ダイナムジャパンHD Research Memo(2):ファン層の高齢化が進行、スマホの出現で余暇時間の消費に変化
[16/01/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■パチンコホール市場の現況
(1)長期的トレンド
長期的にパチンコホール市場は縮小基調が続いている。2014年のパチンコ市場は、参加人口が1,150万人と前年から18.6%増加したものの、売上高は24.5兆円で2.0%減少した(数字はいずれも日本生産性本部「レジャー白書2015」)。参加人口は6年ぶりに前年比増加に転じたが、これによって参加人口の減少が底打ちし今後は上昇トレンドに転じるとみる向きは少ない。売上高が2005年の34.9兆円をピークに減少トレンドが続いていることが強気になれない大きな理由だ。また、社会の高齢化と同様にパチンコ・ファン層も高齢化が進行するなかで、若年層のパチンコ参加者が増えないことも業界関係者の大きな悩みとなっている。
若年層ファンが増えない要因としては様々なことが指摘されているが、弊社ではスマートフォンの出現が大きいと考えている。余暇時間の消費の仕方が、スマートフォンの出現で大きく変わったということだ。
(2)足元の動向
パチンコホール経営の現場では依然として客数の回復を実感できていないようだ。2014年は4月に消費税が8%に引き上げられたため、2014年夏場には客離れが顕著になった。パチンコホール側は客数減少による経営への打撃を少なくするために粗利益率引き上げに動いた。パチンコホールの会計ではパチンコ玉の売上げである貸玉収入がグロス売上高となる。そこから客に対する還元額を意味する景品出庫額を差し引いたものが営業収入となり、これがネットの売上高となる。粗利益率というのは貸玉収入に対する営業収入の割合であり、客の目線から見た出玉率(貸玉収入に対する景品出庫額の比率。還元率)と、裏返しの関係にある。すなわち、ホール側の粗利益率引き上げは、客から見れば出玉率の悪化となり、これが客数減少に拍車をかけた。
2014年は消費増税に店側の粗利益率引き上げ(客にとっては出玉率低下)というネガティブな動きが重なり、負の連鎖に陥った。では2015年はどうか。ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の独自調査によれば、パチンコ及びパチスロの客数は、反転の動きが見られていない。2013年3月期上期を100%とした客数の指数は、ほぼ一貫して右肩下がりで推移し、2016年3月期上期には、パチンコが88.6%、パチスロが87.4%にまで低下した。
さらに直近では、射幸性の高い遊技機の規制が開始され、客離れに追い打ちをかけることが懸念されている。パチンコ機の中でMAXタイプと呼ばれる確率1/400前後のものは11月納品分から新規設置が規制された。今後は確率1/320が下限となる。確率の下限値が引き上げられるということは、射幸性が抑制されることになる。すなわち、ハイリスク・ハイリターンからミドルリスク・ミドルリターンへの強制移行ということだ。これはコアなパチンコ・ファンには失望であり、同時にパチンコホール経営にとっても打撃となることが懸念される。パチンコホールにとっては高貸玉店(1玉4円で営業する店舗)におけるMAX機が最も集客力があるという状況だからだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(1)長期的トレンド
長期的にパチンコホール市場は縮小基調が続いている。2014年のパチンコ市場は、参加人口が1,150万人と前年から18.6%増加したものの、売上高は24.5兆円で2.0%減少した(数字はいずれも日本生産性本部「レジャー白書2015」)。参加人口は6年ぶりに前年比増加に転じたが、これによって参加人口の減少が底打ちし今後は上昇トレンドに転じるとみる向きは少ない。売上高が2005年の34.9兆円をピークに減少トレンドが続いていることが強気になれない大きな理由だ。また、社会の高齢化と同様にパチンコ・ファン層も高齢化が進行するなかで、若年層のパチンコ参加者が増えないことも業界関係者の大きな悩みとなっている。
若年層ファンが増えない要因としては様々なことが指摘されているが、弊社ではスマートフォンの出現が大きいと考えている。余暇時間の消費の仕方が、スマートフォンの出現で大きく変わったということだ。
(2)足元の動向
パチンコホール経営の現場では依然として客数の回復を実感できていないようだ。2014年は4月に消費税が8%に引き上げられたため、2014年夏場には客離れが顕著になった。パチンコホール側は客数減少による経営への打撃を少なくするために粗利益率引き上げに動いた。パチンコホールの会計ではパチンコ玉の売上げである貸玉収入がグロス売上高となる。そこから客に対する還元額を意味する景品出庫額を差し引いたものが営業収入となり、これがネットの売上高となる。粗利益率というのは貸玉収入に対する営業収入の割合であり、客の目線から見た出玉率(貸玉収入に対する景品出庫額の比率。還元率)と、裏返しの関係にある。すなわち、ホール側の粗利益率引き上げは、客から見れば出玉率の悪化となり、これが客数減少に拍車をかけた。
2014年は消費増税に店側の粗利益率引き上げ(客にとっては出玉率低下)というネガティブな動きが重なり、負の連鎖に陥った。では2015年はどうか。ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の独自調査によれば、パチンコ及びパチスロの客数は、反転の動きが見られていない。2013年3月期上期を100%とした客数の指数は、ほぼ一貫して右肩下がりで推移し、2016年3月期上期には、パチンコが88.6%、パチスロが87.4%にまで低下した。
さらに直近では、射幸性の高い遊技機の規制が開始され、客離れに追い打ちをかけることが懸念されている。パチンコ機の中でMAXタイプと呼ばれる確率1/400前後のものは11月納品分から新規設置が規制された。今後は確率1/320が下限となる。確率の下限値が引き上げられるということは、射幸性が抑制されることになる。すなわち、ハイリスク・ハイリターンからミドルリスク・ミドルリターンへの強制移行ということだ。これはコアなパチンコ・ファンには失望であり、同時にパチンコホール経営にとっても打撃となることが懸念される。パチンコホールにとっては高貸玉店(1玉4円で営業する店舗)におけるMAX機が最も集客力があるという状況だからだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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