PCIーHD Research Memo(5):高採算のIoT/IoE事業の拡大等から売上総利益は大幅増益
[16/01/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
●過去業績
PCIホールディングス<3918>の事業は請負契約、準委任契約に基づくソフトウェア開発がメインであるため、技術者数の動向が事業規模、業績を左右する。創業から2012年9月期までは、同社と現在のPCIアイオス(株)、及びPCIソリューションズ(株)へ事業を移管したProfit Cube(株)の3社がメインであったが、従業員数は2010年9月期で200人程度に過ぎず、売上規模も20〜30億円程度で推移する格好となっていた。一方、利益面では2011年3月に起きた東日本大震災の影響を受け受注が大幅に減少したことなどにより、2011年9月期には営業損失に転落する場面があった。
しかし、2012年9月期第4四半期(2012年7月−9月)から2013年第1四半期(2012年10月−12月)にかけて700名超の中途採用を実施し、その受け皿として同社は2012年9月にPCIソリューションズを設立した。これに伴い、同社と当該社員の技術力を評価する顧客とのSEサービスの取引が始まり、現在の事業規模に近い原型が出来上がった。
●2015年9月期連結業績
2015年9月期連結業績は、売上高が前期比13.7%増の7,853百万円、営業利益は同207.1%増の547百万円と、2ケタ増収・営業増益を確保、売上高、営業利益ともに過去最高を記録した。一方、当期純利益は同26.4%減の330百万円と減益となった。これは、前期に連結納税制度を適用開始したことに伴い繰延税金資産を計上し、法人税等調整額が▲105百万円となったこと等の反動による。
売上高は自動車関連、金融向けが極めて好調に推移したことにより2ケタ増収を確保。売上総利益は徹底したプロジェクト管理、高採算のIoT/IoE事業の拡大等から同31.4%増の大幅増益となり、売上総利益率は22.4%へ前期比3.0ポイント改善した。一方、販管費を前期比で4.5%の伸びに抑制できた結果、営業利益率は前期の2.6%から7.0%へ大幅に改善した。
事業区分別に見ると、テクニカルソリューション事業は売上高が同9.4%増の6,797百万円、売上総利益は同23.0%増の1,436百万円となり、前期に続いて好調を持続した。エンベデッドシステム分野では一部モバイル関連を除き、自動車関連、重機・建機、デジタルカメラ関連等が堅調に推移した。加えて、ビジネスシステム分野でも金融機関向け開発案件が堅調に推移したほか、中規模の一括受託案件を受注するなど良好に推移した。
ビジネスソリューション事業は、売上高が499百万円(同6.3%減)と減少を余儀なくされたが、売上総利益は165百万円(同10.0%増)と増益を確保した。SI案件やPOSシステム関連機器販売は堅調に推移したが、自社開発パッケージ製品関連案件の売上計上が2016年9月期へずれ込んだことが減収の要因。にもかかわらず、増益を確保したのはPOS関連機器販売でスポット的な業務支援サービスがあったことが寄与したことによる。
IoT/IoEソリューション事業は、売上高が555百万円(同249.9%増)、売上総利益は160百円(同609.7%増)と大幅増収・増益を記録した。自動車業界向け分野でカーナビゲーション端末をゲートウェイとした各種センサーとインターネット及びクラウドとの連携機能開発案件が増加したことや、エネルギー業界向け分野でも自社ソフトウェア製品である遠隔監視モニタリングシステムを活用したO&Mサービスの2拠点目が稼働したことなどがプラス寄与した。
●2016年9月期業績予想
2016年9月期会社予想は、売上高8,450百万円(前期比7.6%増)、営業利益580百万円(同6.0%増)と、増収・増益を見込む計画となっている。2015年9月期と同様に自動車向けを中心にエンベデッドソリューション事業が堅調に推移するほか、ビジネスソリューション事業も金融向けを中心に受注堅調が続くと見ている。加えて、IoT/IoEソリューション関連事業も堅調と予想している。こうした受注の堅調に対応するために、中途採用の拡大(計画30人)や社内教育の充実による新卒者の早期戦略化を図るほか、ビジネスパートーナー(BP)の積極的な活用を推進する計画で、IT技術者はプロパー700人(同37人増)、BP240人(同63人増)体制を目指している。
事業区分別に見ると、エンベデッドソリューション事業は売上高4,120百万円(同4.0%増)、売上総利益949百万円(同5.6%増)と増収・増益を予想している。自動車、車載関連、重機・建機、その他各種産業機器での制御系ソフトウェア開発需要が堅調に推移すると見込んでおり、エンベデッド技術者の中途採用の拡大と、新卒者の早期戦略化により対応する計画。
ビジネスソリューション事業は売上高3,680百万円(同10.4%増)、売上総利益785百万円(同11.8%増)と2ケタ増収・増益を計画。金融・製造・流通業等の幅広い業務向けの一般情報系ソフトウェア開発の受注好調が見込まれ、ビジネスパートナーを中心とする技術者確保で対応する。
IoT/IoEソリューション事業は売上高650百万円(同17.1%増)、売上総利益175百万円(同9.4%増)と増収・増益を予想する。これは、同社が受信端末ソフトウェアとスマホ向けアプリケーションソフトを開発しているV-Lowマルチメディア放送は2016年春から実用化に向けた取り組みが本格化することになっており、それに絡んだ需要増を見込むほか、車車間通信「V2X」、重機・建機向けIoTソリューション、太陽光発電所向け統合管理システム「Power Station」も堅調に推移すると予想していることによる。
弊社では、2016年9月期の会社計画の達成可否については、そのベースとなる技術者の育成・確保が前提となるが、1)新規事業やM&Aといった不確定要素を含まない固い会社計画を作ったと考えられること、2)エンベデッドソリューション事業及びビジネスソリューション事業ともに需要の増大が見込まれている自動車向けや金融向けなどを中心に受注が好調に推移すると予想されること、3)2015年9月期に発生したビジネスソリューション事業で期ズレ案件が存在することなどを考慮すると、上場後最初の事業年度の会社計画は保守的ではあるが、上振れの可能性も高いとみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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●過去業績
PCIホールディングス<3918>の事業は請負契約、準委任契約に基づくソフトウェア開発がメインであるため、技術者数の動向が事業規模、業績を左右する。創業から2012年9月期までは、同社と現在のPCIアイオス(株)、及びPCIソリューションズ(株)へ事業を移管したProfit Cube(株)の3社がメインであったが、従業員数は2010年9月期で200人程度に過ぎず、売上規模も20〜30億円程度で推移する格好となっていた。一方、利益面では2011年3月に起きた東日本大震災の影響を受け受注が大幅に減少したことなどにより、2011年9月期には営業損失に転落する場面があった。
しかし、2012年9月期第4四半期(2012年7月−9月)から2013年第1四半期(2012年10月−12月)にかけて700名超の中途採用を実施し、その受け皿として同社は2012年9月にPCIソリューションズを設立した。これに伴い、同社と当該社員の技術力を評価する顧客とのSEサービスの取引が始まり、現在の事業規模に近い原型が出来上がった。
●2015年9月期連結業績
2015年9月期連結業績は、売上高が前期比13.7%増の7,853百万円、営業利益は同207.1%増の547百万円と、2ケタ増収・営業増益を確保、売上高、営業利益ともに過去最高を記録した。一方、当期純利益は同26.4%減の330百万円と減益となった。これは、前期に連結納税制度を適用開始したことに伴い繰延税金資産を計上し、法人税等調整額が▲105百万円となったこと等の反動による。
売上高は自動車関連、金融向けが極めて好調に推移したことにより2ケタ増収を確保。売上総利益は徹底したプロジェクト管理、高採算のIoT/IoE事業の拡大等から同31.4%増の大幅増益となり、売上総利益率は22.4%へ前期比3.0ポイント改善した。一方、販管費を前期比で4.5%の伸びに抑制できた結果、営業利益率は前期の2.6%から7.0%へ大幅に改善した。
事業区分別に見ると、テクニカルソリューション事業は売上高が同9.4%増の6,797百万円、売上総利益は同23.0%増の1,436百万円となり、前期に続いて好調を持続した。エンベデッドシステム分野では一部モバイル関連を除き、自動車関連、重機・建機、デジタルカメラ関連等が堅調に推移した。加えて、ビジネスシステム分野でも金融機関向け開発案件が堅調に推移したほか、中規模の一括受託案件を受注するなど良好に推移した。
ビジネスソリューション事業は、売上高が499百万円(同6.3%減)と減少を余儀なくされたが、売上総利益は165百万円(同10.0%増)と増益を確保した。SI案件やPOSシステム関連機器販売は堅調に推移したが、自社開発パッケージ製品関連案件の売上計上が2016年9月期へずれ込んだことが減収の要因。にもかかわらず、増益を確保したのはPOS関連機器販売でスポット的な業務支援サービスがあったことが寄与したことによる。
IoT/IoEソリューション事業は、売上高が555百万円(同249.9%増)、売上総利益は160百円(同609.7%増)と大幅増収・増益を記録した。自動車業界向け分野でカーナビゲーション端末をゲートウェイとした各種センサーとインターネット及びクラウドとの連携機能開発案件が増加したことや、エネルギー業界向け分野でも自社ソフトウェア製品である遠隔監視モニタリングシステムを活用したO&Mサービスの2拠点目が稼働したことなどがプラス寄与した。
●2016年9月期業績予想
2016年9月期会社予想は、売上高8,450百万円(前期比7.6%増)、営業利益580百万円(同6.0%増)と、増収・増益を見込む計画となっている。2015年9月期と同様に自動車向けを中心にエンベデッドソリューション事業が堅調に推移するほか、ビジネスソリューション事業も金融向けを中心に受注堅調が続くと見ている。加えて、IoT/IoEソリューション関連事業も堅調と予想している。こうした受注の堅調に対応するために、中途採用の拡大(計画30人)や社内教育の充実による新卒者の早期戦略化を図るほか、ビジネスパートーナー(BP)の積極的な活用を推進する計画で、IT技術者はプロパー700人(同37人増)、BP240人(同63人増)体制を目指している。
事業区分別に見ると、エンベデッドソリューション事業は売上高4,120百万円(同4.0%増)、売上総利益949百万円(同5.6%増)と増収・増益を予想している。自動車、車載関連、重機・建機、その他各種産業機器での制御系ソフトウェア開発需要が堅調に推移すると見込んでおり、エンベデッド技術者の中途採用の拡大と、新卒者の早期戦略化により対応する計画。
ビジネスソリューション事業は売上高3,680百万円(同10.4%増)、売上総利益785百万円(同11.8%増)と2ケタ増収・増益を計画。金融・製造・流通業等の幅広い業務向けの一般情報系ソフトウェア開発の受注好調が見込まれ、ビジネスパートナーを中心とする技術者確保で対応する。
IoT/IoEソリューション事業は売上高650百万円(同17.1%増)、売上総利益175百万円(同9.4%増)と増収・増益を予想する。これは、同社が受信端末ソフトウェアとスマホ向けアプリケーションソフトを開発しているV-Lowマルチメディア放送は2016年春から実用化に向けた取り組みが本格化することになっており、それに絡んだ需要増を見込むほか、車車間通信「V2X」、重機・建機向けIoTソリューション、太陽光発電所向け統合管理システム「Power Station」も堅調に推移すると予想していることによる。
弊社では、2016年9月期の会社計画の達成可否については、そのベースとなる技術者の育成・確保が前提となるが、1)新規事業やM&Aといった不確定要素を含まない固い会社計画を作ったと考えられること、2)エンベデッドソリューション事業及びビジネスソリューション事業ともに需要の増大が見込まれている自動車向けや金融向けなどを中心に受注が好調に推移すると予想されること、3)2015年9月期に発生したビジネスソリューション事業で期ズレ案件が存在することなどを考慮すると、上場後最初の事業年度の会社計画は保守的ではあるが、上振れの可能性も高いとみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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