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ダイコク電機 Research Memo(5):情報システムは3期連続で過去最高の売上

注目トピックス 日本株

■決算概要

(1)過去の業績推移

過去6期分の業績を振り返ると、個人消費の冷え込みと東日本大震災の影響とが重なった2011年3月期に業績の落ち込みがあったが、その後はパチンコ業界が縮小傾向にあるなかでも、ダイコク電機<6430>の業績は順調に回復してきた。特に高い市場シェアを誇る情報システム事業は、2015年3期まで3期連続で過去最高の売上高を更新しており、同社の業績を支えてきた。

また、損益面でも、情報システム事業が同社の安定収益源となっており、業績の回復とともに高い利益率が維持されてきた。2014年3月期以降は次世代ホールコンピュータ向けの開発費の増加等により低下しているが、その分を考慮すれば、依然高い水準を確保していると言える。

財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は、内部留保の積み上げ等により上昇傾向にあり、2015年3月期は60.0%の水準に到達した。また、短期の支払能力を示す流動比率についても、潤沢な現預金を中心に175.5%の高い水準を確保している。一方、資本効率性を示すROEは2015年3月期に2.7%の水準(前期は10.5%)に落ち込んだが、一時的なコスト要因によるところが大きい。

(2) 2015年3月期決算の概要

2015年3月期の業績は、売上高が前期比5.1%減の54,043百万円、営業利益が同73.3%減の1,425百万円、経常利益が同71.4%減の1,566百万円、当期純利益が同73.3%減の874百万円と減収減益となった。期初会社予想との対比では、売上高が98.3%とほぼ計画線となったものの、営業利益は47.5%と大きく計画を下回った。ただ、営業利益における計画差異(約1,575百万円)の大部分は、取引先遊技機メーカーの自己破産に伴う損失(約950百万円)や受託ソフトウェア開発における見積原価の変更に伴う損失(約350百万円)といった一時的なコスト要因によるものである。

事業別売上高で見ると、情報システム事業が好調な周辺機器(CRユニットや情報公開機器)に支えられて想定以上に大きく伸長したものの、制御システム事業が販売機種数の減少やリユース品比率の上昇により想定を大幅に下回ったことから、結果としてほぼ計画線の着地となった。

損益面では、収益モデルの転換や研究開発費の増加(前期比4.9%)による利益水準の押し下げはほぼ想定の範囲内であったが、取引先遊技機メーカーの自己破産に伴う損失などの一時的なコスト要因がさらに利益を圧迫したことにより、営業利益率は2.6%(前期は9.4%)と大きく低下した。

財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は60.0%(前期末は59.8%)と高い水準を維持している一方、資本効率を示すROEは一時的なコスト要因により2.7%(前期は10.5%)に落ち込んだ。

事業別の業績は以下のとおりである。

情報システム事業は、売上高が前期比2.9%増の37,104百万円、セグメント利益が同30.3%減の4,244百万円と増収ながら減益となった。ホールコンピュータの販売台数は131台(前期は203台)にとどまったものの、CRユニット「VEGASIA」や情報公開機器「BiGMO PREMIUM」など周辺機器の販売が想定以上に好調であったことが増収に寄与した。また、同社が推進している経営支援サービス(MGサービス)の売上高は、DK-SIS会員数の順調な伸びなどにより3,380百万円(前期比18.0%増)に拡大している。

ただ、損益面では、次世代ホールコンピュータ向けの開発費の増加(前期比33.6%増)に加えて、大きく伸長したCRユニットの収益モデルの転換(製品利益率を低く設定する一方、月々のデータ管理料を徴収)によりセグメント利益率は低下している。なお、収益モデルの転換による影響は、販売時の製品利益率の低下を招くものの、販売後の継続的な課金収入を見込むことができるため、同社の収益力が低下しているものではないことに注意が必要である。

制御システム事業は、売上高が前期比18.9%減の16,950百万円、セグメント損失が1,105百万円(前期は1,127百万円の利益)と、減収及びセグメント損失に転落した。機種数の減少等により表示ユニットの販売台数が減少(前期比17.7%減)したことに加えて、遊技機メーカーのコスト削減の動きに伴ってリユース品比率が66.8%(前期は24.4%)に上昇したことが計画を下回る減収を招いた。

損益面では、減収による利益の下押しに加えて、取引先遊技機メーカーの自己破産に伴う損失や受託ソフトウェア開発における見積原価の変更に伴う損失といった一時的なコスト要因により、セグメント損失に転落した。

なお、同社が注力している自社開発パチスロ遊技機については、2機種で約7,000台を販売した。特にヒット作品となった「ささみさん@がんばらないすろっと」は約6,000台を販売するとともに、高稼動機種としてホールの業績にも大きく貢献した。損益分岐点となる販売台数は約7,000〜8,000台と推定されることから、まだ黒字転換には達していないようであるが、今期(2016年3月期)からの本格展開に向けて、確かな手応えをつかんだと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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