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博展 Research Memo(6):16/3期は計画を上回る大幅な増収増益となった

注目トピックス 日本株
■決算動向

(1) 2016年3月期決算の概要

博展<2173>の2016年3月期の業績は、売上高が前期比29.2%増の8,088百万円、営業利益が同108.7%増の170百万円、経常利益が同110.0%増の161百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同94.5%増の97百万円と計画を上回る大幅な増収増益となった。

すべてのサービスが伸長した。特に、これまで戦略的に取り組んできた「イベントプロモーション」が計画を上回って大きく拡大した。顧客のマーケティング・パートナーへの進化を目指し、リアルとデジタルを融合させたサービスラインナップの拡充や提案力の向上を図ってきたことが実を結び、売上機会の増加とプロジェクト単価の向上(顧客取引の拡大)につながった。また、注力する新規3事業も概ね順調に伸びている。ただ、そのうち「商環境」と「デジタル・コンテンツ&マーケティング」については、意欲的な水準を見込んでいた期初計画には届かなかった。「商環境」については需要が伸びているものの、人材確保の面がボトルネックとなったようだ。また、「デジタル・コンテンツ&マーケティング」も、アイアクトが期初から寄与したことで増収とはなったが、今後の事業拡大に向けた体制強化を優先的に進めたことから、本格的な業績貢献には至らなかったものとみられる。

なお、新規事業の拡大とともに、同社がマーケティング・パートナーへと進化を図るために重視している顧客単価、リピート顧客売上高、指名受注売上高は順調に拡大しており、足元の好調な業績に加えて、成長戦略も順調に進展しているものと評価することができる。

損益面では、「イベントプロモーション」の拡大に伴う外注原価の高止まりのほか、成長に向けた先行費用(人材補強費やのれん償却費、研究開発費等)が増加したものの、大幅な増収によって吸収したことで営業利益率は2.1%(前期は1.3%)に改善した。なお、アイアクトによる業績寄与は、売上高が700百万円程度、営業利益も黒字を確保したもようである。

財務面では、増収に伴う売掛金や現預金の増加等により総資産が前期末比25.6%増に拡大した一方、自己資本は内部留保の積み上げにより同4.5%増にとどまったことから自己資本比率は27.8%に低下した。ただ、流動比率は182.2%と高い水準にあり、短期的な支払能力に懸念はない。

(2)過去の業績推移

過去の業績を振り返ると、売上高は2010年3月期にリーマン・ショック等による景気後退の影響を受けて1度落ち込んだが、その後は6期連続で増収基調を続けている。特に、2013年3月期以降は、景況感の回復など外部環境の好転や新規事業の伸長等により業績は順調に拡大してきた。なお、2015年3月期第4四半期からは、アイアクトの子会社化により連結決算に移行している。

損益面についても、2010年3月期に営業損失を計上したものの、売上高の伸びとともにV字回復を実現した。ただ、2014年3月期以降は、今後の売上成長に向けた先行投資的な費用負担が営業利益率の低下を招き、連結決算に移行した2015年3月期についても、外注原価率の上昇や成長基盤整備のための先行費用(人材補強費、M&A関連費用等)の増加等により営業利益率は1.3%にまで低下した。もっとも、2016年3月期は増収効果により改善の兆しがみられる。

財務面では、自己資本比率は40%前後で推移してきたが、連結決算に移行した2015年3月期以降はやや低下傾向にある。また、ROEも同社の収益力の高さを反映して高い水準を確保してきたものの、2014年3月期以降は利益率の低下に伴ってROEも低下してきた。ただ、2016年3月期は利益率とともに改善している。

(3) 2017年3月期の業績予想

2017年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比16.2%増の9,400百万円、営業利益を同29.0%増の220百万円、経常利益を同29.9%増の210百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同29.0%増の125百万円と引き続き2ケタの増収増益を見込んでいる。

サービス別売上高では、「イベントプロモーション」が前期比13.8%増の1,200百万円、「展示会出展」が同2.4%増の3,600百万円、「商談会・プライベートショー」が同7.6%増の1,100百万円、「カンファレンス・セミナー」が同16.9%増の540百万円、「商環境」が同57.6%増の1,190百万円、「デジタル・コンテンツ&マーケティング」が同57.5%増の1,320百万円とすべてのサービスが伸長する計画となっている。

アイアクトによる連結効果の一巡により増収率は前期を下回るものの、好調な「イベントプロモーション」を筆頭に、すべてのサービスが伸長する計画となっている。一方、損益面では、外注原価率の高止まりや成長に向けた先行費用(人材補強費やのれん償却費、研究開発費等)に加えて、人員増に伴うオフィス拡張にかかる費用等が想定されるものの、外注管理体制の整備、プロジェクトマネジメントの強化によるコスト管理の徹底や付加価値の向上を伴う増収効果により営業利益率の改善を図る計画となっている。

弊社では、拡大余地の大きい「イベントプロモーション」が、同社戦略の成果を反映した形で伸びていることや、「デジタル・コンテンツ&マーケティング」などの事業においても、成長に向けた体制が整ってきたことから同社業績予想の達成は可能とみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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