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ホットリンク Research Memo(6):2015年12月期は、大幅増収増益となる見通し

注目トピックス 日本株
■業績動向

(3)2015年12月期業績見通し

ホットリンク<3680>の2015年12月期の連結業績は、売上高が前期比135.7%増の2,423百万円、営業利益が同41.9%増の208百万円、当期純利益が42.8%増の106百万円と大幅増収増益となる見通し。業績拡大の最大の要因は、2015年1月に22百万ドル(約2,596百万円)を出資して完全子会社化したSocialgistの寄与によるものだ。Socialgistの業績見通しは開示していないものの、連結業績の約半分程度を占めるものとみられる。

なお、増収率に対して営業利益の増益率が小幅にとどまるのは、M&A関連費用(100百万円強)の計上や、人件費の増加による。従業員数はSocialgistの37名及び国内での営業・開発体制の強化による増員(+7名)により、今期末には合計で104名体制となる見通しだ。

○Socialgistについて
Socialgistは2000年に米国で設立されたベンチャー企業で、世界中のブログ、掲示板、Q&A、レビューサイト等のソーシャルメディアデータの収集・提供サービスを行っている。データストリーミング分野での高い技術力を持っていることに加えて、世界で唯一、中国版Twitterと呼ばれる「Sina Weibo」(アカウント数6億人超、1日の投稿件数1.2億件と中国最大のSNS)のデータへのフルアクセス権の販売ライセンスを取得していることが特徴となっている。現在のSocialgistの売上高の3割強は「Sina Weibo」のデータ販売で占められている。

顧客は世界の大手ソーシャル・ビッグデータ分析、マーケティングプラットフォーム、CRM、BI等のツールベンダーのほか、金融機関や政府との取引実績も持つ。なお、同社も2014年6月に業務提携し、「Sina Weibo」データに関して中国を除くアジア・パシフィック地域での販売代理権を取得している。

Socialgistの直近の経営成績を見ると、売上高はソーシャルメディア市場の成長に伴って、年率2ケタペースでの高成長が続いている。なお、2014年度の業績については非開示となっているものの、売上高は9百万ドル台に拡大する一方で、営業利益は赤字に転じたものとみられる。特殊要因を除けば黒字となる。これは子会社化するに当たって、戦略的に前期までの負の遺産処理を実行したほか、貸倒引当金を計上したことが要因となっている。

Socialgistののれんが約3,000百万円と買収金額(約2,596百万円)を上回っていること、2013年12月末の純資産が-893千ドルであることから逆算すると、2014年12月期の純損失は200〜300百万円程度だったと思われる。

○IFRS基準の採用について
同社は2015年12月期より連結業績において、従来の日本の会計基準から国際会計基準となるIFRSに移行することを発表している。最も大きな違いは、のれん償却費用の扱いで、日本基準では期間業績でのれんを償却費として計上する必要があるが、IFRS基準ではそれを行う必要がなくなる。

また、今回のIFRSの採用は2015年12月期通期の業績発表からで、第3四半期までは従来基準で発表されることには留意する必要がある。第3四半期までは売上高が前年比で2倍増となったとしても、利益ベースではのれん償却費用が足かせ要因となり、減益となる公算が大きいためだ。とりわけ、第1四半期に関してはM&A関連費用が計上されることもあって、赤字となる公算が大きい。

四半期業績のイメージをわかりやすく説明すると、以下のとおりとなる。まず、2015年度の会社計画を四半期で均等割りした場合で見ると、売上高は約600百万円に、営業利益はIFRS基準であれば第1四半期が25百万円の赤字となり(M&A費用100百万円を含む)、第2四半期以降は75百万円の黒字が続くことになる。

これに対して、日本基準で発表した場合は、四半期ごとに90百万円ののれん償却費(うちSocialgistののれんは約75百万円)が計上されるため、利益の下押し要因となってしまう。つまり、第3四半期までは前年同期比で増収減益となる可能性が高くなる。実際には、売上高は右肩上がりでの拡大が想定されるため、第1四半期の赤字額がもう少し膨らむ可能性もある。ただ、通期ではIFRS基準での発表となるため、増収増益となる。

○既存事業の見通し
のれん償却費用やM&A費用を除いた収益状況を見れば、既存事業、Socialgistの事業ともに年率2ケタ台の増収増益が見込まれる。

既存事業では、今年1月より「e-mining」のバージョンアップを実施している。具体的には、ダッシュボード機能やナビゲート機能を付加し、誰でも簡単に同ツールを使いこなせるようUIを改善したほか、スマートデバイス対応とし、担当者が何処にいてもモニタリングできるようにするなど、利便性の大幅な向上を図った。顧客からの評価も高く、「クチコミ@係長」も同様のバージョンアップを今春に予定している。これらツールの利便性向上によって、中堅規模クラスの顧客における解約率低減を進め、SaaSサービスの売上げ拡大を進めていく戦略だ。

また、ソリューションサービスにおいては、同社の「データ」や「分析エンジン」を自社の製品・サービスに組み込む既存の提携先企業向けの売上げ増が見込まれることに加えて、新規提携先企業の開拓も進めていく。

ソーシャルメディア分析に関しては、年明けに社会問題化した食品への異物混入問題などもあって、市場環境的には追い風が吹いていると言え、新規受注の拡大だけでなく、解約率の低減を進めていくことが成長を加速化していくうえでのカギを握っていると言えよう。

○Socialgistの業績見通し
一方、Socialgistに関しては引き続き「Sina Weibo」のデータ提供サービスが好調に推移し、売上高は2ケタ成長が続く見通し。グローバル企業では、中国でのマーケット戦略、並びにリスクマネジメントの重要性が高まっており、ソーシャルメディア分析のニーズが拡大していることが背景にある。人員については間接人員を1〜2名増員する程度で、固定費はほとんど変らないことから、増収効果により営業利益は初年度から黒字貢献が見込まれる。なお、Socialgistの売上高はソリューションサービスに含まれることになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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