モリト Research Memo(4):成長戦略は「付属品の世界シェア拡大」など3つの軸で推進
[15/10/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
成長戦略としては、「付属品の世界シェア拡大」「自社ブランド商品の拡大」「事業領域内でのM&Aの積極化による企業規模の拡大」を推進していく。
○付属品の世界シェア拡大
主力事業である服飾用、生活産業資材用の付属品(ハトメ・ホック等)での世界シェア拡大を進めていく。2015年11月期の売上見込み43,000百万円のうち約7割に当たる30,000百万円程度(服飾資材用18,000百万円、生活産業資材用12,000百万円)が付属品となるが、今後も同事業を中心に業績の拡大を進めていく方針だ。
モリト<9837>調べによれば服飾用付属品でメイン市場であるアジアでの業界シェアは、ジーンズ用のボタン・リベットで同社とSCOVILL合わせて15%、スナップでは真鍮製(ベビー、子供服が中心)で38%、ステンレス製で60%のシェアを持っている。
大手アパレル企業向けでは、同社・SCOVILL、YKK、Prymの大手3グループで競合しており、シェアもここ数年は変動がなく安定した市場構造となっている。品質面での違いはないため、今後は顧客に対するサポート体制や物流体制、人材力などソフト面の強化を図ることで、シェアを拡大していきたい考えだ。
○自社ブランド商品の拡大
現在、自社ブランド商品としてはシューズケア製品(靴の中敷き等)で国内トップシェアを持っているが、グローバルへの展開はまだ進んでいない。売上規模としては2014年11月期で3,500百万円程度、今期もほぼ横ばい水準を見込んでいる。中期的にはこうした自社ブランド品の海外での販売強化を推進していく方針だ。課題は海外で販売していくためのネットワークがないことが挙げられ、こうした分野でのM&Aも視野に入れている。
○「事業領域内でのM&Aの積極化による企業規模の拡大」
同社は次期中期計画の中で、新たなM&Aによる売上創出を目指している。M&Aの対象は既存の事業領域内でシナジーが期待できる企業となる。そういう面でSCOVILLの子会社化は同社の戦略に沿ったものと言えよう。
SCOVILLは自社生産比率が同社よりも高いことから、営業利益率も2015年度見込みで8%と相対的に高い。
今後の収益性向上は増収効果に加えて、外注比率の低減や間接部門のスリム化を進めていくことで実現可能とみられる。売上面では同一顧客に納入しているケースもあるが、商品に関しては統合せずダブルブランドで供給を続けていく方針。また、商品のアイテム数では樹脂製品などを取り扱っている同社のほうが豊富で、今後はSCOVILLの営業網を使って、同社の樹脂製付属品などの販売も行っていく予定となっている。
また、生産面でもSCOVILLが従来、外注などで仕入れていた製品に関して、同社から仕入れたほうがコスト的に安くなるものがあれば、切り替えていく予定となっている。現在、SCOVILLの外注比率は3〜4割となっており、特にアジアで販売する金属製付属品が中心となっている。このため、今後はコスト低減の効果も期待される。
間接部門のスリム化に関しては、既に欧州の物流拠点について、同社のオランダにある物流拠点に統合を終えたほか、今後は香港事務所、米国での本社及び物流拠点の統合などを賃貸契約期間の終了を待って進め、2〜3年内に統合完了を予定している。
<財務状況と株主還元策>
(1)財務状況について
同社の2015年5月末の財務状況を見ると、総資産は前期末比2,021百万円増加の47,614百万円となった。主な増加要因を見ると、現預金の増加で358百万円、在庫の増加で193百万円、SCOVILLの商標権の増加で1,032百万円、投資有価証券の増加で559百万円の増加となった。
一方、負債は前期末比29百万円増加の16,133百万円とほぼ横ばい水準となった。純資産は前期末比1,992百万円増加の31,480百万円となり、主な増加要因は利益剰余金の増加で385百万円、その他有価証券評価差額金の増加で564百万円となっている。
有利子負債はSCOVILLの子会社化を目的に2014年11月期に大きく増加したが、それでも有利子負債比率は19.3%の水準であり、財務の健全性は高いと判断される。超低金利状態が続いていることから、同社では今後もM&Aの際には有利子負債を活用していく意向を示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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成長戦略としては、「付属品の世界シェア拡大」「自社ブランド商品の拡大」「事業領域内でのM&Aの積極化による企業規模の拡大」を推進していく。
○付属品の世界シェア拡大
主力事業である服飾用、生活産業資材用の付属品(ハトメ・ホック等)での世界シェア拡大を進めていく。2015年11月期の売上見込み43,000百万円のうち約7割に当たる30,000百万円程度(服飾資材用18,000百万円、生活産業資材用12,000百万円)が付属品となるが、今後も同事業を中心に業績の拡大を進めていく方針だ。
モリト<9837>調べによれば服飾用付属品でメイン市場であるアジアでの業界シェアは、ジーンズ用のボタン・リベットで同社とSCOVILL合わせて15%、スナップでは真鍮製(ベビー、子供服が中心)で38%、ステンレス製で60%のシェアを持っている。
大手アパレル企業向けでは、同社・SCOVILL、YKK、Prymの大手3グループで競合しており、シェアもここ数年は変動がなく安定した市場構造となっている。品質面での違いはないため、今後は顧客に対するサポート体制や物流体制、人材力などソフト面の強化を図ることで、シェアを拡大していきたい考えだ。
○自社ブランド商品の拡大
現在、自社ブランド商品としてはシューズケア製品(靴の中敷き等)で国内トップシェアを持っているが、グローバルへの展開はまだ進んでいない。売上規模としては2014年11月期で3,500百万円程度、今期もほぼ横ばい水準を見込んでいる。中期的にはこうした自社ブランド品の海外での販売強化を推進していく方針だ。課題は海外で販売していくためのネットワークがないことが挙げられ、こうした分野でのM&Aも視野に入れている。
○「事業領域内でのM&Aの積極化による企業規模の拡大」
同社は次期中期計画の中で、新たなM&Aによる売上創出を目指している。M&Aの対象は既存の事業領域内でシナジーが期待できる企業となる。そういう面でSCOVILLの子会社化は同社の戦略に沿ったものと言えよう。
SCOVILLは自社生産比率が同社よりも高いことから、営業利益率も2015年度見込みで8%と相対的に高い。
今後の収益性向上は増収効果に加えて、外注比率の低減や間接部門のスリム化を進めていくことで実現可能とみられる。売上面では同一顧客に納入しているケースもあるが、商品に関しては統合せずダブルブランドで供給を続けていく方針。また、商品のアイテム数では樹脂製品などを取り扱っている同社のほうが豊富で、今後はSCOVILLの営業網を使って、同社の樹脂製付属品などの販売も行っていく予定となっている。
また、生産面でもSCOVILLが従来、外注などで仕入れていた製品に関して、同社から仕入れたほうがコスト的に安くなるものがあれば、切り替えていく予定となっている。現在、SCOVILLの外注比率は3〜4割となっており、特にアジアで販売する金属製付属品が中心となっている。このため、今後はコスト低減の効果も期待される。
間接部門のスリム化に関しては、既に欧州の物流拠点について、同社のオランダにある物流拠点に統合を終えたほか、今後は香港事務所、米国での本社及び物流拠点の統合などを賃貸契約期間の終了を待って進め、2〜3年内に統合完了を予定している。
<財務状況と株主還元策>
(1)財務状況について
同社の2015年5月末の財務状況を見ると、総資産は前期末比2,021百万円増加の47,614百万円となった。主な増加要因を見ると、現預金の増加で358百万円、在庫の増加で193百万円、SCOVILLの商標権の増加で1,032百万円、投資有価証券の増加で559百万円の増加となった。
一方、負債は前期末比29百万円増加の16,133百万円とほぼ横ばい水準となった。純資産は前期末比1,992百万円増加の31,480百万円となり、主な増加要因は利益剰余金の増加で385百万円、その他有価証券評価差額金の増加で564百万円となっている。
有利子負債はSCOVILLの子会社化を目的に2014年11月期に大きく増加したが、それでも有利子負債比率は19.3%の水準であり、財務の健全性は高いと判断される。超低金利状態が続いていることから、同社では今後もM&Aの際には有利子負債を活用していく意向を示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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