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ジェイテック Research Memo(2):16/3期2Qは減収となるも、利益を確保

注目トピックス 日本株
■2016年3月期第2四半期決算

(1)売上高及び利益の概要

ジェイテック<2479>は、機械、電気・電子機器、ソフトウェア、建設業向けに高度技術者(テクノロジスト)の派遣や技術開発の請負を行っている。「技術商社」を標榜し、「人財」としての技術者を正社員や契約社員として常時雇用する形態をメインとしているため、スキルの高い人材を豊富に抱えているのが最大の特徴である。

2016年3月期第2四半期の連結決算は、 売上高が前年同期比1.0%減の1,628百万円、営業利益が13百万円(前年同期は27百万円の営業損失)、経常利益が12百万円(同28百万円の経常損失)、四半期純利益が1百万円(同39百万円の四半期純損失)となった。

前年同期の損失の最大の原因は、クライアントであるメーカーへの派遣・請負の単価の値上げ交渉が難航し、受注が減少したためであった。しかし、値上げは下半期になってからようやく浸透し、第4四半期からはクライアントにほぼ受け入れられた。その結果、平均単価は3,310円から3,700円台になったものの、第3四半期までの受注減が響き、2015年3月期通期の業績は、売上高が前期比1.7%減の3,348百万円、営業利益が同16.7%減の79百万円、経常利益が同17.6%減の78百万円、当期純利益が同10.9%減の57百万円と減収・減益決算となった。

一方、2016年3月期第2四半期は、利益計上したとはいえ、減収となり、利益額も小さい。原因は、人材確保難によるテクノロジストの不足である。案件は十分にあるものの、対応する高度技術者が不足し、受注を断らなければならないジレンマに陥っている。

人材不足の要因は、景況感の回復に伴い、クライアントとなる大手メーカーが新卒技術者の確保を行った結果、同社の新卒確保が困難になったためである。景況感は回復しているもの、競争が激しい電気・電子機器分野のテクノロジストの確保が特に苦戦したという。例えば、2015年4月に入社した連結のテクノロジスト(同社の最高レベルの技術を持つ技術者)の新卒採用人数は16名、10月入社は9名にとどまり、120名の採用計画に対し大幅な未達となってしまった。

同社の売上高は、売上を構成する4要素(テクノロジスト数、テクノロジストの稼働率、テクノロジストの稼働時間、受注単価)を掛け算することによっておおまかに算出でき、営業損益はこれから売上原価と販管費を引けば算出できる。2016年3月期第2四半期に関しては、この4要素の数値は明らかにされていない。しかし、2015年3月期(単体)のデータを見ると、稼働率に関しては、2015年3月末は平均92%を超えて限界の状況にあり、受注単価は、既に触れたように3,310円から3,700円台に上昇、平均工数(ある作業に携わったテクノロジストの人数×作業にかかった時間)は、仕事の件数が少なくなっても1件当たりの工数に大きな変化はないため、月間で186.3時間と前期比横ばいで推移している。事業環境が急変していないため、2016年3月期第2四半期でも、上記3要素に大きな変化はないと考えられ、業績はテクノロジスト数の不足に大きな影響を受けたと推察される。

また、利益面では、売上原価は新卒者採用が想定を大きく下回ったために研修費用などが減少し、前年同期比6.8%減の1,237百万円となった。しかし、販管費は、新卒募集のための採用経費が増え、同9.6%増の378百万円となった。「人材」に関係する費用が利益面にも影響したと言える。

(2)セグメント別の収益

同社のセグメントは、「技術職知財リース事業」と、一般派遣事業の「一般派遣及びエンジニア派遣事業」の2つに分かれている。技術職知財リース事業は、同社本体(機械、電気・電子、ソフトウェア技術者派遣)と、(株)ジェイテックアーキテクト(建設技術者派遣、旧:(株)エル・ジェイ・エンジニアリング、10月1日付で社名変更)が展開し、一般派遣及びエンジニア派遣事業は、全額出資子会社の(株)ジェイテックアドバンストテクノロジ(旧:(株)ジオトレーディング、10月1日付で社名変更)とベンチャービジネスサポート(株)が行っている。ベンチャービジネスサポート(株)は7月1日に同社の全額出資で事業を開始した。技術職知財リース事業は、新製品の開発や設計といった専門的で高度な技術を保有する人材であるテクノロジストを数年間のスパンで派遣する。一般派遣及びエンジニア派遣事業は、短期の開発案件に対応するための人材派遣や、高齢の技術者派遣、工場の製造部門への人材派遣などが中心である。また、ベンチャービジネスサポート(株)は、住宅販売・運送業などの販売支援のための人材派遣、ポスティング事業を展開している。グループ全体の売上高に占める技術職知財リース事業の割合は、2016年3月期第2四半期は96.2%となっており、一般派遣及びエンジニア派遣事業は3.8%を占める程度である。

2016年3月期第2四半期の業績をセグメント別に見ると、技術職知財リース事業の売上高は前年同期比1.3%減の1,566百万円、セグメント利益は同39.9%増の179百万円となった。既に売上高と利益の概要で触れたが、テクノロジストの確保難により減収となった一方、単価の上昇で利益は上昇した。

一般派遣及びエンジニア派遣事業の売上高は同7.6%増の62百万円、セグメント損失は6百万円(前年同期は7百万円の利益)となった。ベンチャービジネスサポート(株)の売上高の2ヶ月分が新規に上乗せされたため、増収となったが、会社設立に伴う経費増により、利益面では損失となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)



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