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ケネディクス Research Memo(8):通期業績予想を大きく増額修正、当期純利益80億円見込む

注目トピックス 日本株

■決算概要

(3) 2015年12月期の業績予想

ケネディクス<4321>は、上期業績が想定を上回る進捗であったことや足元の状況等を踏まえ、2015年12月期の業績予想を大きく増額修正した。アクイジションフィーの増加を主因とするアセットマネジメント事業の拡大と、好調な不動産マーケットを背景として幅広い案件から売却益が積み上がったことが増額修正の理由である。

修正後の業績予想として、営業収益を前期比11.9%減の23,100百万円(修正幅+1,500百万円)、営業利益を同4.3%増の8,500百万円(修正幅+1,000百万円)、経常利益を同17.1%増の7,500百万円(修正幅+800百万円)、当期純利益を同65.1%増の8,000百万円(修正幅+2,000百万円)を見込んでおり、特に当期純利益が大きく伸びる見通しとなっている。また、重視する業績管理指標であるベース利益も前期比152.5%増の3,300百万円、ROEも9.9%(前期は6.5%)と予想しており、同社業績は好調に推移するものとみている。

上期同様、連結対象不動産(棚卸資産)の売却が一巡したことにより営業収益は減収となるものの、アセットマネジメント事業の拡大が同社業績の伸びをけん引する見通しである。また、ノンリコースローンの減少に伴う支払金利(営業外費用)の削減や連結対象不動産(有形固定資産)の売却益(特別利益)が当期純利益の大幅な伸びに寄与する想定である。ただ、下期に特別損失2,800百万円を見込んでいるのは、過去の含み損を抱えた連結対象不動産の処分によるものである。本件により、過去の含み損を抱えた連結対象不動産の整理は完了(含み損の一掃)するもようである。

事業セグメント別の業績予想は以下のとおりである。

アセットマネジメント事業の営業総利益は、前期比45.9%増の8,500百万円と見込んでいる。受託資産残高の順調な拡大により、アセットマネジメントフィーが安定した伸びとなることに加えて、アクイジションフィーの増加が業績の伸びに寄与する見通しである。

不動産関連事業の営業総利益は、前期比13.6%増の1,000百万円を見込んでいる。管理物件の増加に伴いプロパティマネジメントフィーが順調に拡大する見通しである。

不動産投資事業の営業総利益は、前期比16.3%減の5,700百万円と見込んでいる。顧客投資家との共同投資から生じる匿名組合分配益が増加するものの、連結対象不動産(棚卸資産)の売却の一巡による不動産売却損益や連結対象不動産の減少に伴う賃貸事業損益の落ち込みにより減益となる見通しである。ただ、連結対象不動産(有形固定資産)の売却に伴う損益として、特別利益に5,200百万円(前期は3,669百万円)及び特別損失に2,800百万円(前期は6,146百万円)をそれぞれ見込んでおり、トータルでは大幅な増益となるものとみることができる。

なお、2015年12月期の新規投資については、上期実績として既に約325億円を実施していることに加え、連結対象不動産の売却が順調に進んでいることから、設定上限枠を350億円から450億円に増枠した。同社のファンドビジネスの成長に結び付くREIT向けのブリッジファンド投資や不動産コアファンド投資、不動産開発投資(商業施設やヘルスケア関連施設を中心)のほか、不動産メザニンローン(賃貸住宅など)などを含む不動産関連投資に約390億円(前期実績は約329億円)、REIT及びファンド関連投資(REIT投資口等への投資)及び事業関連投資(不動産関連サービス業務拡大のための戦略投資等)に合わせて約60億円(前期実績は約107億円)を計画している。

新規投資枠450億円については、不動産関連投資からの回収見込額を充てる予定であり、2015年12月末の投資エクスポージャー(リスク量)は約706億円(前期末は約736億円)に減少するとともに、投資余力として約100億円を残すイメージを描いているようだ。これまでの積上げ型から、既存投資からの回収の範囲内で再投資を行うリサイクル投資型のフェーズへ移行したことに加えて、やや慎重な投資スタンスと見受けられる。

弊社では、上期実績や好調な市場環境等を勘案して、同社の業績予想は十分に達成可能と判断しており、新たな中期経営計画の実現に向けて順調なスタートを切るものとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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