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テラ Research Memo(8): 「バクセル(R)」の薬事承認取得が経営の最優先事項

注目トピックス 日本株

■成長戦略

(2)既存事業の拡大

テラ<2191>は既存事業に関しても引き続き拡大を目指していく。既存事業での注目ポイントは以下の4点が挙げられる。

●新規医療機関の開拓推進、細胞加工業の事業化
樹状細胞ワクチン療法の契約医療機関数を拡大し、治療を受けやすくすることで症例数の増加を目指していく。また、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律案」(2014年11月頃施行予定)の動向を見極めつつ、細胞加工業の事業化に関しても収益性を勘案しつつ検討を進めていく考えを示している。ただ、細胞加工受託ビジネスを事業化するためには、設備投資負担がかかることもあり、同社では「バクセル(R)」の承認取得を経営の最優先事項としている。

●認知拡大に向けたブランディングの推進
患者・医療従事者に向けたマーケティング活動を、セミナー開催やインターネット等のメディアを使いながら積極的に取り組み、「バクセル(R)」の認知度向上を進め、樹状細胞ワクチン療法の先駆者として業界での圧倒的なポジションを確立していく。

●新規がん抗原の実用化
現在、東京慈恵医科大におけるWT1クラスIIペプチドを用いた第I相臨床研究の解析結果が、米国癌学会(AACR)の学会誌に掲載されたほか、新規がん抗原(サーバイビン、MAGE-A4、GPC3、AFP、MAGE1等)の実用化に向けた準備を進めている。2014年6月時点でサーバイビンペプチドの特許が日本、オーストラリアで、MAGE-A4ペプチドの特許が日本・米国で成立している。いずれも、同社が専用実施権を保有しているがん抗原で、従来よりもさらに高いがん免疫効果が期待できる次世代がん抗原として注目されている。同社は2014年8月より、契約医療機関であるセレンクリニック東京と共同で、サーバイビンペプチド及びMAGE-A4ペプチドを用いた「バクセル(R)」の臨床試験を開始している。

●ZNK(R)細胞免疫療法の実用化
現在、長崎大学病院でZNK(R)細胞免疫療法の実用化に向けた第I相臨床試験を行っている。また、2014年7月には九州大学と共同出願していたNK細胞に関する2つの特許が成立。1つはヒトの末梢血由来単核細胞から数百倍に、もう1つはヒトの臍帯血細胞から約1万倍にNK細胞を増幅することができる技術に関する特許となる。ヒトの様々な細胞からZNK(R)細胞を作製できる技術を確立したことで、他家細胞を用いたZNK(R)細胞免疫療法の臨床応用が可能となった。NK細胞療法は「バクセル(R)」と相互補完関係にあり、同社では複数の免疫細胞療法の技術・ノウハウを持つことで、がん治療における多様なニーズに対応可能となる。

その他、樹状細胞ワクチン細胞の培養技術を高めることを目的として、2014年4月に組織培養用培地で国内トップクラスの実績を持つコージンバイオに出資し(出資比率5.6%、出資額180百万円)、資本業務提携契約を締結した。同社では、従来海外から培地を輸入してきたが、国内トップの開発力を持つコージンバイオと提携することで、より高品質で低コストの細胞培養技術の確立を目指す。また、将来的には培地の海外への展開も視野に入れている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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