エレマテック Research Memo(6):自動車向けはトヨタグループ向け拡大へ
[15/06/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
(2)自動車関連事業の現状と今後の見通し
エレマテック<2715>の自動車関連事業は従来からも自動車部品メーカーと取引があったが、今後の伸びをけん引すると期待されるのは、トヨタグループ企業との取引の拡大だ。言うまでもなく、2012年度に豊田通商の子会社となったことによるシナジー効果だ。
豊田通商とのシナジー効果、すなわちトヨタグループとの取引拡大効果は、2015年3月期まではほとんど顕在化していない。なぜならば、自動車部品の新規採用は自動車のモデルチェンジを機になされることが多いが、そのサイクルが3〜5年と長期であるためだ。しかし、2016年3月期からトヨタグループ向けの取引が目に見えて増加してくる見込みで、同社は2016年3月期のAutomotive部門の売上高を前期比4,113百万円(28.2%)増収と見込んでいる。
同社は自動車向けビジネスの拡大について、トヨタグループ入りしたことに頼った成長モデルを描いているわけではない。これは同社の強みである「中小型液晶関連技術」を活かしガラケー、スマホ市場を開拓・拡大してきたのと同様に、次なる成長分野として、表示体+センシング部材の技術が求められる自動車市場に、同社自身の付加価値をつけることによる取引拡大を目指している。
具体的には、同社が扱う基礎素材やパーツをそのまま販売するのではなく、同社が設計図を書いて各種電子部品を組み合わせてモジュール化して提案、販売するということだ。モジュール化して機能と価値をアップさせることで、取引額の増大はもちろんだが、顧客を囲い込み、長期安定取引へとつなげる効果も期待できる。
しかしながら、こうしたことを行うにはそれに見合った「技術力」が必要だ。これには製品の企画力だけでなく顧客ニーズをくみ取る力も含まれる。同社は、前述のようにエレクトロニクス分野でそうしたモジュール化の提案営業の経験を積み上げており、技術力は十分備わっていると言える。一方で、そうした過去の実績に安住することなく、今回、社内に技術グループを新設して企画提案力を高める体制を敷いた。
自動車分野においても、モジュール化商品についての商談がすでに複数案件、進行している模様だ。2018年3月期のAutomotive部門売上高33,000百万円という値は、計画作成当時は文字どおり目標値であったが、現時点では、具体的案件の積み上げベースによる現実的な予算値へと、質が変化してきている。同社はその先の業績目標などは公表していないが、自動車関連事業の事業規模は将来的には現在主力のエレクトロニクス向け事業の収益規模を追い越すと考えることは決して荒唐無稽ではないであろう。
自動車関連事業が拡大するとリコール問題の影響を懸念する向きも出てこよう。単純に電子材料や電子部品を納入するだけでなく、モジュール化した中間製品を納入するような場合、さらにその懸念は高まるかもしれない。しかしながらこの点については、同社では品質管理部門が組織化されているだけでなく、豊田通商グループのノウハウを活かし問題を極小化できるなどリスク管理体制を整備している為、大きなリスク要因とはならないと弊社ではみている。むしろ、リコールへの対応力のない企業は自動車関連事業に参入・拡大が難しくなることで、同社にとっては追い風になる可能性があると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<FA>
(2)自動車関連事業の現状と今後の見通し
エレマテック<2715>の自動車関連事業は従来からも自動車部品メーカーと取引があったが、今後の伸びをけん引すると期待されるのは、トヨタグループ企業との取引の拡大だ。言うまでもなく、2012年度に豊田通商の子会社となったことによるシナジー効果だ。
豊田通商とのシナジー効果、すなわちトヨタグループとの取引拡大効果は、2015年3月期まではほとんど顕在化していない。なぜならば、自動車部品の新規採用は自動車のモデルチェンジを機になされることが多いが、そのサイクルが3〜5年と長期であるためだ。しかし、2016年3月期からトヨタグループ向けの取引が目に見えて増加してくる見込みで、同社は2016年3月期のAutomotive部門の売上高を前期比4,113百万円(28.2%)増収と見込んでいる。
同社は自動車向けビジネスの拡大について、トヨタグループ入りしたことに頼った成長モデルを描いているわけではない。これは同社の強みである「中小型液晶関連技術」を活かしガラケー、スマホ市場を開拓・拡大してきたのと同様に、次なる成長分野として、表示体+センシング部材の技術が求められる自動車市場に、同社自身の付加価値をつけることによる取引拡大を目指している。
具体的には、同社が扱う基礎素材やパーツをそのまま販売するのではなく、同社が設計図を書いて各種電子部品を組み合わせてモジュール化して提案、販売するということだ。モジュール化して機能と価値をアップさせることで、取引額の増大はもちろんだが、顧客を囲い込み、長期安定取引へとつなげる効果も期待できる。
しかしながら、こうしたことを行うにはそれに見合った「技術力」が必要だ。これには製品の企画力だけでなく顧客ニーズをくみ取る力も含まれる。同社は、前述のようにエレクトロニクス分野でそうしたモジュール化の提案営業の経験を積み上げており、技術力は十分備わっていると言える。一方で、そうした過去の実績に安住することなく、今回、社内に技術グループを新設して企画提案力を高める体制を敷いた。
自動車分野においても、モジュール化商品についての商談がすでに複数案件、進行している模様だ。2018年3月期のAutomotive部門売上高33,000百万円という値は、計画作成当時は文字どおり目標値であったが、現時点では、具体的案件の積み上げベースによる現実的な予算値へと、質が変化してきている。同社はその先の業績目標などは公表していないが、自動車関連事業の事業規模は将来的には現在主力のエレクトロニクス向け事業の収益規模を追い越すと考えることは決して荒唐無稽ではないであろう。
自動車関連事業が拡大するとリコール問題の影響を懸念する向きも出てこよう。単純に電子材料や電子部品を納入するだけでなく、モジュール化した中間製品を納入するような場合、さらにその懸念は高まるかもしれない。しかしながらこの点については、同社では品質管理部門が組織化されているだけでなく、豊田通商グループのノウハウを活かし問題を極小化できるなどリスク管理体制を整備している為、大きなリスク要因とはならないと弊社ではみている。むしろ、リコールへの対応力のない企業は自動車関連事業に参入・拡大が難しくなることで、同社にとっては追い風になる可能性があると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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