エイアンドティー Research Memo(7):品質保証の強化、人員の増加、中国事業を推進
[15/03/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■2014年12月期決算
(5)その他のトピックス及び課題
2014年12月期のトピックスとしては、既に触れた臨床検査情報システムの売上高の過去最高更新と、検体検査自動化システムの市場拡大の他にもいくつかある。また、安定したビジネスモデルとはいえ、課題も残っている。以下に説明する。
(a)品質保証の強化
エイアンドティー<6722>の商品は高級品が多く、品質への信頼は同社のビジネスの継続にとって最重要項目の1つに位置付けられている。2014年12月期には、この品質保証を強化する方針が打ち出された。これは、後に説明するが、2015年12月期中に発表を予定している5ヶ年計画を策定するうえでの重要な基本方針として改めて提示された側面がある。また、薬事法の改正に伴い、医療機器も医薬品同様の厳しい安全規制が導入されたことも影響している。
(b)人員の増加
同社は、研究開発を含めた「内製化」を進めることによって、コストの削減や、利益の安定確保を進めている。そのためには、人員、特に新卒を中心とした若手のエンジニアの採用が課題になっている。そのため、同社では、2012年12月期から人員の拡充を進めている。新卒に関しては、2014年春には約20人を採用し、過去3年間の採用は合計52人に達した。2014年12月期末での社員数は約340人、パートを含めると約480人になったという。
今後も年間10〜20人の新卒採用を行っていく方針である。しかし足元では人員はまだまだ不足しているようである。既に触れたが、検体検査自動化システムの売上高の減少や臨床検査情報システムの一部案件では、エンジニアの不足により受注を取りこぼしたことが理由の1つになっている。同社の顧客となる病院は、年末などの長期休暇の際の休診期間を使ってシステムの導入や更新を行う。繁忙期が集中するため、ただでも作業の平準化が難しい。それにエンジニアの不足が輪をかけているというジレンマがある。
それ以外にも、同社は年齢別の社員構成がピラミッド型となっており、新卒採用によって若手の人員構成比率を高めるよう改善していく必要があるという。
(c)中国事業
海外事業は提携戦略を中心に展開しているが、中国には自社で出資した東軟安徳医療科技有限公司がある。2012年に中国の医療システムメーカーである瀋陽東軟医療系統有限公司51%、エイアンドティー49%の出資で設立した。合弁会社は関係会社という位置付けで、現在は、中国市場向けの分析装置を販売している。試薬もOEMで供給している。しかし、現地で生産する予定の試薬工場の建設が難航している。瀋陽東軟医療系統有限公司の親会社である東軟集団グループが丸ごと移転する計画が持ち上がり、予定していた場所での工場建設計画が宙に浮いてしまったからである。
現在は、移転先で工場建設を開始している。ただ、計画の練り直しによって認可を取得し直す必要もあり、新工場での生産は早くても2年後になる見通しになってしまっている。そのため、2014年12月期に合弁設立から3年間の投資損失引当金を計上した。
しかし、事業の遅れに対する対策は他の現地企業への生産委託をする形で調整が進んでおり、2015年12月期からは供給が始まるとしている。したがって、引当金もさらに積み増す可能性は低いとしている。これについては、2015年3月期の業績予想でも説明する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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