G-7 ホールディングス Research Memo(3):通期は増収増益を見込む、計画達成に向け積極的に施策を進める
[14/11/21]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■決算動向
(2)2015年3月期業績見通し
G-7ホールディングス<7508>の2015年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.5%増の93,000百万円、営業利益が同3.4%増の3,000百万円、経常利益が同1.9%増の3,200百万円、当期純利益が同3.8%増の1,600百万円と期初会社計画を据え置いている。第2四半期累計の通期計画に対する進捗率は、売上高が45%、営業利益が22%となっており、直近3ヶ年の平均(売上高48%、営業利益40%)と比較すると進捗率が低いものの、需要期である冬シーズンの気候次第でオートバックス・車関連事業の収益が左右されるほか、各事業とも下期に向け収益力の強化を一層進めていくことで、計画の達成を目指していく考えだ。事業別の取り組みについては以下のとおり。
○オートバックス・車関連事業
第2四半期累計業績は減収減益となったものの、下期以降はオートバックスを中心とした新規出店効果や、価格対策、集客施策の積極化などにより売上高を拡大し、通期での増収増益を目指していく。
新規出店に関しては、オートバックスで2店舗、板金・塗装サービスを行うBPセンターで3店舗のほか、バイクセブンをマレーシアで1店舗出店する予定となっている。オートバックスに関しては、建築費用が高騰するなかで、居抜き物件を利用することでコストを抑え、店舗数を今後も積極的に拡大していく。居抜き物件にすると、新築に比べて3分の1程度、場合によっては5分の1程度に投資額を抑えることが可能となる。出店エリアについても、従来は商圏人口で10〜15万人規模のエリアを中心に展開してきたが、今後は3〜5万人規模の小商圏エリアへの出店も積極的に進めていく。町の整備工場やガソリンスタンドなどが減少傾向にあるなかで、小商圏に出店することでこうした需要を取り込んでいく戦略だ。また、BPセンターの出店によって、車検サービスや板金・塗装などサービス事業の売上構成比を高め、収益性の向上を図っていく。
価格対策では、オートバックス店舗の約半分を占め、プライスリーダーとなっている兵庫県内においては安売りをしない方向に改めていく。
集客施策では、G-7モールでのイベント開催や出張販売などを積極的に実施していくことで、売上増に結び付けていく考えだ。10月にはオートバックスNEW土山店敷地内のモータウン土山サーキットにて、兵庫県警主催の「子どもの犯罪被害防止と自動車関連被害防止のための防犯キャンペーン」を開催するなど地域社会の貢献も含めたイベント開催も実施している。また、10月からは兵庫県内のテレビ・ラジオで同社としては初めてオートバックスのCMを流し始め、女性層やシニア層の集客効果を見込んでいる。
その他、店舗の収益力向上に向けた取り組みも強化する。欠品による販売機会のロス、売れ残りによる安売り等を防止するための仕入・在庫管理の強化や売れる店舗づくり(商品陳列方法の見直し等)など、原点に立ち返って店舗ごとに改善を進めていく方針だ。
オートバックス事業に関しては、冬場の降雪状況によりスタッドレスタイヤやチェーンなどの売上が大きく変わってくるため、今冬の気候状況も業績面で大きなカギを握るものと思われる。
○業務スーパー・こだわり食品事業
通期での増収増益を達成するために、業務スーパー事業では、まず、北海道エリアの店舗運営を軌道にのせる取り組みを進めていく。北海道エリアには2013年末から出店を開始し、9月末で4店舗をオープンしているが、想定よりも店舗収益が下回っている状況にある。この要因は、知名度が低かったことに加え、北海道においては地場企業に対する愛着心が高いこと、また、売れ筋商品や顧客の買い方など当初は顧客ニーズをつかみ切れておらず、手探り状態で商品戦略を進めてきたことなどが挙げられる。ただ、半年ほどの売上状況を分析し、ようやく顧客ニーズに合わせた商品戦略が打てるようになってきたため、ニーズに合わせた商品ラインナップを進めることで、今後の売上拡大が期待される。
なお、業務スーパーの今期出店計画については、残り3店舗を予定していたが、利益面で苦戦していることから、第3四半期(10-12月)は一旦様子見とし、第3四半期累計の業績が増益であれば、第4四半期(2015年1-3月)に出店を行っていく計画としている。
一方、G-7食品システムのなかで、こだわり食品事業に関しては、下期以降も新規顧客や新商材の発掘を継続して行うことで収益の拡大を進めていく方針。また、業績が低迷している旧上野食品と旧コールドファミリーからの継承事業に関しては、PB商品の開発に注力し、新製品を投入していくことで売上を回復していく。PB商品の開発に関しては、旧上野食品で年間10品目を目標としており、2014年12月までに5品目程度は発売したいとしている。
さらに、現在、こだわり食品事業と別々に動いている旧上野食品と旧コールドファミリーの営業組織を一本化することで、顧客情報の共有化を図り、販売面でのシナジー効果を上げていきたい考えだ。こだわり食品事業の東日本への顧客開拓や商材発掘は従来、大阪の営業部隊が行っており非効率であったが、2015年4月期からは東京にも営業部隊を組織し、東日本エリアでの営業活動を進めていく。
その他の取り組みとしては、営業部隊のコンサルティング能力の強化を進めていく。今後、食品卸業界の淘汰が進むなかで、小売店舗に対して様々なコンサルティング力が今まで以上に求められるようになるとみているためだ。特に、同社の場合、こだわり食品を中心に、高品質な食品をメイン商材として扱っていることから、営業マンのスキルアップを社内研修や成功事例の情報共有化を進めるなどして高めていく計画だ。
○その他事業
その他事業の「めぐみの郷」に関しては、新規出店は未定だが、今夏の天候不順の際に、一時的に野菜不足となったこともあり大手生産法人との提携を進めている。全国から直接野菜を集めることにより商品の欠品リスクを失くしていく方針だ。また、全店にわたり順次、売り場のプチリニューアルを実施する予定だ。手始めに、今夏、めぐみの郷で最も売上が高い「学園南店」で、買物がし易いように通路を広げたり、陳列に工夫を凝らすなどの改革を行ったところ、リニューアルで店舗を数日閉めたにもかかわらず、上期売上が前年比約109%増となり、効果があらわれている。
また、海外事業では11月にベトナムのイオンモールベトナム2号店内に、カレー専門店「黄金カレー」を出店した。今後はラーメン店も出店する予定で、マレーシアに2014年2月に出店したラーメン店と合わせて、3店舗となる。レストラン事業に関しては、今後ライセンス展開で伸ばしていきたい考えだ。
その他、G-7デベロップメントで展開しているレストラン事業やリユース事業などについて、不採算の状態が長らく続いている店舗に関しては、撤退も含めた検討を進めていく。3〜5年程度赤字が続いている店舗に関しては撤退を検討することになる。
なお、海外アグリ事業に関しては、引き続きミャンマー、ベトナムでの能力拡張も含めた取り組みを継続していく方針で、当面は投資負担が先行する格好で、収益への貢献は見込んでいない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<FA>