明豊ファシリティワークス Research Memo(9):法改正など追い風に今後もCM事業が収益をけん引へ
[14/07/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
明豊ファシリティワークス<1717>の2015年3月期の業績見通しは、売上高が前期比1.9%増の8,400百万円、営業利益が同8.8%減の570百万円、経常利益が同3.8%増の400百万円、当期純利益が同15.3%増の257百万円と、経常利益ベースでは6期ぶりに最高益を更新する見通しだ。
業績を見るうえで、ここ4年ほど大きな売上比率を占めている大阪府立大学の学舎整備・教育環境整備プロジェクト(アットリスクCM方式)に留意する必要がある。同プロジェクトは10年間の分割支払い案件となるが、資金回収期間が長期にわたることから、金融機関に売上債権を売却して早期に資金回収を行うスキームとなっている。このため、損益計算書上では、営業外費用として売上債権売却損(約170百万円)を計上する一方で、同額分を売上高、営業利益に加算する格好となっている。同プロジェクトの影響を除くと、売上高、営業利益ともに順調に拡大している。
事業別では、CM事業が収益をけん引する格好となりそうだ。大企業や教育・医療機関などからの受注が旺盛なことに加えて、今期は地方公共団体からの受注拡大が期待される。というのも、2014年5月に公共工事品質確保促進法が改正(同年6月施行)され、公共工事の発注者側が入札予定価格や工期などにおいて、発注前に適切な査定を行う義務が生じるようになったためだ。
この法律改正の背景には、建設業界における人材不足によって、公共工事の入札不調率が上昇していることがある。適切な入札予定価格(受注者側が利益を確保できる)を査定するために、すべての工程・コストに精通する同社のようなプロのCM事業者が、今まで以上に求められる市場環境になったと言える。
実際、同社は2014年5月に千葉県市原市の防災庁舎建設におけるCM業務を受注しており、既にこうした動きが出始めている。同入札においては、同社と競合1社が応札したが、すべての項目において同社の提案が高く評価された。なお、同プロジェクトでは基本設計段階からのコスト及びスケジュールマネジメントに加えて、庁舎付帯設備、機器、家具・什器等の調達、並びにプロジェクト・マネジメントまで、ワンストップサービスで提供する。
設備機器や什器等の調達はオープンブック方式で行い、発注者側が独自で調達するよりも、コスト削減が可能となる。このため最近では、同社の強みを生かしたワンストップサービスで受注するケースが増える傾向にある。なお、機器の調達に関しては「アットリスク方式」で契約し、その他の部分に関しては「ピュア方式」で契約する格好となる。
そのほか、今期は事業提携先である英Sweett Groupより紹介を受けた英アミューズメント企業の日本における新規プロジェクト・マネジメント業務の収益寄与も見込まれる。また、オフィス事業やCREM事業においても、同社のCM手法を活用したコスト削減実績が評価され、既存顧客からのリピート受注や新規顧客からの受注が増加する見通しだ。
特にCREM事業に関しては、地方公共団体からの需要拡大が期待される。各地方公共団体は多岐にわたる建物や設備などを保有しているが、そのなかにはほとんど使われなくなった建物などもあり、こうした遊休資産の今後の取り扱いについての相談が同社に寄せられている。また、医療機関においても、大手医療法人7〜8社から受注を獲得済みで、今後もさらに顧客数が拡大する見通しとなっている。
いずれも同社のCM手法を用いた保有不動産の最適化サポートサービスが評価されたもので、今後も同事業は安定した成長が見込まれる。将来的には、ストック型ビジネスモデルに近いCREM事業の事業構成比率を全体の3割程度まで引き上げ、収益の安定性を高めていく戦略を同社では持っている。
費用面に関しては、事業拡大に向けた人員増強を進めるため、人件費や採用費の増加を見込んでいる。販管費では、前期比100〜200百万円程度の増加となる見通しだ。それでも、今期の業績は保守的な印象が強く、計画に織り込んでいない新規受注案件が増える可能性もあり、会社計画を上回る可能性が高いと弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)
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業績を見るうえで、ここ4年ほど大きな売上比率を占めている大阪府立大学の学舎整備・教育環境整備プロジェクト(アットリスクCM方式)に留意する必要がある。同プロジェクトは10年間の分割支払い案件となるが、資金回収期間が長期にわたることから、金融機関に売上債権を売却して早期に資金回収を行うスキームとなっている。このため、損益計算書上では、営業外費用として売上債権売却損(約170百万円)を計上する一方で、同額分を売上高、営業利益に加算する格好となっている。同プロジェクトの影響を除くと、売上高、営業利益ともに順調に拡大している。
事業別では、CM事業が収益をけん引する格好となりそうだ。大企業や教育・医療機関などからの受注が旺盛なことに加えて、今期は地方公共団体からの受注拡大が期待される。というのも、2014年5月に公共工事品質確保促進法が改正(同年6月施行)され、公共工事の発注者側が入札予定価格や工期などにおいて、発注前に適切な査定を行う義務が生じるようになったためだ。
この法律改正の背景には、建設業界における人材不足によって、公共工事の入札不調率が上昇していることがある。適切な入札予定価格(受注者側が利益を確保できる)を査定するために、すべての工程・コストに精通する同社のようなプロのCM事業者が、今まで以上に求められる市場環境になったと言える。
実際、同社は2014年5月に千葉県市原市の防災庁舎建設におけるCM業務を受注しており、既にこうした動きが出始めている。同入札においては、同社と競合1社が応札したが、すべての項目において同社の提案が高く評価された。なお、同プロジェクトでは基本設計段階からのコスト及びスケジュールマネジメントに加えて、庁舎付帯設備、機器、家具・什器等の調達、並びにプロジェクト・マネジメントまで、ワンストップサービスで提供する。
設備機器や什器等の調達はオープンブック方式で行い、発注者側が独自で調達するよりも、コスト削減が可能となる。このため最近では、同社の強みを生かしたワンストップサービスで受注するケースが増える傾向にある。なお、機器の調達に関しては「アットリスク方式」で契約し、その他の部分に関しては「ピュア方式」で契約する格好となる。
そのほか、今期は事業提携先である英Sweett Groupより紹介を受けた英アミューズメント企業の日本における新規プロジェクト・マネジメント業務の収益寄与も見込まれる。また、オフィス事業やCREM事業においても、同社のCM手法を活用したコスト削減実績が評価され、既存顧客からのリピート受注や新規顧客からの受注が増加する見通しだ。
特にCREM事業に関しては、地方公共団体からの需要拡大が期待される。各地方公共団体は多岐にわたる建物や設備などを保有しているが、そのなかにはほとんど使われなくなった建物などもあり、こうした遊休資産の今後の取り扱いについての相談が同社に寄せられている。また、医療機関においても、大手医療法人7〜8社から受注を獲得済みで、今後もさらに顧客数が拡大する見通しとなっている。
いずれも同社のCM手法を用いた保有不動産の最適化サポートサービスが評価されたもので、今後も同事業は安定した成長が見込まれる。将来的には、ストック型ビジネスモデルに近いCREM事業の事業構成比率を全体の3割程度まで引き上げ、収益の安定性を高めていく戦略を同社では持っている。
費用面に関しては、事業拡大に向けた人員増強を進めるため、人件費や採用費の増加を見込んでいる。販管費では、前期比100〜200百万円程度の増加となる見通しだ。それでも、今期の業績は保守的な印象が強く、計画に織り込んでいない新規受注案件が増える可能性もあり、会社計画を上回る可能性が高いと弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)
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