パイプドビッツ Research Memo(4):「SPIRAL」は業務効率化と導入コスト、セキュリティ面で優位性
[14/11/12]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■会社概要
(3)特色、強み
(システム構築が容易)
「SPIRAL」の最大の特徴は、自由なカスタマイズ性にある。上記のようにパイプドビッツ<3831>自身が「SPIRAL」の機能を組み合わせて自社の業務用システムや特定顧客(分野)向けのアプリケーションを開発しており、金融機関のような極端に高い信用度を求められる分野を除けば、世に存在するあらゆる業務系のシステムを「SPIRAL」の機能の組み合わせによって作ることができると言っても過言ではない。以前はこのような業務系のシステムは、一般的にはSI(システムインテグレーター)と呼ばれる事業者が構築していた。しかし、SIが従来行っていた業務の大半は「SPIRAL」の機能を組み合わせることで置き換えが可能であり、顧客企業自身が各種の開発やシステム構築を容易に行うことができるようになっている。
(各種アプリケーション間の連携が可能)
「SPIRAL」の持っている機能は多岐に渡るが、最も基本的な機能は、例えば顧客企業がWebを通じてデータベースを管理する上で、データベースの作成から「登録/更新/削除」などのデータ操作、一括データ登録、ダウンロードなどが簡単にできる点である。具体的には、企業がWebを通じてアンケートを実施し、市場調査や新製品の評価を行うような場合、企業側では「SPIRAL」を使用して、ごく手軽にアンケートを作成し、それをターゲットとする顧客や見込み客のもとに届け、アンケートに回答してもらい、それを回収することができる。顧客情報のデータベースに満足度調査のアンケートを関連付ければ、それがそのまま顧客属性に応じた分析になり、満足度の向上のためのフォローアップも可能になる。アンケート結果はリアルタイムで集計され、その結果をそのまま報告書に仕上げることもできる。「SPIRAL」を通じて、これらの異なるアプリ間での一連の作業を簡単な操作で行うことができるのだ。
同様に、プレゼント特典付きのキャンペーン、人事採用のエントリーシート、問い合わせフォーム、セミナーの申し込み、口座開設、資料請求などのフォーム作成に関しても、「SPIRAL」を通じて、フォームの作成や会員属性の登録、更新、削除、ログイン認証などを手早く行うことも可能である。例えばセミナーの開催などの場合、仮に複数のセミナーが同時進行しても、複数の申込受付やキャンセルの管理が即時に可能であり、セミナーの開催が効率的になる。これらのデータを検索フォームに一覧表示させ、一問一答式の分岐アンケートや集計表、グラフなどに発展させることも容易である。さらに今期からは、下記に述べるように音声(電話)でのソリューションを持つ子会社、(株)アズベイスのサービスが加わるため、顧客の利便性は一段と向上する見込みだ。
同社の競合会社の1つが米国のセールスフォース・ドットコム社だが、この会社は買収を繰り返して成長してきた。そのため、各種のアプリケーションは異なる被買収企業が開発してきたものであるため、各アプリケーションは同じ基盤(プラットフォーム)上で作成されたものではない。そのため顧客がこれらの複数アプリの連携を必要とした場合、追加の開発コスト、時間が必要となる場合が多い。その点で同社の「SPIRAL」は同じプラットフォーム上にアプリが載っているため、各種アプリの相互連携を容易に(安価かつ短時間で)行うことが可能であり、セールスフォース・ドットコム社よりはかなり優位であると言える。
(導入コスト、セキュリティ面での優位性)
また「SPIRAL」は、パッケージソフトウェアとして販売されずに、期間利用型のクラウドサービスとして提供されているため、顧客企業は無駄な時間やコストをかけずに、必要とするシステムを独自に短時間で安価に構築できるのも特色だ。すなわちシステム導入の初期であっても、多額の費用をかけずに少額の投資からシステム開発が可能になる。
このようなコスト面での優位性に加えて、ISO27001(情報セキュリティマネジメントの国際規格)やプライバシーマークを取得しており、セキュリティ面での保証、保守や監視機能も付いていることから、特に中小SIerにとっては利便性の高い製品となっている。例えば、ネット上での通信暗号化技術として最も一般化しているSSL(Security Sockets Layer)に脆弱性が指摘された場合、通常であれば各SIerは個別にこの脆弱性への対応をする必要があるが、同社の「SPIRAL」を利用していれば、必要な対応は同社が行う(「SPIRAL」上で解決される)ため、各SIerは個別に対応する必要がなくなる。一方で、同社のSPIRALを利用していることが、最終顧客に対してセキュリティ面での安心感を与えているとも言える。
(導入事例)
同社の「SPIRAL」導入の成功事例を2つ挙げる。1つ目は朝日火災海上保険(株)のケースである。朝日火災海上保険の個人向け火災保険「ホームアシスト」のWeb保険料試算システムに同社の「SPIRAL」が導入されたが、1〜2分のチェックで顧客が具体的な保険料をイメージできることから資料の請求量は約130倍に、資料請求からの成約率は約3倍に向上したようだ。また、顧客属性や各種データ類を連携させたことで、従来、30分程度かかっていた作業も2〜3分に短縮されたようだ。さらに、コスト面においても、他社との比較で10分の1程度と優位性があった点も採用につながっている。
2つ目は三菱地所レジデンス(株)のケースである。三菱地所レジデンスは、「顧客ロイヤルティの向上」を経営戦略の1つに掲げ、新築マンションなどの検討・購入者へのアンケートを通じて、顧客満足度の計測・分析・向上施策を展開している。アンケートは、5回に渡り実施されるが、その数は来場アンケートだけで年間約4万5,000件に及び、莫大な労力と時間に加え、謝礼発送や回答紙の入力外注など多くの費用が発生していた。そこで運用フローを見直し、すでに導入していた「スパイラル」によりシステムを改修することで、大幅な業務効率化とコスト削減を同時に実現した。従来、ピーク時には担当者が丸1日かかったリスト登録が、わずか数分の作業に効率化されたほか、アンケートをWebに最大限移行することで、一部の郵送回答希望者を除き、アンケート実施から回答登録、謝礼送付、謝礼管理までが全自動化された。顧客情報を扱うフローが最大限システム化されたことで、人的ミスも最小化したという。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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