ADワークス Research Memo(4):減収減益だが計画通りの進捗、ストック型フィービジネスは順調に拡大
[14/12/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(1)2015年3月期の第2四半期累計業績について
10月31日付で発表された2015年3月期の第2四半期累計(2014年4月-9月)連結業績は、売上高が前年同期比30.5%減の4,603百万円、営業利益が同37.1%減の305百万円、経常利益が同44.9%減の220百万円、四半期純利益が同43.9%減の135百万円となった。主力の収益不動産販売事業が前年同期比で落ち込んだのが主因だが、エー・ディー・ワークス<3250>が中期戦略において強化していくストック型フィービジネス事業が収益不動産残高の積み上げによって順調に拡大しており、ほぼ計画どおりの進捗だったと言える。
売上総利益は収益性の高い賃料収入などストック型フィービジネス事業が増加したことにより、前年同期比5.6%減の1,101百万円にとどまり、総利益率も17.6%から23.9%へと大きく上昇した。一方、販管費はプロパティ・マネジメント事業を中心に人員を増員した(9月末の従業員数は前期末比11名増の82名)ことによる人件費増や本社フロアスペースの拡大による賃借料の増加などにより、前年同期比で16.8%増となり、販管費率も10.3%から17.3%に上昇した。
なお、同社の事業構成は依然として収益不動産販売事業への依存度が大きいため、同事業の販売動向によって短期的な収益変動幅が大きくなる傾向にある。事業別の概況は以下のとおり。
○収益不動産販売事業
収益不動産販売事業の当第2四半期累計期間の売上高は前年同期比29.2%減の3,964百万円、EBITDA(注)が同30.5%減の475百万円、営業利益が同30.6%減の475百万円となった。販売棟数が14棟と前年同期より3棟減少したことが減収減益要因となった。ただ、EBITDAマージン(EBITDA÷売上高)は12.0%と前年同期の12.2%とほぼ同水準を維持しており、収益性に関しては引き続き高水準を維持している。
(注)EBITDA(償却前営業利益): EBITDAは償却費等のキャッシュアウトを伴わない費用を足し戻して計算するため、実質的な収益力を示す指標として、企業価値の算定等に用いられることが多い。
一方、9月末の収益不動産残高は11,219百万円と前期末の10,124百万円からさらに積み上がった格好となっている。国内での仕入活動を引き続き注力したほか、当期より事業を本格的に開始した米国で約800百万円の収益不動産の積み上げを行ったことも増加の要因となっている。米国では人気の高い西海外エリアで事業活動を開始しており、当第2四半期累計期間で5棟の中古不動産を仕入れ、うち1棟を日本の顧客に販売した。販売額は170百万円弱となっている。
○ストック型フィービジネス事業
ストック型フィービジネス事業の当第2四半期累計期間の売上高は前年同期比44.5%増の666百万円、EBITDAは同85.4%増の262百万円、営業利益は同88.3%増の258百万円と大きく伸長した。また、EBITDAマージンも前年同期の30.6%から39.3%に上昇した。前述したように収益不動産残高の積み上げにより、賃料収入が同70.8%増の322百万円と順調に拡大したことが主因だ。また、子会社で展開するプロパティ・マネジメント事業も不動産管理戸数の増加による管理収入の増加に加えて、修繕収入などの関連収入も増加し、売上増に貢献した。
EBITDAマージンの上昇に関しては、賃料収益率が71.3%から68.6%と若干低下したものの、プロパティ・マネジメント事業が前期に実施した構造改革の効果により2.6%から11.9%に大きく改善したことが寄与した。なお、プロパティ・マネジメント事業に関しては、収益不動産販売事業の顧客向けのアフターサービスであり、顧客囲い込みのための補完的事業としての位置付けとなる。このため、ストック型フィービジネスの収益は、保有不動産残高の積み上げによる賃料収入の拡大によって伸ばしていく戦略となる。
○その他事業
その他事業は前期より事業の縮小を進めてきた総合居住用不動産事業(新築及び中古戸建)が含まれており、当第1四半期で新築戸建販売の在庫はすべて販売を完了している。当第2四半期累計期間における売上高は42百万円(前年同期は578百万円)、営業損失は2百万円(同20百万円の黒字)となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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