ネットプライスドットコム Research Memo(10):バリューサイクル・クロスボーダー中核に流通総額320億円へ
[14/07/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略と株主還元策について
(1)成長戦略
ネットプライスドットコム<3328>は今後の成長戦略として、バリューサイクル部門とクロスボーダー部門を中核事業に据えることで、Eコマース事業に関しては2015年9月期以降、黒字化を定着させ、高成長路線を推進していく方針としている。
同社が経営指標として重視する流通総額に関しては、バリューサイクル部門とクロスボーダー部門で見ると、2013年9月期の約120億円から2015年9月期には320億円に拡大する見通し。同社はここ数年来、創業事業であるネットショッピング事業の低迷によって苦戦を強いられてきたが、中核事業がバリューサイクル、クロスボーダー部門に移行することで、再び成長企業へと変貌していくことが期待される。
○バリューサイクル部門
バリューサイクル部門の売上高としては、2015年9月期に今期見込み比6割増なる100億円を見込み、当面の売上高目標としては、リアル店舗事業で業界トップとなるコメ兵<2780>の350億円(ブランド・ファッション事業)の水準を目指していく考えだ。
事業拡大に当たっては買取能力の拡充がポイントとなるが、買い取りに当たっては前述したように企業提携を進めていくことで、プラットフォームを強化していく方針だ。また、実際の業務においては、東京流通センターにある2,400坪のスペースを拠点として、600人体制で運用しているが、一部工程においてはクラウドソーシングも活用しており、昨今の人手不足に対応している。ネットを活用した中古品の買取販売事業において、これだけの人員体制で運用している会社はほかになく、今後は実際の業務運営における受託サービスなども展開していく可能性がある。
事業の収益性に関しては、広告宣伝費用などをかけなければ15%前後の営業利益率になっているとみられるが、現段階では事業規模拡大のための先行投資段階と位置付けている。2015年9月期においても積極的にプロモーション活動に費用を投下していく方針のため、営業利益率では2〜3%程度となる見通しだが、事業規模の拡大とともに利益率も上昇していくことが予想される。
○クロスボーダー部門
転送コムが展開する海外転送・代理購入事業は、日本政府が推進するクールジャパン戦略、あるいは東京オリンピックの開催決定などを追い風に今後も高成長が続くものと予想される。日本の優れた製品やコンテンツの需要拡大が想定されるためだ。
現状は利用客の約9割が外国人で、国別では中国が約7割と最大の輸出先となっている。今後も物流サービス機能の向上(まとめ発送や、特急便などを導入)を進めるなど、サービスの利便性向上につながる取り組みを強化し、利用客の拡大をグローバルに推進していく方針だ。
2015年9月期の海外転送・代理購入事業は流通額ベースで前期比9割増の150億円、営業利益では200〜500百万円程度を目指していく。現在、業界トップを走っているが、競合も出始めており、同社としては企業提携を強化し、規模の拡大を図っていくことで、業界内での圧倒的No.1のポジションを確立していく戦略を立てている。
○インキュベーション事業
新興国や米国などにおける投資事業は来期以降、保有株式の売却を進め収益化を図っていくほか、売却で得た資金は財務基盤の拡充のほか、再投資に充当していく計画となっている。
一方、グループ内で子会社化して立ち上げた新規事業に関しては、苦戦が続いている状況にある。このため、同社では新規事業の立上げプロセスを従来から変更した。具体的には、まず社内プロジェクトとして新規事業を立ち上げ、マネタイズする仕組みを確立してから、子会社化していく方針に切り替えた。このプロセス変更によって、子会社してからの想定以上の損失発生リスクを抑えることが可能となる。
現在は、3つの新規プロジェクトが立ち上がっており、これらのプロジェクトで現状は月10百万円程度の損失が出ているが、マネタイズ化できる可能性も出てきているようで、今後、会社化していくことを検討している。同社では今後もインターネット技術を活用した新規事業の創出に積極的に取り組んでいく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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