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アールテック・ウエノ Research Memo(1):創薬の開発費、安定配当を継続できる収益力と財務体質を確立

注目トピックス 日本株

眼科・皮膚科向けに特化した創薬ベンチャー企業。緑内障・高眼圧症治療薬である「レスキュラ(R)点眼液」の製造販売、便秘症治療薬「アミティーザ(R)カプセル」の受託製造など既に収益化している事業があり、創薬にかかる開発費や安定配当を継続できるだけの収益力、財務体質を確立していることが同社の特徴だ。

アールテック・ウエノ<4573>の2015年3月期の第2四半期累計の業績は、売上高が前年同期比2.4%減、営業利益が同42.3%減と減収減益になったが、「アミティーザ」の米国向け出荷が一部、第3四半期にずれ込んだことを除けば期初計画通りの進捗となった。

2015年3月通期の業績は、「レスキュラ」の減収や研究開発費の増加などにより、売上高で前期比2.6%増、経常利益で同2.9%減と前期並みの水準が見込まれる。為替変動の影響は、1円の円安ドル高で年間20百万円の増益要因となる。計画前提レートは1ドル100円であり、ここ最近の円安進展は業績面で若干プラスに寄与するものとみられる。

新薬の開発動向については、網膜色素変性治療薬として開発中の「ウノプロストン点眼液(開発コードUF-021)」の第3相試験を実施中で、2015年春に判明する臨床試験の結果が良ければ国内での製造販売承認申請を行う予定となっている。順調に進めば2017年3月期中の上市が見込まれ、国内の売上規模はピーク時で20億円程度が想定されている。

一方、重症ドライアイ治療薬として開発中の「遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液(開発コードRU-101)」は、米国で実施している第1相および前期第2相臨床試験の結果が11月に明らかとなった。概ね良好なデータが得られたことで、今後は同データをもって、ライセンスアウト交渉に臨む予定となっている。早ければ2015年秋にも契約が締結される可能性がある。これら2つの新薬がスケジュールどおりに進んだとすれば、2019年3月期の業績は売上高で7,000〜7,500百万円、経常利益で2,000〜2,500百万円程度まで拡大する可能性がある。

また、第3の新薬である「VAP-1阻害剤(開発コードRTU-1096)」の第1相臨床試験も2014年10月より開始された。1年程度の試験で安全性を確認後、アトピー性皮膚炎または乾癬を適応領域として前期第2相臨床試験の実施後にライセンスアウト交渉に入る予定となっている。世界市場規模は750億円程度と同社のパイプラインのなかでは最も大きいだけに、今後の動向が注目されよう。

Check Point
・希少疾病医薬品、生活改善薬の分野をターゲットに開発を行う
・開発資金援助金で長期借入金が増加するも実質無借金を継続
・配当性向48.1%と無配が多い創薬ベンチャー企業では特異な企業

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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