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サイバーリンクス Research Memo(4):先読み能力をテコに小規模食品小売業向けでデファクトを確立

注目トピックス 日本株
■同社の強み、競合とリスク

サイバーリンクス<3683>の強みは、1) 業種や地域をセグメント化し、そこでNo.1になれると判断した場合に資本を集中投資する市場選択戦略(No.1戦略)に徹していること、2) セル時間当たり収益(売上を上げ、経費を下げ、時間効率を上げる)を最大化するという全員経営戦略(サイバーセル経営)を全従業員に徹底していること、3) システム開発を主力とするITサービス会社が開発案件の受注の状況により業績が変動するのに対して、同社はクラウドサービスを中心に定常収入※が一定のウエイトを占める(2014年12月期で売上高の35.8%)ため収益が安定していること、の3点を挙げることができる。
※ITクラウド事業ではクラウドサービス利用料・運用業務費用、画像データ利用料、データセンター利用料・保守料、システムサポート・保守料など。モバイルネットワーク事業では、業務インセンティブ、店舗支援費など。

No.1戦略、サイバーセル経営は、同社が1988年にネットワーク型POS情報処理サービスを開始して以来、流通業に特化したサービスを提供してきた経験、ノウハウを基に食品流通小売業や卸流通などの同社がシェアNo.1を確保できると考えられる特定の市場を選択し、その市場で将来的に主流となる動きを先読みし、それに必要不可欠となる業務標準を統一するなどをクラウドサービス化し、高機能で安価に提供する共同利用型サービスとして提案する能力を生み出す原動力になっていると考えられる。

ITクラウド事業での競合は、食品流通小売業向けのビジネスではユーザー企業の事業規模で異なる。小規模小売企業の場合は主としてPOSシステム事業を展開する東芝テック<6588>、中・大規模小売企業では日立製作所<6501>、富士通<6702>、NEC(日本電気)<6701>などのシステムインテグレーター(SI)を挙げることができる。一方、官公庁向けでは紀陽情報システム、南大阪電子計算センターなど和歌山県を地盤とする、あるいは営業展開しているITサービス企業。ただ、同社のサービスは高機能、安価を基本とした共同利用型のサービスが主力であるため、価格志向の強いユーザーニーズに対して競争力は極めて高いと考えられる。

事業リスクは、ITクラウド事業、モバイルネットワーク事業ともに景気低迷や政策変更によるIT投資予算削減や個人の購買意欲後退によるマイナス影響を受けることがある。加えて、業界再編、市町村合併等によるユーザー数の減少によるマイナス影響を受ける可能性がある。

さらにITクラウド事業において、同社は時代を先読みしユーザーニーズを充足する新たなサービスを開発、提供するビジネスモデルとなっているが、その新たなサービスがユーザーニーズを充足できない場合、開発費を吸収できず業績にネガティブな影響を与える可能性がある。一方、モバイルネットワーク事業はNTTドコモブランドに完全に依存しているため、NTTドコモの事業戦略や市場シェアの動向に業績が左右される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)




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