アデランス Research Memo(3):中長期シナリオの1つが具現化してきている
[15/11/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■国内女性市場の回復のシナリオ
(1)総論
弊社では、アデランス<8170>の2016年2月期第2四半期決算について、決して悲観的には見ていない。短期業績見通しや短期的株価インパクトという点ではネガティブであることは否定できないが、一方で、かねて弊社が想定してきた同社の中期成長シナリオの1つが具体化してきたためだ。それは、「低価格のレディメイド・ウィッグを足掛かりに、国内女性市場を拡大・活性化させる」というシナリオだ。
弊社の想定と現実の違いは、弊社では同社自身が低価格帯の普及品を発売するなど、リーダーシップを発揮して市場拡大策に積極的に乗り出す(よって、業績もついてくる)とみていたが、現実には他業態などからの新規参入組が低価格品を発売して市場拡大をけん引すると同時に同社のシェアを奪った(よって、同社の業績が落ち込んだ)ということだ。
しかしながら、後述するように、同社の挽回は十分に可能であるというのが弊社の考えだ。現段階で重視すべきポイントは、ウィッグの利用者数が着実に増大したこと、すなわち市場が拡大したということだ。国内女性向け市場は、高齢化の流れに沿ってまだ成長が続くと考えられていたが、それをどう加速させ、市場規模拡大につなげるかが何より重要だと弊社では指摘してきた。女性のウィッグ使用開始年齢は男性に比べて高いため、市場拡大策の1つとしてはウィッグ開始年齢の若年化という施策が当然出てくる。その起爆剤として低価格品やファッション・ウィッグの普及を想定していたが、今まさにそれが起こっている。これは、同社はもちろんウィッグ業界全体にとってポジティブなことだと弊社では考えている。
(2)国内ウィッグ市場の現状と見通し
日本は高齢化と人口減少の波に洗われている。そうした状況にあっても女性向けウィッグ市場は成長余地があるというのが弊社の分析だ。女性の場合、ウィッグの使用開始年齢が男性に比べて遅い(50代〜60代)が、生涯を通じて利用を続ける点が男性と大きく異なっている。また、薄毛に対する意識という点でも女性の方が男性に比べて保守的であると考えられる(男性は薄毛対策をまったく行わないという選択をするケースも目立つが、女性はそういうケースは少ない)。
人口動態の面では、女性のほうが男性に比べて平均寿命が長く、人口も多い。総務省などの人口統計などによれば、10歳から89歳までの女性の人口は、2013年から2023年までの10年間で4.3%減少することになっている。しかしながら、40歳〜89歳を「ウィッグ使用対象人口」と定義付けると、その数は同期間に2.5%増加するとみられる。実際のウィッグ利用者数で見た場合には、その増加率はもっと高いものとなると考えられる。また、外出機会が多く、購買力の高いアクティヴ・シニアの増加が女性向けウィッグ市場の拡大につながると見ている。
同社もまた、国内女性向けウィッグ市場は安定成長が継続するという見方を有している。同社では、2014年から2019年にかけて年平均0.8%の市場拡大が続くという第3者の調査結果に対して賛意を示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<HN>
(1)総論
弊社では、アデランス<8170>の2016年2月期第2四半期決算について、決して悲観的には見ていない。短期業績見通しや短期的株価インパクトという点ではネガティブであることは否定できないが、一方で、かねて弊社が想定してきた同社の中期成長シナリオの1つが具体化してきたためだ。それは、「低価格のレディメイド・ウィッグを足掛かりに、国内女性市場を拡大・活性化させる」というシナリオだ。
弊社の想定と現実の違いは、弊社では同社自身が低価格帯の普及品を発売するなど、リーダーシップを発揮して市場拡大策に積極的に乗り出す(よって、業績もついてくる)とみていたが、現実には他業態などからの新規参入組が低価格品を発売して市場拡大をけん引すると同時に同社のシェアを奪った(よって、同社の業績が落ち込んだ)ということだ。
しかしながら、後述するように、同社の挽回は十分に可能であるというのが弊社の考えだ。現段階で重視すべきポイントは、ウィッグの利用者数が着実に増大したこと、すなわち市場が拡大したということだ。国内女性向け市場は、高齢化の流れに沿ってまだ成長が続くと考えられていたが、それをどう加速させ、市場規模拡大につなげるかが何より重要だと弊社では指摘してきた。女性のウィッグ使用開始年齢は男性に比べて高いため、市場拡大策の1つとしてはウィッグ開始年齢の若年化という施策が当然出てくる。その起爆剤として低価格品やファッション・ウィッグの普及を想定していたが、今まさにそれが起こっている。これは、同社はもちろんウィッグ業界全体にとってポジティブなことだと弊社では考えている。
(2)国内ウィッグ市場の現状と見通し
日本は高齢化と人口減少の波に洗われている。そうした状況にあっても女性向けウィッグ市場は成長余地があるというのが弊社の分析だ。女性の場合、ウィッグの使用開始年齢が男性に比べて遅い(50代〜60代)が、生涯を通じて利用を続ける点が男性と大きく異なっている。また、薄毛に対する意識という点でも女性の方が男性に比べて保守的であると考えられる(男性は薄毛対策をまったく行わないという選択をするケースも目立つが、女性はそういうケースは少ない)。
人口動態の面では、女性のほうが男性に比べて平均寿命が長く、人口も多い。総務省などの人口統計などによれば、10歳から89歳までの女性の人口は、2013年から2023年までの10年間で4.3%減少することになっている。しかしながら、40歳〜89歳を「ウィッグ使用対象人口」と定義付けると、その数は同期間に2.5%増加するとみられる。実際のウィッグ利用者数で見た場合には、その増加率はもっと高いものとなると考えられる。また、外出機会が多く、購買力の高いアクティヴ・シニアの増加が女性向けウィッグ市場の拡大につながると見ている。
同社もまた、国内女性向けウィッグ市場は安定成長が継続するという見方を有している。同社では、2014年から2019年にかけて年平均0.8%の市場拡大が続くという第3者の調査結果に対して賛意を示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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