伊藤忠エネクス Research Memo(2):M&A、事業提携などの「攻めの経営」で事業構造を大きく変革
[15/03/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
伊藤忠エネクス<8133>は2001年に現社名に変更されるまでは伊藤忠燃料(株)の社名で、石油製品流通業界で大きな存在感を見せていた。2000年代に入ってからは社名だけでなく事業構造においても大きな変革を推進してきた。その変革の原動力はM&Aである。M&Aは今では同社のDNAとも言えるほどにすべての事業分野において様々な規模のものが実行されてきた。同社の成長の歴史はM&Aの歴史でもある。M&Aには当然リスクが伴う。積極的なリスクを取りながら大手エネルギー商社としての長年の知識と経験を活かして、巧みに数々のM&Aを成功へと導いてきたところに、同社の「攻めの経営」の真価があると言える。また、事業提携・合弁会社設立もM&A同様に「攻めの経営」を実現する有効な方策であり、同社はこれらの手法を使い分けながら持続的発展を図っていく方針だ。
現在の同社は4つの事業部門から成る。すなわち、「ホームライフ事業」「カーライフ事業」「電力・ユーティリティ事業」及び「エネルギートレード事業」の4つだ。それぞれの事業の収益構造は後述するが、全体の構成では、売上高では事業部門間で差があるものの、営業利益段階では、4事業部門がバランス良く稼いでいることがわかる。下記のグラフでは、平準化した状態での収益構造のイメージを把握するため、2013年3月期と2014年3月期の合算ベースで表示した。なお、同社は2014年3月期からIFRS(国際会計基準)を適用して決算書を作成しており、事業セグメント別利益内訳は営業利益から税引前利益に変更になる。
同社は石油製品を中心とした総合エネルギー商社であり、取扱品目は多岐にわたっているため、同社の収益構造を理解するのは難しいというイメージを持つ投資家も多いと思われる。ところで、日本の一次エネルギー供給構造を見ると石油が44.3%で第1位をとなっている。また、2014年は石油価格が大きく動いた年でもあった。そこで以下では、原油価格の変動が同社の各事業の収益に与える影響を分析することで、同社の収益構造についての理解を深めることを試みる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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