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ラクーン Research Memo(7):通期は増収増益基調が続く、過去最高を4期連続更新へ

注目トピックス 日本株

■決算動向

(3)2015年4月期の連結業績見通し

ラクーン<3031>の2015年4月期の業績は増収増益が続く見通しで、会社計画は一定のレンジを設けて発表している。売上高では2,000〜2,050百万円、営業利益は275〜285百万円をそれぞれ見込んでおり、水準としてはいずれも過去最高を4期連続で更新することになる。

ただ、第2四半期(2014年5月−10月)までの進捗率で見ると、売上高は49.2%、営業利益は53.6%の水準と計画を上回るペースで進んでいる。直近3年間の第2四半期までの平均進捗率で見れば、売上高は約48%、営業利益は約39%となっていることから、特に利益ベースでの進捗が良かったことがうかがえる。前述したように、売掛債権保証事業の利益が想定以上に出たことが要因となっている。とはいえ、例年、アパレル関係の売上は第3、4四半期に偏ることを考えると、今後市場に大きな逆風が吹かない限りは、計画を上回る可能性が高いと言えよう。事業別の下期以降の取り組みについては以下のとおりとなっている。

○EC事業
EC事業では11月の「スーパーデリバリー」の流通額が引き続き順調に拡大している模様で、通期でも増収増益が見込まれる。特に、第2四半期後半以降に出展企業が伸びたことで、第3四半期の流通額の伸びが期待される。また、12月にアパレル大手のワールドが出展を開始したこともプラスに寄与するとみられる。ワールド商品のBtoB向け卸サイトは、「スーパーデリバリー」だけであり、今後の掲載商品次第で流通額がさらに増加する可能性がある。また、大手アパレルが出展したことにより、新規会員店舗数の増加も期待される。

ユーザーの利便性向上につながる施策として、10月にはスマートデバイスで利用するクレジットカード決済対応POSレジ「Squareレジ」を提供するSquare社との業務提携を締結し、「Squareレジ」と同社の「スーパーデリバリー」及び「COREC」のデータ連携を行うことを発表した。同社がターゲットとする中小規模の小売店における商品の仕入・発注作業や売上分析などをスマートデバイス上でいつでも、どこからでも行うことが可能となり、業務効率の改善を間接的に支援していく。

さらには、出展企業を増やしていくための施策として、新規出展のための手続きを自動化するシステムを導入する計画となっている。審査基準そのものは従来と変わりないが、新規出展するまでのシステムへの入力作業(商品登録含めて)を簡素化することで、出展を促進する。既に、試験運用はスタートしているが、本格的にシステムが導入されるのは第4四半期、または2016年4月期に入ってからとなる見通し。

一方、会員小売店舗の方に目を向けると、海外事業者の会員増に向けたインフラ整備も進めていく計画となっている。現在、海外向けは台湾、中国、香港などアジアを中心に、平均流通額で月間20百万円程度と増加基調が続いている。

また、「スーパーデリバリー」のサイトが現状では日本語のみで、外国語に対応していないという課題も抱えている。こちらも2016年4月期中には英語への対応を進めていく計画としている。海外への流通額は全体の2.4%と低水準ではあるものの、円安の進行も追い風となって急成長する可能性があるだけに、今後の動向が注目されよう。

同社では「スーパーデリバリー」の成長性に関して、年率5〜6%の安定成長が続くとみている(海外向け除く)。人員に関しては現状維持で対応可能なことから、利益率に関しては増収効果によって緩やかに上昇していくことが予想される。

「COREC」事業に関しては、会員数を増やす種まき段階であり、機能の拡充も図りながら有料会員数を着実に増やしていきたい考えだ。収益貢献の時期は数年後と弊社では推測している。一旦、収益化すれば販売費などほとんどコストがかからないため、安定した収益源の1つになることが予想される。

○Paid事業
Paid事業に関しては前述したように加盟企業数が月を追うごとに増えており、売上高は当面2ケタ成長が見込まれる。特に2015年4月期の第3四半期以降は、増収効果によって単月での黒字転換が見込まれる。このため、2016年4月期には通期で黒字化する見通しだ。

○売掛債権保証事業
売掛債権保証事業に関しても11月も過去最高の保証残高となっており、前年同月比でも10%台の伸びが続くなど好調を持続している。今後、貸し倒れ率が想定を上回るようなことがなければ、通期でも2ケタ増収増益が見込めよう。

今後の戦略としては、営業力の強化が課題であるが、人員に関しては年間で2〜3名程度増員する計画となっている。また、自社の営業ネットワーク以外にも、地方の金融機関や他業界との提携を積極的に進めることで、販売費をなるべく掛けずに顧客の開拓を進めていく戦略だ。2014年以降の提携の動きを見ると、不動産業界で東京の(株)宅建ブレインズ(東京都不動産協同組合の100%出資子会社)と3月末に提携し、事業所用の家賃保証サービスを4月から開始している。当初は伸び悩んでいたが、商品内容を一部改定してからは利用者数も増え始めている。

また、9月には愛媛銀行と、11月にはクラウド請求書管理サービス「Misoca」を提供するスタンドファームとそれぞれ提携した。スタンドファームとの提携では、「Misoca」の画面上において、登録事業者が請求書の作成や発送をする際に同時に、保証サービスの依頼もできるようにしたもの。「Misoca」の登録事業者は自営業者や、フリーランス、中小企業などが中心で、2014年10月時点で2万以上の利用者が登録しており、今後の見込み客となる。

さらに、12月には物流分野でトラック運送業者と荷主を結ぶオンラインネットワークサービスを手掛けるトラボックス(株)とも提携している。トラボックスが会員向けに提供する「単発便でGO!(求荷求車サービス/求車情報)」の通常月額会費に、5,000円の追加料金を支払うことで、成約した運賃の全額を保証するサービスとなる。トラボックスの運送事業者の会員数は11,110社(会員保有トラック数437,306台)と日本最大級の規模を誇っており、今後の売上寄与が期待される。

売掛債権保証事業に関しては、まだ普及率が低いこともあり、今後も保証残高の積み上げが進んでいくものと予想される。想定を上回る貸倒れ率が発生した際には、収益が悪化するリスクはあるものの、基本的にはストック型ビジネスであり、安定成長が続く見通しだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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