Eストアー Research Memo(2):創業事業とマーケティング事業のシナジー、「進化」を狙う
[15/02/19]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■事業構造改革の進捗と今後の方針
(1)事業構造改革の全体像
Eストアー<4304>の2つの事業部門のうち、「システム事業」が現在の収益の中核である。これは同社の創業事業であり、中小の小売店や個人商店などの「専門店」に特化してeコマース(EC)を支援するASPサービスの提供がその内容となっている。EC-ASPサービスには、「専門店」型に対峙する概念としてアマゾンや楽天<4755>などに代表される「モール型」というものがある。同社の強みは、「専門店」型に特化して、過去15年間にわたり専門店のECのノウハウを積み上げてきたところにある。同社の提供するサービスは具体的には、ショッピングカート機能や決済機能、eコマースサイトの制作・運営など個々のサービスを、クラウドでバラ売りあるいは総合したパッケージとして提供するものである。しかしその裏側の見えないところで、専門店特有の売り方や商品ごとの売り方についてノウハウを積み上げてきた。
同社のシステム事業の主力商品は「ショップサーブ」の商品名で展開する総合支援サービスだ。同社は「ショップサーブ」の契約拡大による収益成長に取り組み、ピークの2012年3月期末には、「ショップサーブ」の契約数だけでも21,340件に達した。しかし同社は、「ショップサーブ」に代表されるASPサービスを整理・統合して収益性の点で体質強化を図るとともに、もう1つの事業である「マーケティング事業」を育成して「EC支援の総合プロデュース企業」へと自社を進化させる方針を明確化した。
同社が方針転換に踏み切った背景には、システム事業を取り巻く事業環境の変化がある。すなわち、ECのASPサービス市場においては競合企業の参入が目立ち、競争は激化の一途を辿っている。また、事業の成長モデルは契約数の増加が基本となるが、そのための設備投資などが必要で、新規顧客獲得のための費用対効果も悪化するという悪循環に陥るリスクをはらんでいる。同社はEC支援サービスの先駆企業の1社であるが、同社にしてもそうした潜在的なリスクを抱えていることは否定できない。
他方、同社には前述のように、専門店に特化して創業以来15年に渡って積み重ねた、EC支援の幅広い領域に渡る経験やノウハウがある。これまでもASPサービスを主体とする「システム事業」に加えて、顧客の集客と売上拡大をサポートする「集客事業」をもう1つの事業として行ってきた実績を有している。今回、名称を「集客事業」から「マーケティング事業」に変えると同時に、そのサービス内容も、専門店ノウハウを生かして集客や購買率向上のために、より深く顧客に関わることで収益につなげるというのが事業構造改革の骨子だ。具体的にはコンサルティングやその運営業務代行という、顧客の現場により踏み込み、必要ならば広告代理店の事業までも自社で一気通貫で行うというものだ。
システム事業の“体質強化”の内容は、文字通り収益性の向上である。同社の顧客契約の中には、創業当初に業務提携した企業が独自ブランドで契約した「OEM契約」案件が多数存在していた。OEM契約は収益性が低いのが課題であったものの、創業当初には同社の収益を下支える役割を果たした。しかしその後同社は「ショップサーブ」を中核商品として自社のプレゼンスと競争力を有し、収益性の高い自社契約を着実に増やしてきた。ここにきて業務提携の解消を機にOEM契約も積極的に解消する決断を下したのが、システム事業の体質強化の主たる内容だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<FA>
(1)事業構造改革の全体像
Eストアー<4304>の2つの事業部門のうち、「システム事業」が現在の収益の中核である。これは同社の創業事業であり、中小の小売店や個人商店などの「専門店」に特化してeコマース(EC)を支援するASPサービスの提供がその内容となっている。EC-ASPサービスには、「専門店」型に対峙する概念としてアマゾンや楽天<4755>などに代表される「モール型」というものがある。同社の強みは、「専門店」型に特化して、過去15年間にわたり専門店のECのノウハウを積み上げてきたところにある。同社の提供するサービスは具体的には、ショッピングカート機能や決済機能、eコマースサイトの制作・運営など個々のサービスを、クラウドでバラ売りあるいは総合したパッケージとして提供するものである。しかしその裏側の見えないところで、専門店特有の売り方や商品ごとの売り方についてノウハウを積み上げてきた。
同社のシステム事業の主力商品は「ショップサーブ」の商品名で展開する総合支援サービスだ。同社は「ショップサーブ」の契約拡大による収益成長に取り組み、ピークの2012年3月期末には、「ショップサーブ」の契約数だけでも21,340件に達した。しかし同社は、「ショップサーブ」に代表されるASPサービスを整理・統合して収益性の点で体質強化を図るとともに、もう1つの事業である「マーケティング事業」を育成して「EC支援の総合プロデュース企業」へと自社を進化させる方針を明確化した。
同社が方針転換に踏み切った背景には、システム事業を取り巻く事業環境の変化がある。すなわち、ECのASPサービス市場においては競合企業の参入が目立ち、競争は激化の一途を辿っている。また、事業の成長モデルは契約数の増加が基本となるが、そのための設備投資などが必要で、新規顧客獲得のための費用対効果も悪化するという悪循環に陥るリスクをはらんでいる。同社はEC支援サービスの先駆企業の1社であるが、同社にしてもそうした潜在的なリスクを抱えていることは否定できない。
他方、同社には前述のように、専門店に特化して創業以来15年に渡って積み重ねた、EC支援の幅広い領域に渡る経験やノウハウがある。これまでもASPサービスを主体とする「システム事業」に加えて、顧客の集客と売上拡大をサポートする「集客事業」をもう1つの事業として行ってきた実績を有している。今回、名称を「集客事業」から「マーケティング事業」に変えると同時に、そのサービス内容も、専門店ノウハウを生かして集客や購買率向上のために、より深く顧客に関わることで収益につなげるというのが事業構造改革の骨子だ。具体的にはコンサルティングやその運営業務代行という、顧客の現場により踏み込み、必要ならば広告代理店の事業までも自社で一気通貫で行うというものだ。
システム事業の“体質強化”の内容は、文字通り収益性の向上である。同社の顧客契約の中には、創業当初に業務提携した企業が独自ブランドで契約した「OEM契約」案件が多数存在していた。OEM契約は収益性が低いのが課題であったものの、創業当初には同社の収益を下支える役割を果たした。しかしその後同社は「ショップサーブ」を中核商品として自社のプレゼンスと競争力を有し、収益性の高い自社契約を着実に増やしてきた。ここにきて業務提携の解消を機にOEM契約も積極的に解消する決断を下したのが、システム事業の体質強化の主たる内容だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<FA>