と波乱の展開となった。
■29000ドル台睨むNYダウが焦点
来週の日経平均は、23000円ラインを挟んでの往来相場が予想される。辞任発表の安倍首相は、後任が決まるまで執務にあたるとされており、東京市場で大きな波乱は回避されそうだ。今後の関心は「ポスト安倍」に移るが、日経平均は米国市場次第で28日急落分の戻りを試す展開も予想される。27日のパウエルFRB議長の講演で、長期にわたる低金利維持の思惑が高まったことはNYダウの下支え要因として働くことが期待されている。ハイテク株の利益確定売りを交えながらも上昇するNYダウは、終値ベースで2月20日以来となる29000ドル台を視界にとらえており、大台替えとなると東京市場にとっても心理的な追い風として働くことになる。また、来週は1日に米8月ISM製造業景況指数、2日に8月ADP雇用統計と、米国の主要経済指標の発表が相次ぎ、米国市場の動向に東京市場も左右されやすい。4日の日本時間21時30分には米8月雇用統計の発表が予定され、週明け7日はレーバーデー(労働者の日)でNY市場は休場となる。この米国雇用統計とNY市場3連休を控えた東京市場は、週末にかけて手控えムードが広がる可能性もある。一方、相場を取り巻く全般を見渡すと、新型コロナウイルス感染動向、国内政局動向、米中対立といった懸念材料が上値を抑えるものの、大きく売り込む材料が見当たらないのも事実だ。安倍首相の辞任意向で海外投資家の今後のスタンスは気になるものの、不透明材料のひとつに結論が出たことは確かだ。米国株と為替動向次第で、日経平均は上値を伺う場面もあるだろう。
■日経平均構成銘柄の定期入れ替えなどに注目
物色的には「日経平均構成銘柄の定期入れ替えの発表見込み」「消費関連の月次情報開示」「キオクシアの上場予定」が注目される。まず、日経平均構成銘柄の定期入れ替えは年1回、10月第1営業日から実施(算出)されることに伴い、具体的な銘柄は9月6日前後に発表されることが多い。昨年は4日に発表されている。過去に新規採用候補となったカカクコム<2371>、すかいらーくホールディングス<3197>や、任天堂<7974>、村田製作所<6981>といった銘柄の動向に関心が向くことになるだろう。また、新規採用銘柄の関連株や周辺株への人気波及も期待される。消費関連の月次情報開示については、ファーストリテイリング<9983>が2日に8月国内ユニクロ売上推移速報を発表する。例年より長い梅雨明け後の猛暑が、消費関連にどのような影響を与えたかが注目される。そして、27日の大引け後に発表された半導体大手のキオクシア<6600>のIPO(新規上場)は10月6日となった。株式売り出しに参加する東芝<6502>のほか、半導体関連銘柄の刺激材料として働く可能性がある。
■8月国内ユニクロ売上推移速報など
来週の主な国内スケジュールは、31日に7月商業動態統計、7月鉱工業生産、8月の消費動向調査、9月1日に7月失業率・有効求人倍率、4-6月期法人企業統計、8月自動車販売台数、2日に8月マネタリーベース、8月国内ユニクロ売上推移速報がそれぞれ発表の予定だ。
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