ソフトクリエイトHD<3371>中期的成長のメイン・エンジンはECソリューション事業
[14/05/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』5月12日放送において、ソフトクリエイトHD<3371>を取り上げている。主な内容は以下の通り。
■企業概要
企業のeコマースを支援するECソリューション事業を中核に、システムインテグレーション(SI)やビジネスアプリケーションソフトの開発など幅広く展開している。主力のECソリューション事業では、大手有名ブランド企業を主要顧客とし、800社以上の実績を誇る。業界シェアも過去5年連続でトップを堅持している。
■事業概要
同社の事業部門は、ECソリューション事業、システムインテグレーション(SI)事業、物品販売事業の3つから成り立っている。2013年3月期の各事業別の売上高比率は、ECソリューション事業が約45%、システムインテグレーション事業が約22%、物品販売事業が約33%となっている。
■ECソリューション事業
ECソリューション事業は、企業のeコマースを支援することで収益を得る事業で、子会社のecbeing(イーシービーイング)が手掛けている。同子会社は社名と同じ「ecbeing」の名称で、ECサイト構築とその保守・サポート、マーケティング支援などをトータルパッケージで提供している。
同社のECソリューション事業と同様のサービスを提供する企業は多く、顧客となる企業も、中小企業から大企業まで極めて幅が広い。そうしたなかで、同社ではターゲットとする顧客層について明確な条件を設けている。1つは、商品・サービスにブランド力があり、既にリアルの事業が確立できている企業であること。もう1つは、eコマースでの年商規模が1億円から100億円の範囲にある企業であることが特徴。
■ECソリューション事業の業績トレンド
ECソリューション事業は2013年3月期実績で売上高の45.1%、経常利益の45.6%を占めており、同社の収益源となっている。時系列で見ると、eコマース市場の拡大に合わせて売上高は着実に右肩上がりで推移している。セグメント利益率は2013年3月期実績で21.8%と研究開発費を投じたことによって下落しているが、2014年3月期以降はコスト減となり、利幅の大きいストックビジネスの売上高(月次の保守・サポート売上高など契約が継続することで計上される性質の売上高)の比率が上昇してくれば、同様に拡大基調に転じると期待される。保守サポートにかかる収入の採算性が高いのは、業種を問わず広く一般的な構図であり、同社においても例外ではない。
■システムインテグレーション事業
システムインテグレーション(SI)事業の内容は、顧客の業務に合わせた情報システムの構築・運用・保守の一貫提供である。このうち、現在の主たる収益源は、自社開発ソフトの販売とネットワーク構築事業である。
自社開発ソフトの中心は、子会社のエイトレッドが手掛けるワークフローソフトウエアである。従業員300人以下の企業向けの「X-point(エクスポイント)」と、それ以上の規模の企業向けの「AgileWorks(アジャイルワークス)」である。これらワークフローソフトの市場は、参入商品数で80前後あって競争が激しい。そのなかで「X-point」はシェア30〜35%を占めている。「X-point」が高シェアな理由は製品の性能の高さにあり、有力SI事業者がビジネスアプリケーションソフトのラインナップに「X-point」を揃え、販売代理店として活躍している要素も大きい。
■システムインテグレーション事業の業績トレンド
SI事業の売上高は横ばいで推移しているが、採算性は改善基調にある。セグメント利益率は、2010年3月期の34.0%から2013年3月期には42.2%にまで上昇してきた。この背景には、前述のように自社開発ソフトの販売好調に加えて、低採算だった受託開発からの撤退などの合理化努力がある。
今後は「X-point」などのパッケージソフト販売にけん引されて緩やかな成長が期待できよう。一方で、大型のSI案件の受注は、受託開発から撤退しているため期待しにくい。利益面では自社パッケージソフトの採算性が高いため、利益成長率が売上高成長率を上回ってくることは十分期待できる。
■物品販売事業
物品販売事業は、パソコンやサーバー、その周辺機器などの仕入れ販売である。これは、システムインテグレーション(SI)事業でネットワーク構築を受注した際に発生する機器の選定・導入に付随する事業が中心だ。累計顧客数の増加に伴い、ハードウエア/ソフトウエアの更新や周辺機器の販売などの需要が寄せられるため、この事業も中期的には緩やかな伸びを示すと期待される。
■2015年3月期の業績見通し
9日に決算発表し、売上高は前期比4.3%減の115億円、営業利益は同2.2%減の15億円、最終利益は同4.8%増の8億円が計画されている。
中核のECソリューション事業は、eコマース市場の拡大やインターネット広告市場の拡大といったマクロ要因の追い風を受けて、順調に収益が拡大すると期待できよう。同社の顧客層は、既にリアルでブランドやビジネスを確立した中堅以上の規模の企業であるため、例えば消費税増税分の転嫁ができずに利益が圧迫されるといった事態は起こりにくいと考えられる。企業への設備投資減税に後押しされたIT投資底上げの期待も。
■中期成長戦略
3事業の成長性と収益性を比較すると、ECソリューション事業は過去3年間の年平均売上高成長率が17.3%と最も高く、セグメント利益率(2013年3月期)も21.8%と高い。同社の中期的成長のメイン・エンジンはECソリューション事業となる。
■ECソリューション事業の具体的な成長戦略
ECソリューション事業において顧客から求められるサービスは、ECサイトの構築とその保守・サポートといった従来の枠組みを超えて、顧客の収入拡大のためのマーケティング支援へと質的な変化を見せている。同社経営陣は、こうした顧客ニーズの変化に受け身で対応するのではなく、積極的な経営方針の変更という形で対応する構えだ。ECソリューション事業における新規顧客獲得のペースは年間70〜80社だが、同社はこのペースを加速させるのではなく、ペースを維持する一方で既存顧客を深堀することにより成長を実現していく方針を示している。
■株主還元策について
同社は業績面の変動に関係なく、減配は一度も経験していない。配当性向については、公約はしていないものの、30%をひとつの目安として考えているようだ。2014年3月期は年間で17円の配当を予定している。これは前期の配当額15円(株式分割を考慮した調整額)に比べると、2円の増配となる。なお、予想1株当たり純利益に基づく配当性向は32.5%となる。
また、同社は個人株主を重視しており、配当に加えて株主優待策を実行している点からも読み取れる。具体的には、保有株数に応じて、最少で年間1,000円、最大6,000円のオリジナルQUOカードを贈っている。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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■企業概要
企業のeコマースを支援するECソリューション事業を中核に、システムインテグレーション(SI)やビジネスアプリケーションソフトの開発など幅広く展開している。主力のECソリューション事業では、大手有名ブランド企業を主要顧客とし、800社以上の実績を誇る。業界シェアも過去5年連続でトップを堅持している。
■事業概要
同社の事業部門は、ECソリューション事業、システムインテグレーション(SI)事業、物品販売事業の3つから成り立っている。2013年3月期の各事業別の売上高比率は、ECソリューション事業が約45%、システムインテグレーション事業が約22%、物品販売事業が約33%となっている。
■ECソリューション事業
ECソリューション事業は、企業のeコマースを支援することで収益を得る事業で、子会社のecbeing(イーシービーイング)が手掛けている。同子会社は社名と同じ「ecbeing」の名称で、ECサイト構築とその保守・サポート、マーケティング支援などをトータルパッケージで提供している。
同社のECソリューション事業と同様のサービスを提供する企業は多く、顧客となる企業も、中小企業から大企業まで極めて幅が広い。そうしたなかで、同社ではターゲットとする顧客層について明確な条件を設けている。1つは、商品・サービスにブランド力があり、既にリアルの事業が確立できている企業であること。もう1つは、eコマースでの年商規模が1億円から100億円の範囲にある企業であることが特徴。
■ECソリューション事業の業績トレンド
ECソリューション事業は2013年3月期実績で売上高の45.1%、経常利益の45.6%を占めており、同社の収益源となっている。時系列で見ると、eコマース市場の拡大に合わせて売上高は着実に右肩上がりで推移している。セグメント利益率は2013年3月期実績で21.8%と研究開発費を投じたことによって下落しているが、2014年3月期以降はコスト減となり、利幅の大きいストックビジネスの売上高(月次の保守・サポート売上高など契約が継続することで計上される性質の売上高)の比率が上昇してくれば、同様に拡大基調に転じると期待される。保守サポートにかかる収入の採算性が高いのは、業種を問わず広く一般的な構図であり、同社においても例外ではない。
■システムインテグレーション事業
システムインテグレーション(SI)事業の内容は、顧客の業務に合わせた情報システムの構築・運用・保守の一貫提供である。このうち、現在の主たる収益源は、自社開発ソフトの販売とネットワーク構築事業である。
自社開発ソフトの中心は、子会社のエイトレッドが手掛けるワークフローソフトウエアである。従業員300人以下の企業向けの「X-point(エクスポイント)」と、それ以上の規模の企業向けの「AgileWorks(アジャイルワークス)」である。これらワークフローソフトの市場は、参入商品数で80前後あって競争が激しい。そのなかで「X-point」はシェア30〜35%を占めている。「X-point」が高シェアな理由は製品の性能の高さにあり、有力SI事業者がビジネスアプリケーションソフトのラインナップに「X-point」を揃え、販売代理店として活躍している要素も大きい。
■システムインテグレーション事業の業績トレンド
SI事業の売上高は横ばいで推移しているが、採算性は改善基調にある。セグメント利益率は、2010年3月期の34.0%から2013年3月期には42.2%にまで上昇してきた。この背景には、前述のように自社開発ソフトの販売好調に加えて、低採算だった受託開発からの撤退などの合理化努力がある。
今後は「X-point」などのパッケージソフト販売にけん引されて緩やかな成長が期待できよう。一方で、大型のSI案件の受注は、受託開発から撤退しているため期待しにくい。利益面では自社パッケージソフトの採算性が高いため、利益成長率が売上高成長率を上回ってくることは十分期待できる。
■物品販売事業
物品販売事業は、パソコンやサーバー、その周辺機器などの仕入れ販売である。これは、システムインテグレーション(SI)事業でネットワーク構築を受注した際に発生する機器の選定・導入に付随する事業が中心だ。累計顧客数の増加に伴い、ハードウエア/ソフトウエアの更新や周辺機器の販売などの需要が寄せられるため、この事業も中期的には緩やかな伸びを示すと期待される。
■2015年3月期の業績見通し
9日に決算発表し、売上高は前期比4.3%減の115億円、営業利益は同2.2%減の15億円、最終利益は同4.8%増の8億円が計画されている。
中核のECソリューション事業は、eコマース市場の拡大やインターネット広告市場の拡大といったマクロ要因の追い風を受けて、順調に収益が拡大すると期待できよう。同社の顧客層は、既にリアルでブランドやビジネスを確立した中堅以上の規模の企業であるため、例えば消費税増税分の転嫁ができずに利益が圧迫されるといった事態は起こりにくいと考えられる。企業への設備投資減税に後押しされたIT投資底上げの期待も。
■中期成長戦略
3事業の成長性と収益性を比較すると、ECソリューション事業は過去3年間の年平均売上高成長率が17.3%と最も高く、セグメント利益率(2013年3月期)も21.8%と高い。同社の中期的成長のメイン・エンジンはECソリューション事業となる。
■ECソリューション事業の具体的な成長戦略
ECソリューション事業において顧客から求められるサービスは、ECサイトの構築とその保守・サポートといった従来の枠組みを超えて、顧客の収入拡大のためのマーケティング支援へと質的な変化を見せている。同社経営陣は、こうした顧客ニーズの変化に受け身で対応するのではなく、積極的な経営方針の変更という形で対応する構えだ。ECソリューション事業における新規顧客獲得のペースは年間70〜80社だが、同社はこのペースを加速させるのではなく、ペースを維持する一方で既存顧客を深堀することにより成長を実現していく方針を示している。
■株主還元策について
同社は業績面の変動に関係なく、減配は一度も経験していない。配当性向については、公約はしていないものの、30%をひとつの目安として考えているようだ。2014年3月期は年間で17円の配当を予定している。これは前期の配当額15円(株式分割を考慮した調整額)に比べると、2円の増配となる。なお、予想1株当たり純利益に基づく配当性向は32.5%となる。
また、同社は個人株主を重視しており、配当に加えて株主優待策を実行している点からも読み取れる。具体的には、保有株数に応じて、最少で年間1,000円、最大6,000円のオリジナルQUOカードを贈っている。
ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送
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