ルネサスイーストン Research Memo(10):海外ビジネス・新規ビジネス・特約店ビジネスの拡大を推進
[14/06/25]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■中長期戦略
(2)現中計およびその後に向けた具体的施策
ルネサスイーストン<9995>は「Project E」を確実に実現し、かつ、その後の将来の成長へとつなげていくべく、いくつかの具体的なアクション計画を設定している。
・海外ビジネス売上高20,000百万円実現へ
同社は2015年3月期に海外拠点の売上高20,000百万円の達成を目標としている。これは従来計画比で1年前倒しされた。計画達成時期が1年前倒しとなった背景は、同社自身の経営努力、営業努力もあるが、顧客企業の海外生産が加速しているという事情によるところも大きいと弊社ではみている。
2015年3月期中の動きとしては、シンガポール現地法人に大型案件を移管することで、同現法において前期比2,000百万円の増収となる見通しであることが挙げられる。具体的な製品としてはユニマイクロン社のプリント配線板や日立製作所製のASIC(特定用途向け半導体)がある。また、アメリカと中国・上海子会社は、旺盛な自動車関連需要の恩恵を受けて売上高を伸ばすと期待されている。こうした要因で、2015年3月期は20,100百万円、2016年3月期は20,700百万円の海外売上高が予想されている。
・新規ビジネス売上高20,000百万円実現へ
同社が新規ビジネスと位置づけるのは、ルネサス エレクトロニクスと日立製作所以外の製品取扱いのことだ。2大仕入先企業とのビジネス自体は今後も維持・発展させつつも、両社の構成比を低下させていくというのが同社の中長期の目指す方向性であり、そのためには新規取引先企業の製品の取扱量を増やす必要がある。
同社は現在、海外企業を中心に新規の取扱商品の導入を進めている。代表的なところでは、プリント配線版を手掛ける台湾のユニマイクロン社、光通信ネットワーク用の部品を手掛ける米国のInphi社、中小型液晶パネルを手掛ける台湾のGiantplus社などがある。
上記のような新規取引企業の売上貢献と、従来からのミツミ電機<6767>の車載・ゲーム向けIC製品や、FCI社のモバイル向けIC製品などの売上拡大によって、ルネサス エレクトロニクス及び日立グループ以外からの取扱い製品売上高を、2015年3月期に14,600百万円、2016年3月期に20,000百万円に、それぞれ拡大させると計画している。
・特約店ビジネスの売上高を20,000百万円へ
同社は、ルネサス エレクトロニクスの直下にある一次代理店のうちの1社だ。同様の1次代理店は16社あるが、同社はそれらの中でもトップクラスの取扱高を誇っている。その同社は販売会社14社と特約店契約を締結し、それら14社がいわば二次代理店としてルネサス エレクトロニクスの製品を顧客に販売している。この特約店14社経由の売上高のことを同社では「特約店ビジネス」と呼び、この部分の売上高拡大を推進している。
顧客との間に特約店を挟むことは、特約店のマージンの分だけ同社のマージンが縮小することを意味する。それにもかかわらず同社が特約店ビジネスの拡大を志向する理由は、特約店の有するヒューマンリソース(人的資源)の活用にある。特約店14社で200名を超える営業員を擁しており、自前主義にこだわって顧客サービスを落とすよりも、特約店の200名との協業で顧客満足度を高めた方が、中長期的なビジネスの拡大には有利との判断と思われる。財務分析で後述するように、マージン(利益率)の低さは同社の最大の問題点ではあるが、特約店を活用しての事業拡大戦略には説得力があると弊社では評価している。
同社は2014年3月期に16,900百万円だった特約店ビジネス売上高を、2015年3月期に17,000百万円、2016年3月期に20,000百万円へと拡大させていく計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<FA>